98年6月に読んだ本。

●「エンパラ」大沢在昌[光文社文庫](98/6/30)

作家の大沢在昌さんが、旬の作家を呼んで、1995年から「小説宝石」史上で行った対談集です。京極夏彦さんの時は、雑誌を立ち読みした記憶が。当時、「狂骨の骨」がちょうど出た頃で、それまで秘密の作家(?)だった京極さんが取材を受けはじめた時期だったんだよね。
私が好きな作家では、京極さんの他に、宮部みゆきさん、北村薫さん、梅原克文さん(新作はいつですか(^ ^;)?)、綾辻行人さん(館シリーズは…)、真保裕一さん、浅田次郎さんがとりあげられてます。なかなかおもしろかったです。

●「芸術家Mのできるまで」森村泰昌[筑摩書房](98/6/28)

名画を再構成したセルフポートレートとかを制作してる、有名アーティストの自伝記です。
●「踏みはずす美術史」がおもしろかったし、元々作品に興味はあったので、プリンツ21の「森村泰昌 愛の処方箋」をつい買ってしまいました。これがまたおもしろかったので、つい自伝記も(^ ^;)…お金、ないのになあ…
これもなかなかおもしろかったです。特にベニスビエンナーレの体験記とか。本は色々読んでるんですが、まだ京都国立近代美術館の展示会に行ってないんですよね(^ ^;)。いかなきゃ。

●「AGE/楽園の涯 グラスハートex.」若木未生[コバルト文庫](98/6/27)

「グラスハート」シリーズの番外編。高岡さんの高校時代の話と、大学生の頃、高岡さんと先生との出会いの話とかが載ってます。ちなみに「AGE」はこの作者のデビュー作で、89年コバルトノベル大賞佳作受賞作。若い頃に書いただけあって、青くて固い感じがする話でした。尾崎豊か、懐かしいなあ……なんか、これ読んだあと、頭の中で尾崎の曲がぐるぐる回ってました。
それにしても、高岡さんの実家って、そば屋だったんですね(^ ^;)。

●「嵐が丘 グラスハート4」若木未生[コバルト文庫](98/6/26)

シリーズ四作目。人気歌番組に出演することになったテン・ブランク。ところがさまざまな妨害が起こり……
今回は、真崎さんがたくさん出演してくれたのがよかったなー。オーヴァークロームのもうひとり、有栖川さんもやっと登場ですし。今回の真崎さんはすごくよかったと思うんですけど、なんだか私は日向小次郎を思い出してしまいました(^ ^;)。真崎さんの方がもっと複雑な方ですが、でも炎のようなところが、ね。ちなみに私は小次郎、すごく好きでした。
とにかく、早く続きが出てほしいなあ。

●「ムーン・シャイン グラスハート3」若木未生[コバルト文庫](98/6/25)

シリーズ三作目。アルバムの制作に入ったテン・ブランクですが、先生の切れっぷりはグレードアップしているし、もう大変なことに。音楽を巡って、かなり深刻なやりとりがメンバー間で起こります。テンション、高いですね〜。
で、この話には坂本くんの一人称の話も載ってます。
真崎くんの出番がなかったのが残念です(^ ^;)。

●「薔薇とダイナマイト グラスハート2」若木未生[コバルト文庫](98/6/25)

グラスハートの続編。なんとか、最初のライブ出演をクリアしたテン・ブランクは、今度はシングルの制作に。今回も音楽を作る上での戦いがテンション高くてよかったです。あと、今回は真崎くんがなかなかよかったです。いいキャラですね。…って私はやはり性格の悪い人が好みらしい(笑)。でもこの話では、鬼畜ぶりでは先生がダントツだけどね。鬼畜の意味が違うけど(^ ^;)、ある意味一番兇悪なのは確か。タチの悪い男に惚れちゃったよね、朱音ちゃんも。大変だよ、これから…
オーヴァークロームの「教徒」の鮎見さんの気持ちはよーくわかります(^ ^;)。まあ、私はここまでのめりこんではいないですけど……

●「グラスハート」若木未生[コバルト文庫](98/6/24)

非常に評判の高いシリーズですが、今まで読む機会がなかったけど、古本屋でまとめてゲットできました。
バンドモノです。しかも、でてくる人たちはみんな天才。中でも、藤谷直季「先生」は、14の頃からプロとして活動をしている、ホンモノの天才。…で、この人にとっては音楽がすべてで、音楽のことを考えだすとまわりが何もみえなくなる、常軌を逸したタイプ。天才たちの、音楽を通じたやりとりの熱さが、なかなか楽しかったです。ヒロインの朱音ちゃんの強さもよかったし。評判になるのはよくわかるなあ。

●「星の大地 1〜3」冴木忍[角川スニーカー文庫](98/6/23)

古本屋で3冊まとめてゲット。冴木忍の評判は聞いてたんですが、今まで読む機会がなかったもので。薄い本だから、1〜3まで一日で読めました。
レーンドラとユハリシュの二国は長い間争いが続いていた。予見能力のある、レーンドラの王女・サウラが自殺した。レーンドラ王家に伝わる秘術で蘇ったサウラは以前とは別人のような性格になり、予見能力と記憶の一部を失ってしまった。失った記憶を戻すために、サウラと侍女のアゼルは城を抜け出すが…
最初は軽いタッチで話が始まります。一冊目の見返しには、「待望のコミカル新ファンタジー、痛快娯楽活劇、開幕!」と書いてあります。…この紹介文書いた人、この後の展開をみて頭抱えただろうなあ(^ ^;)。で、ストーリーの方は、女の子ふたり旅は、謎の吟遊詩人、マリクと出会って運命が大きくかわります。失われた《科学》、そしてやがてくるはずの「災厄」。この災厄から少しでも人を助けるために、主人公たちは駆けずりまわることになります。ところが………2巻で話が思わぬ方向に転換し、そして3巻では話がひっくりかえり、そしてあのラスト。噂には聞いてたけど、本当に容赦ない作者ですねぇ……個人的には、きっつい話というのは結構好きですけど(^ ^;)。
必死で頑張ったことがことごとく裏目に出、最後に残ったのはほんのかすかな希望だけ。どれだけ辛い思いをしても、どんなに苦しくても、生きのびること。このラストからが本当の試練の始まりとなるんでしょうね。
ある程度の予備知識があったからそれほどは驚かなかったですが、1冊目からリアルタイムで楽しんでた人には、衝撃的だっただろうなあ…この話の展開は(^ ^;)。

●「図解 密教のすべて」花山勝友[光文社文庫](98/6/22)

私は信仰心に欠けた人間ですけど、でもみーはー的な興味は結構あったりするんですよね(^ ^;)。特に密教といえば、調伏、梵字、印、護摩壇、曼荼羅、不動明王…って、ドキドキしません?伝奇モノやゴーストバスターモノには、密教系のお坊さんは欠かせませんもの。……というような邪道な動機でこの本を買ったんですが、読んでもやっぱりよくわかんなかったです(^ ^;)。わかったようでわかんない、混沌としたところがまたいいんですが。とにかく、口絵の曼荼羅が美しくて、それだけで満足です。
大日如来がなぜあれだけ色々な形態をとるようになったのか、また人気のある仏様がどうして時代によって変わっていくのか、それを歴史的に解説してくれる安い(これが重要(^ ^;))本とかがあれば読んでみたいけどなあ。
他の宗教との抗争や関わりの上で、どう変質していったか、それに興味があるんで。
私の場合、信仰している宗教というのはないんですが、サッカーをみてて神に祈りたくなったとき、祈るべき神を持たないのはちょっと寂しいかなあ、って思っちゃいました。

●「ヒュウガ・ウイルス 五分後の世界2」村上龍[幻冬舎文庫](98/6/21)

文庫本化された直後に買ったんですけど、ちょっと読みかけて放りっぱなしになってました(^ ^;)。…おもしろいのは確かなんだけど、でも読んでてしんどい話だから、つい…
最近、読む本がきれちゃって、それで金曜あたりから読み出したら…ヒデがクロアチア戦の前に読む予定の本として名前をあげていたので、「おおっ、今、同じ本読んでるんだ〜。」って嬉しくなっちゃって、頑張って全部読みました。…所詮はミーハーなんで(^ ^;)。
さて、「五分後の世界」と同じ世界設定での話です。五分時間がずれた世界では、日本は第二次世界大戦後、国連軍および4大国に分割統治されていた。日本軍の生き残りが、地下に潜り、戦闘小国家を形成し、アンダーグラウンドと呼ばれていた。アンダーグラウンドの取材に行ったCNNの女性ジャーナリストが、感染症が発生し、パニックが起こっている九州に問題の解明にでかけるUG軍に同行したが……
食事しながら読む話じゃないよなあ、って思ったけど、試合の前に読む話でもないような気がしました(^ ^;)。じゃ、どんな本ならいいんだ?って言われてもわかんないけど(^ ^;)
致死性のヒュウガウイルスによって起こる“最後の審判”。そこで提示された可能性を、ヒデはどう感じたんでしょうか?それが知りたいですね。本の感想はたぶんホームページの方に書いてくれると思うけど。
私は確実に淘汰されちゃう方の人間で(^ ^;)、ヒデは間違いなく生き残るでしょうし。淳くんも生き残るだろうなあ………そういう濃い生き方をしている人って憧れるし、すごいなあって思うけど、でもそういう人ばかりの世界って、息苦しいんじゃないかなあ、って感じますが。
そういう試される場面になったら…私は結果を知る前に逃げちゃうだろうなあ。

●「アンドロメディア」渡辺浩弐[幻冬舎文庫](98/6/18)

帯に「SPEED主演映画原作」と書いてあって、「映画のノベライズか。」と通り過ぎようと思ったら、みたことある作者名。「1999年のゲームキッズ」をファミ通(だっけ?)で連載している方ですよね。映画のノベライズじゃなくて、「原作」ってことだし、あらすじを読んだらおもしろそうだったので買ってみました。
人気アイドル・人見舞の仕事の一部を肩代わりするために、コンピュータプログラムで舞にそっくりなAIが作られた。外見だけではなく、舞の脳の中の記憶までコピーされたAIは、意志を持ちはじめる……
バーチャルアイドルモノで、ネットワークモノ…っていわれると、それだけで陳腐さを感じてしまうけど、でもこの話はマニアックにもなりすぎず、陳腐でもなく、ほどよいバランスでなかなかいいです。途中からのミステリー的な展開、そして最後のホラー的なクライマックスもドキドキしながら読めました。…AIがちょっとかわいそうだったなあ……正直いって、舞よりもAIの方に思い入れをしてしまいます。
小説はなかなかおもしろかったですけど、これどうやって映画化するんだろう……新キャラを入れるにしても、女の子4人をある程度平等に出すには、大変じゃないかなあ。だって、舞=AIがあまりに強烈すぎるもの。

●「怪しい人びと」東野圭吾[光文社文庫](98/6/16)

短編集です。ミステリぽい話が多いかな。東野圭吾さんですし、安定したレベルの話が楽しめました。

●「グイン・サーガ外伝14 夢魔の四つの扉」栗本薫[ハヤカワ文庫](98/6/16)

おおー、もう出てました!!
いよいよ鬼面の塔に突入したグイン。そこで出会う様々な怪物たちとの対決です。今回嬉しいのは、ザザ&ウーラの復活(*^ ^*)ですね。ユリウスも復活してましたが(^ ^;)。この人がでると、伏せ字が多くなるんだよなあ…
9月上旬発売の外伝15が、「ホータン最後の戦い」なので、そろそろグインもシルヴィア救出記の終了、グインの本編復帰となるんでしょうか?
ちなみに本編の方は、7/10に61「赤い激流」発売。今年は一体何冊のグインがでるんだろう(^ ^;)。年間4冊のノルマが……と言ってた頃もあったのにねぇ…

●「グランディスの白騎士 王女グリンダ2」茅田砂胡[大陸書房](98/6/15)

「王女グリンダ」の二冊目。表紙は「デル戦」と同じく、沖麻実也さんで、正装(でも男装)のリィと、ウォルが表紙ですが……これ、ウォル(^ ^;)?なんだか上品というか、貴公子みたいなんですけど(爆)。
この二巻は、「デル戦」とはかなり違う話の展開になってます。リィに新興国グランディスの皇太子・カミール王子より求婚があった。リィはこの申し出の事情をさぐるために、グランディスに乗り込むが…
これはなんといってもリィの女装!!ですね。なんたって、妖精のように可憐な姫ですもの!!
「デル戦」でもまた女装してほしいけど、無理かなあ(^ ^;)。ダメならシェラの盛装(もちろん女装のだ)がみたいなあ。
話は元に戻って、このシリーズ、二冊目で徐々におもしろさがアップしてきて、これから!!…ってところでシリーズ中断になるなんて、当時のファンは苦しい思いをしたでしょうね(^ ^;)。これで終わらなくて、新しく「デルフィニア戦記」として始まってくれてよかったです、本当に。
「王女グリンダ」読んだら、つい「デル戦」が読みたくなって、全部ひっぱりだして読んじゃったじゃないですか〜。「デル戦」の方は、文句なしにおもしろいねぇ(*^ ^*)。

●「デルフィニアの姫将軍 王女グリンダ1」茅田砂胡[大陸書房](98/6/13)

あの人気シリーズ「デルフィニア戦記」の原形となる(?)シリーズです。1992年に大陸書房から2冊出版された後に、出版社が潰れたせいで、幻の話になっていたのが、中央公論社から新たにスタートした…のが「デルフィニア戦記」で。これらのことは、ファンの間では有名で、私も「大陸書房版デル戦」の噂は聞いてたんですが、やっと!!読むことができました〜。ときさん、貸してくれてありがとうございますっ!!
この話は、「デル戦」の5巻、第二部スタートあたりからの話になります。シェラがリィのところに侍女としてやってきて、色々あって(笑)リィに懐くまでの話です。イラストは「デル戦」と同じく沖麻実也さん。本編と似たようでちょっと違う話の展開となっています。メインとなるのはリィにシェラ、その次に出番が多いのはイヴン、その次がカリンで、その次がシャーミアンとウォルあたり。あとバルロもちょっとだけでてきます。「王女グリンダ」にでてきて、「デル戦」にでてこない人もいるし、読んでてなんかちょっと不思議な感じがしますね。
「デル戦」ではあまり言及されなかった、ファロット一族のある技(^ ^;)が結構詳しく書かれていたのが…でした(^ ^;)。リィに色仕かけで迫ろうとするシェラが見れますよ(爆)。
で、もし「デル戦」を読んでなくて、これだけを読んでたら……「なんだかおもしろそうなんだけど、よく設定がわかんないなあ…」と思っちゃうかもなあ。特に、デルフィニアがあんな妙な国になっちゃったあたりの事情がわかりにくいというか。「デル戦」ほどの圧倒的なおもしろさには少し欠けるような気がします。それだけ、茅田さんもうまくなった、っていうのもあるんでしょうね。
でもなんだかんだいいつつ、楽しかったです〜。シェラのファンは必見でしょうねー。でもこれ、古本屋で手に入れるのも難しいとか。(あってもプレミアがついているらしい。)

●「日本殺人事件」山口雅也[角川文庫](98/6/12)

1994年にハードカバーで出版された本の文庫本化です。へー、もう4年になるのか(^ ^;)。それほど昔という気がしなかったけど……それって年をとった証拠かしら(^ ^;)。(単に「続・〜」と混合してるだけかも。)
それはおいといて、この本は日本文化に心酔するあまり、日本を妙に勘違いしたアメリカ人が書いた、日本を舞台にした奇天烈なミステリーを、日本語に翻訳した…という設定の小説です。
この小説にでてくる日本は、灯台がわりにデカい観音様は立ってるわ、家の門には鳥居はついてるわ、帯刀したスーツ姿の侍がいるわ、吉原は存在するわ……その無茶苦茶さがすっごく楽しいです。早く続編も文庫本化してくれないかなあ(^ ^;)。

●「海魔の紋章」夏見正隆[ソノラマ文庫](98/6/10)

海に飛行機が墜落し、生存が絶望視されていた中で、奇跡的に命を取り留めた高校生・龍造寺瞬。彼は記憶の一部を失い、かわりに自分の中に何か異質な意識を感じていた。彼が収容された病院に、“人形つかい”の女たちが現れ、瞬の中にいた生き物が現れた……
バイオ伝奇アクションモノって感じかなあ。凄腕の傭兵、妖しい美女、バケモノ達の戦い、なかなか色々な要素が詰め込まれて派手なのはよかったなあ、と。“人形使い”がなかなかえっちなのもよかったんじゃないかと(笑)。ただ、主人公の瞬がかなり暗かったのがちょっとね(^ ^;)。等身大の16歳の男の子はああいうものなのかもしれないけど、まあ次で開き直ってくれることを期待しています。

●「帰郷」太田忠司[幻冬舎ノベルズ](98/6/9)

ショートショート集です。34本の話が入ってます。
SFからミステリから、幅広い話になってます。なかなかおもしろかったです。ショートショートだから、こまぎれに読むことができるのがいいですよね。ただ、この本、意識して…だろうけど、行間が広いんですよね。もうちょっとつめてくれた方が読みやすかったです(^ ^;)。

●「イズミ幻戦記6 烙都紅蓮編III」若木未生[スーパーファンタジー文庫](98/6/8)

お待たせしました〜、のイズミの第6巻。…5巻がでたのはいつだったかなあ…読んだのがかなり前だったせいもあって、ストーリーの細かいところを忘れてて、なんだかよくわかんなかったです(^ ^;)。
今回が京都編の最後ってこともあって、かなり派手なストーリー展開となりました。
前のオーラバスターあたりから思ったけど、文章が変わったような……作者が伝えようと頑張ってるのはわかるんだけど、どうも私とは波長があわないというか、何が言いたいのか、わかりにくい文章になってて。リズムもあわなくて…うーん(^ ^;)。相性がよくないのだろうか…
あと、体調がどうもよくない時に読むと、面白さも半減しちゃうからね(^ ^;)。そのせいもあったんだろうなあ。

●「破剣戦鬼ジェネウ 恩讐の変」荻野目悠樹[コバルト文庫](98/6/7)

「破剣戦鬼ジェネウ」の続編にして完結編。いやあ、びっくりしました、まさか二冊で完結するなんて。たった二冊とは思えないほど、濃い、読み応えのある話でした。
舞台はモンゴル帝国を彷彿させるヴァーサ帝国。少数民族・キャムソールの貴族・ジュネウは、帝国軍に心を操られ、姉のような存在・ミリッカの婚約者のウエルネルを裏切り、彼は命を落としてしまう。ジュネウは仮面の力を借り、ミリッカとウエルネルの弟・エスキルを救い出すが…
いやあ、今回も主人公イジメはすごかったです(^ ^;)。ジュネウくんは病弱な美少年なんですが、仮面をかぶるとそこからでてくる薬物の影響でまさに鬼のような動きができるようになるんだけど、仮面をとるとその反動がきて、どんどん体が壊れていくわけで。その上、今回はどうしようもない状況に何度も追いやられて、ハラハラしながら読みました。最後、どうなったんでしょうねぇ…

●「封印された夢 霊鬼綺談」小早川恵美[ホワイトハート](98/6/6)

シリーズ3冊目。霊感の強い男の子と、神社の跡取りで妖狐を使役する少年のふたりの高校生のゴーストバスターものです。今回は双子の女の子の話。今回の話は、「まあまあ」って感じでしたが、謎の少年が今後主人公二人にどう絡んでくるかが楽しみです。表紙がキレイですよねぇ、今回。

●「聖王の柩」藤原京[スーパーファンタジー文庫](98/6/5)

「邪眼」などの“悪魔シリーズ”がすごく好きだったので、ずっと本が出なくて寂しかったんです。でも新シリーズってことは、もう“悪魔シリーズ”では新刊でないんだろうなあ…残念。
さて、今度の新刊は、古代ローマ(いや、ギリシャか(^ ^;)?)を彷彿させるような、アフトレシィが舞台です。少女ネフェルタは、その不思議な力を王の前で披露したことから、今までの生活に終わりをつげ、新しい運命に巻き込まれる…という感じの話でした。話の雰囲気とか悪くなんだけど、話が進まない(^ ^;)んですよねぇ……水面下での陰謀が色々進行しているようですが、もうすこしはっきり見えないし。もうちょっと盛り上がるところまで書いてほしかったなあ。まあ、(おそらく)シリーズ一冊目みたいだし、これから先を読まないとなんとも言えないけど。
それにしても…この表紙はなんとかならなかったんでしょうか(^ ^;)?古代の壁画のイメージで、こういうのになったのかもしれないけど…うーん(^ ^;)。

●「サイケデリック・レスキュー」一条理希[コバルト文庫](98/6/4)

病院がテロリストに占拠された。人質をとって立ちこもり、10億の身の代金を要求した。リミットは2時間。しかも、テロリストは市内各地に爆弾を仕掛けていて…現場の病院に居合わせた高校生の恭平は、水城財閥私設の特殊救助隊と協力して、テロリストに立ち向かうことになるが…
これはすごい!!どうなるかとハラハラしなから、最後までイッキ読みでした。特殊救助隊の設定はいささかコミック的なものの(個人的にはこういうのすごく好きですが)、ここで起こる事件の描写や展開の容赦のなさは、ライトノベルズにはもったいないような本格派でした。オススメ本です。
この作者の前の本の「ネットワーク・フォックス・ハンティング」もおもしろかったです。もう2年も前の本だけど…これは、大地震で崩れたビルの中に閉じ込められた、喋れない少年が、ネットを通じて助けを求めて…というような話でした。ここで出てきた、モバイルパソコンは、当時「すごいスペックだなあ」って思ったけど、2年たった今、この程度のが出てもおかしくないところにきてるんだよね…(たしか300MHzで、PHS内蔵型でした)月日の流れの早さを感じるわ(^ ^;)。

●「女子校サバイバル 純情可憐編」須賀しのぶ[コバルト文庫](98/6/4)

「女子校サバイバル」の続編。成り行きでグラウンドホッケー部に入った女子高生・キリコのお話です。学園コメディ。
いやもう、楽しかった(*^ ^*)。この話は、キルゾーンの反動か(笑)、女の子ばっかり(でも今回は男の子も登場!!)の話です。ひとりひとりが生き生きしたキャラで、おもしろいんだな。個人的にはスイがお気に入りだったりします。疲れている時とかに、ガーっと読めば、元気になれるような話です。

●「ボーダーライン EM4」雨宮早希[幻冬舎ノベルズ](98/6/3)

エンバーミングシリーズ4冊目。
エンバーミングというのは遺体修復のこと。日本ではなじみのない風習だけど、アメリカでは日常的に行われてるそうです。主人公の村上美弥子は日本人初のエンバーマー。美弥子の元に、栄養失調で干乾びた女性の遺体、サウナでミイラ化した遺体…というような、変死体が処置のために送られてきた。これらの事件につながりはあるのか?また、美弥子はストーカーの男に付け回されて…
今回は美弥子の恋人の成瀬くんが大活躍ですね。このシリーズの中では、今回のが一番おもしろかったかも。

●「カレイドスコープの少女」内藤渉[富士見ファンタジア文庫](98/6/2)

ネットで評判がよかったので、買ってみました。第9回ファンタジア長編小説大賞佳作受賞作。なかなかよかったです。
かつて、かつて、工匠たちの手によって、さまざまな機械じかけの道具や建物、そして人間そっくりの機械人形まで数々作成されていた。文明の崩壊と共に工匠たちが滅び、原理のわからない機械だけが残った世界。それから200年。機械の修理を代々行ってきた、「奇跡の腕」工房のルディン。彼は酒場で、人間にしか思えないような、精巧な機械人形と会う。それからルディンは、機械人形たちと、古えの魔王や魔術師との争いに巻き込まれることに…
ヒロイン(たち)もそれぞれ健気でいいし、ルディンもいい奴で、まっすぐな恋愛モノの要素もあって、なかなかさわやかでいいんじゃないかと。おかれた状況はなかなか悲惨なものでありますが、登場人物たちが前向きだから、読後感もいいし。続き出てほしいなあ、これ。

●「踏みはずす美術史」森村泰昌[講談社現代新書](98/6/1)

現代美術関係の展示会をよく見る人だったら、この作者は知ってるんじゃないかと。「モナ・リザ」やゴッホやマネなどの作品そのままをコスプレして写真をとる人です。私も何度かみたことあって、「変なことしてる人だなあ」ってかなり印象に残ってました。(現代美術では、変でない人はいないけど(^ ^;))
森村氏はどうも「美術鑑賞」というのがわからなかったそうで、そこからどうやって美術を楽しむようになったか…という自分の体験を通じて、ひとつの美術の楽しみ方を伝えてくれます。
「考えるな、食べろ、着こなせ!」と。
論理が明確で、すごくわかりやすい、楽しい本です。この本では「モナ・リザ」を「着こなす」仮定でどういうことがわかったかの分析や、ゴッホ、ピカソ、岡本太郎、アンディ・ウォーホール、シンディ・シャーマンなどについてとりあげられています。
6/16〜8/2まで京都国立近代美術館で個展が開かれるんですが、楽しみです。

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