なぜ「中忍試験の元ネタはハンター試験」かと思ったことについて。実は「NARUTO」の最初の印象が特に悪かったせいかもしれません。「NARUTO」の第一話って、「うしおととら」第五巻のセリフも構図もそのままパクったシーンがあるんです。(マンガ喫茶で読み比べてみれば一目瞭然かと。)岸本さんは「うしおととら」が好きらしいから、ひょっとしたら本人は「オマージュ」のつもりかもしれないけど、あまりにもそのまんまなので読んだ人には「パクリ」の印象を与えちゃうんじゃないかなあ。その上、第一話は特にNARUTOの設定にとらが重なってみえる部分もあるし。
そして、そのあとの展開が、ジャンプ的には優等生というか、「編集部の言うことをよく聞いて話作ってる」感じがしたんです。ジャンプ方程式まんまのキャラ設定や話の展開になっていったし、初期とは少しずつ違う話になっていってるあたりが、「編集部と相談しながら今後の方向性を探っていってる」ように見えて。いや別にそれは悪くないんですよ。ああいうメジャー少年誌だと編集部が介入したり、「売れる」ために色々な人の知恵を投入していくのは当たり前なので。でももうすこし、「作者がこれだけは絶対に譲れないと思っているコアな部分」を感じさせてくれたらなあ。
前に「チャクラ」がでてきたときも、「あ、これ念かなあ」と思いました。もっとも「念」もある意味「ジョジョ」の「スタンド」の変形でありますが、「念」の場合は色々な独自ルールを加えることで別の面白みがでています。ところが「チャクラ」はいまや「なんでもアリ」な状態なのが不満で。
そのあと中忍試験が始まって、最初は特に思わなかったけど第一試験が「筆記テスト」と聞いたときに「あ、これはハンター試験なんだ」と思ったのでした。「一番最初はいかに機転をきかせるかという試験で、次が仲間と力を合わせてからくり屋敷をクリア、その次が森でサバイバル試験、そして最後は一対一の格闘戦かな」と予想したら、わりとそのまんまの展開に…まああくまでもネタ元であって、細かい展開自体は違うからかまわないんですけど、同じネタをやってしまう分ついハンター試験と比べてしまうんですよ。そうすると、ルールや初期設定を緊張感と意外性のある展開につなげたハンター試験と比べると、中忍試験の方は途中で初期設定がなしくずしになってしまうのが残念なところ。
(追加。「中忍試験」と「ハンター試験」はエピソードの構造が非常ににているために「元ネタにしたんだろう」と考えた、ということです。どういう形でエピソードの構造が似てるかについては、また機会があれば書くかもしれませんが…)
ハンター試験だって「幽々白書」での幻海師範のテストを焼きなおしたものだろうし、その試験もどこかに元ネタがあったかもしれないけど、要はそのネタをどれくらいうまく料理して、「オリジナル」の味わいを感じさせてくれるところまで昇華できるかが問題なんじゃないかなあ。ハンターもハンター試験終了まではきっちり計算された見事な構成とストーリーでおもしろかったです。そのあとが行き当たりばったりになっちゃったけどねぇ。(今の綱渡り的な展開もそれはそれでおもしろいですが)
私が感じているようなことをうまくまとめてあるのが、MINOVSKI AVENUE.の3/6の日記。ここのサイトの日記でジャンプ感想やってるんですが、着眼点がユニークで文章がうまくておもしろい。しばらく更新停止してたけど、復活してくれて嬉しいです。
まあ色々と書いてしまいましたが、岸本さんもキャラの見せ方はうまいと思うし(私もカカシ先生は好きだ)、勢いあるし、色彩センスあるからカラーの見栄えするし、人気あるのもわかります。週刊誌連載という重圧に潰れないように頑張ってほしいなあとは思っています。