DRUMS and ZAPPA



 Frank Zappaの活動を、その活動内容や楽曲の 傾向などによって時間軸に沿って第1期,第2期というように分類するにはいろいろ な方法があろう。私は、単純にそのときZappaのバンドに参加していたドラマーに基 づきこれを分類している。

 Zappaのバンドには、アルバム1枚だけの参加とかセッション的な参加などを除けば、 Jimmy Carl Black,Art Tripp, Aynsley Dunbar, Ralph Humphrey,Chester Thompson, Terry Bozzio,Vinnie Colaiuta ,Chad Wackermanの都合8人のドラマーが参加している。
 Jimmy Carl BlackArt trippRalph HumphreyChester Thompsonは、それぞれ一 緒にバンドに参加していた(つまり、ドラマーが2人いたということ)時期があるので、 それぞれ一つの期間を形成していたと見なす。

 こうすると、Jimmy Carl Black とArt Tripが参加していた時期(1966-1969)を第1期とすることができる。この時期は Mothersの創立期でもあり、実験的な作品やステージが多い。 Aynsley Dunbarはちょ っと特例で、Flo & EddieらとFunnyなステージを展開していた時期(1970-1972)と、 ビッグバンド風の曲をやっていた時期(1972-1973)の両方に参加している。これらを第2期, 第3期とする。これらは、楽曲の傾向などが明らかに異なるので、時期を区別するのが 無難であろう。Aynsley Dunbarは、これほど毛色の違った二つのバンドの両方で素晴ら しいプレイを聴かせてくれる。Ralph Humphrey とChester Thompsonの参加していた 第4期(1973-1975)は、Zappaのポップな面が爆発した時期で、2人の歯切れの良い、 どちらかといえばファンキーなドラムがよくマッチしていた。次の、Terry Bozzioが在籍し ていた時期(1975-1979)が第5期となる。Terryのパワフルな”ロック”ドラムが最大限 生かされたアルバムが、あの名作Shiek Yerboutiである。

 次に参加するドラマーはVinnie Colaiutaなわけだが、これ以降はちょっと分類が難しい。 一つはこれ以降の活動というのが非常に多岐にわたり、それらが交錯しているためだが、 もう一つにはドラマーの個性というものがあるように思う。私の聴く限り、このVinnie Colaiutaとその次のChad Wackermanは非常にオールマイティなプレイをできる人で、 これ以前に参加していた他のドラマーに比べて個性という点で希薄な感じがする。それ に対して、これ以前のドラマーたちは、皆とても強い個性を持った人ばかりである。だから、 第1期〜第5期はドラマーによって分類できたのだろうと思う。逆に言うと、Zappaのバンドの 音楽性はドラムに大きく依存している。(いや、実際にはそういう曲をやりたくてぴったりの ドラマーを捜してきたということも十分考えられるが。)リズムは音楽の要なので、当然とい えば当然な事ではあるが。特にZappaのように広範なジャンルの曲を演奏する場合にはそ うであろう。

 確かに、Zappaの曲調は、1979年のJoe's Garageを 境に質的に大きく変化したように思える。 それ以前の作品が持っていたアグレッシブで生々しい感じが消え、より洗練された音になっ ている。それの是非を問うことはある意味で愚かであり、ここではしないが、そのような音楽を 実現するためにはVinnieやChadのようなドラマーが必要だったという事か。その究極の姿が シンクラヴィアであるとすれば、ちょっと考えさせられる問題でもある。


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