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【アニメ ヒカルの碁 第62局「広島最強棋士」】 02/12/23

今週のダイジェスト。
・ヒカルが碁会所に入ると、河合が地元の男・周平と口論していた。賭け碁で河合は負けたのだが、河合は5000円かけたつもりが周平は5万円だという。
・アマ碁世界大会の日本代表になるほどの腕前を持つ周平は熱心なカープファンで、巨人ファンの河合がカープを悪く言ったためにいやがらせをしたらしい。
・ヒカルを見つけた河合は、ヒカルに代打させて周平との勝負をもう一度しようとした。周平はヒカルが新初段だと知っていて、勝負を受けた。周平は塔矢行洋とヒカルとの新初段戦をヒドい碁だったと言う。
・ヒカルは最初はあまり気が進まなかったが、仕方なく席に付く。ヒカルと周平との対局が始まった。
・河合と碁会所の客との会話から、東京にも秀策の墓があると知ったヒカルは、早く東京に帰りたい一心で、早碁のようにノータイムで打ち続ける。周平はノータイムなのにヨミが深いヒカルに圧倒されていた。
・周平が中押し負けとなった。ヒカルはいつものように佐為に「どう?」と聞こうとしたが、振り向いてもそこには佐為はいなかった。落胆したが、佐為は東京にいるんだとヒカルは自分に言いきかせ、気をとりなおそうとする。
・周平はヒカルと河合を駅まで送っていった。見送った後、周平はいずれ囲碁界はヒカルを中心に動くのではないかと考えていた。
・東京に戻ったヒカルは巣鴨の本妙寺に急いで行き、佐為を探し回るがそこにもいなかった。すっかり落胆したヒカルは、河合の言葉も聞かずにさっさと家に戻った。
・家に戻ったヒカルは、部屋に戻ってそこにも佐為がいないことで、糸が切れたように崩れ落ちた。それでももう一度だけ棋院を探してみようと腰をあげる。
・明かりの消えた日本棋院を探し回るヒカルは不安に押しつぶされそうになっていた。ヒカルは佐為が消えるなんてことを一度も考えたことがなかったのだ。
・棋院でばったり会った職員に、オバケの出そうなところはないか、ヒカルは聞いた。職員はひとつそういう場所に心当たりがあるという。その場所にヒカルは連れていかれたが…

今週は原作1.9話分くらいをアニメ1話にしていました。前半〜中盤はよかったものの、終盤になって作画崩れが… ここしばらくクオリティが高かった分、どこかにしわ寄せはくるだろうし、それは仕方ないと思いますが、来週だけは最高の作画でみてみたいものですが。…予告をみる限りでは少々不安が残ります。

さて。この作品は「ヒカルの碁」というタイトルになっているものの、タイトルに中身が追いつくまでにはかなりの時間がかかりました。特に物語の最初の頃は、佐為やアキラの強さが印象的なこともあって、ヒカル自身の碁はどうもパッとしない状態が長いこと続きました。
話は横道に逸れますが。初期設定だけを聞いた人の中には、この作品を「他力本願の幽霊バトルマンガ」だと誤解している人もあるそうです… もし本当に他力本願幽霊バトルなマンガであれば、佐為にしてもヒカルにしてもあれだけ傷つき苦しむことはなかったんですよね… でも「自分のものでない力」ゆえに自分を高く評価されることを快く思わなかったヒカルだからこそ、物語の主人公になりうるのです。
三面打ちや若獅子戦での「悪手を好手に」はヒカルの才能の片鱗を示すものの、本格的にヒカルの力を感じさせるエピソードは秀英くんとの一局が始まりだったように思います。そしてそこは、佐為が自分の存在に不安を感じ始めた、物語のターニングポイントとなる場所でもありました。
ひとつの器に二つの才能は入らない… ヒカルの碁が輝きを増してゆくから、佐為は消えるしかありませんでした。今回描かれた、覚醒したヒカルの強さ、カッコよさはその大きな代償ゆえのものなんだなあ、と今回の話をみてしみじみと思いました。

アニメというメディアはマンガよりも受け手側の時間のコントロールがしやすいですが、今回のアニメの対局シーンのスピード感はそれを最大限に生かしていたと思います。本当にノータイムなんだなあというのが実感できました。緊張感がでててとてもよかったです。

で、その対局の後にヒカルがいつものクセで佐為に話そうと嬉しそうに振り向くシーンが切ないです。そのあと「東京にいるんだから」と自分に言い聞かせながら、東京に戻って、本妙寺で佐為の名前を呼ぶヒカル。そうやって、体に疲労が溜まり、心まで疲れ果てて、不安が心を押しつぶしそうになって。「遠回り」に思えてしまうヒカルの佐為探しを丹念に描いてこそ、来週のエピソードが胸にくるわけで。

そういえば、「ジャンプ」で「ヒカルの碁」のアニメ化が発表されたのは、今回の前半部分の話が「ジャンプ」掲載されていた号でした。2001年8月のことです。
ずいぶん前から噂になっていたものの、長いこと「噂」のままで終わってましたが、これでやっと正式発表に。でも、展開が展開だけに、連載中の話に気をとられて喜ぶどころじゃなかった記憶があります。

先週うっかり書き忘れた、新オープニングの話。どうももうひとつ私にはピンときません。作画はきれいだし、原作の名シーンや扉絵イラストをリファインした美しい作画は嬉しかったものの、話の展開がこういうときに曲にしても画面にしも軽過ぎるように思えて… これからの話の展開が辛いものになるからこそ、オープニングくらい明るくしようとしたのかもしれませんが。あ、でもヒカルがどんどん成長していくところはいいなあと思います。
オープニングはこれで3曲目ですが、私は1番最初のものがお気に入りです。作画もきれいで、動きもよく、演出がドラマティックで曲もよくて。アニメが始まった頃の原作の展開が展開だっただけに、佐為とヒカルが仲良さそうに笑いあっていて、しかもそのシーンで流れる曲の歌詞がアレだっただけに、最初にオープニングをみたときに泣けちゃって… 私はてっきり「君」と「僕」はヒカルと佐為のことかと思ってしまったんですが、全部の歌詞をよくみるとあれはヒカルとアキラの話だったんですよね…
で、その最初のオープニングは物語の見せ場を繋いでいくようになっていましたが、実はかなり後の展開でのシーンも使われていました。部屋でベッドに座って碁盤を見るヒカルは、おそらく佐為を失った後のヒカルでしょう。アニメしか見てなくて当時先の展開を知らなかった人は、機会があれば最初のオープニングを見なおすと色々と発見があるのではないでしょうか。

今回の話の、アニメと原作との違いです。今回はセリフとか微妙に変わっているところが多かったのですが、大筋では変わらないのでそこは省きます。
(1)本妙寺
アニメでは、本妙寺に駆け込んできたヒカルは、佐為の名前を呼びながらあちこち探しまわります。ここのシーンはとても切ない。原作では、見つからなくて、がっくりと肩を落としたシーンから描かれていました。
(2)棋院にて。
ヒカルが夜の棋院に探しにきたシーン、原作では「いない いない? いない? 佐為が!?」というセリフがありますが、アニメではカットされていました。


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