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【ファンサイトの問題(2)】 01/07/13

なんだか今更ですが、6/26,6/28の日記で書いたファンサイトの話。愚者の戯言 6/30より。CD→CDのコピーやはり相当まずい模様。(録音できる)MDやDATのハードウェアの費用に著作権使用料が入っていたのは知ってたのですが、メディアにも含まれてるんですね。でも同じ性能のCD-Rがあって、わざわざ高い音楽用のCD-Rを購入する人なんていなさそうだけどねぇ。とにかくデジタルデータの私的利用を超えた複製や無断配布は後暗いことだし、誰でもみれる場所(個人サイトでの日記や掲示板など)で言わない方がいいのは確か。

その閉鎖を勧告されたファンサイトを私の友達もたまたま見てたそうなんですが、彼女から聞いた話によるとそのサイトは雑誌の最新号からスキャンした画像を(まだ発売期間中に)載せてたり、スキャンした画像は自由にダウンロードできるようにしていたのに、それらの画像を自分で加工したもの(和服姿のアイコラなど)は右クリックできなくしてダウンロードしづらくしてたそうです。スキャン画像載せるにしてももうすこし仁義というものが…発売中の雑誌の写真を載せちゃうのは明らかに商売妨害となるし、人の著作権に対してはおざなりなのに自分の著作権については敏感(だと思われる態度をとる)と反感買っちゃうからマズいだろうに。

さて、「例えファンサイトが無断でスキャンした画像を使ってたり、映像や音楽ファイルを流していたとしても、宣伝になるからいいのではないか?」という意見について私の考えなどを。これはそのタレントがターゲットにしているファン層や、企業の戦略によって変わるのではないかと思います。詳しいことはまた今度。


【ファンサイトの問題(2)】 01/07/18

続き。
これはタレントがターゲットにしているファン層や、売り出し戦略によって違ってくるでしょう。前に「キャラクタービジネス」についての話で書いたことと話は大きく重なります。個人サイトに無断で画像が載ることでタレントさんの露出が増え、宣伝にはなるかもしれませんが、それは必ずしもメリットばかりではありません。マイナーなタレントさんであれば露出が増えることのメリットが大きいでしょうが、すでにメジャーなタレントさんの場合はデメットの方が上回るのではないかと。

話を一般化して、ファンサイトが存在することで考えられるデメリットをあげてゆきます。
(1)商売の妨害
違法だということはまずおいといて。たとえば雑誌のスキャン画像の掲載することで「これをダウンロードすれば雑誌を買わなくてもいいや」と思う人が沢山でてくるかもしれません。ファンサイト自体は商売でやってなくてお金を儲けてなくても、他者の利益の損失を招いてる可能性があるわけです。
MP3ファイルの場合も同様。(MP3ファイルの無断アップロードはすでに逮捕者が何人もでている非常に危険な著作権侵害です。)これからだと「着メロ」や「待ち受け画面」もそれを商売にしているところがあるだけに問題となる可能性は高いですね。
(2)スポンサーとの兼ね合い
結構知らない人もいるのではないかと思うのですが、タレントがCM出演する場合もどれだけの回数放映するとか、雑誌やWEBなどの媒体で写真をどういう風に利用するかによって契約料が変わってくるのです。だから、正規に契約した企業であっても、WEBに画像を載せるためにはさらに高いお金を払わけなればいけないのです。さて、WEBでは「URLさえ分かればどこのページでもみれる」という意味で、システム的には企業サイトも個人サイトも同じ板の上に載っています。それが「個人サイトが非営利目的でやってるんだし」というだけでファンサイトが画像をガンガン掲載してしまうと「画像を載せることができる」価値が減ってしまうために、企業はお金を払っただけの効果が得られなくなる可能性もでてきます。そうなったら企業側からみたら不公平に思えるのも仕方ないじゃないかと。
(3)ファンがイタいとイメージダウン
ファンがバカばっかりだったり、狂信的だったりすると、「ファンがあんなのだったら本人だって…」とそのタレントへのイメージも悪くなるものです。ファンサイトであっても公開されていればファン以外の人も見にくる可能性があるということを分かってない参加者って多いですからね。
(4)流れてほしくない情報が出回る。
過剰なプライバシー侵害や悪い噂が出回るのは論外として。情報の暴走についてはホームページ安全講座の情報の扱い方。で書きましたが、口コミだとなんの問題もないような情報がネットで出回ることで大きな問題となることがあるのです。公式発表前に情報を載せちゃって関係者に迷惑をかけたとか、「○○の店でタダでポスターがもらえるよ」と書いたせいでその店に問い合わせ電話が殺到して結果として業務妨害になったとか。実際にファンサイトをやってみるまでそういうことが問題になりうるなんてわからないですけどね。怖いですよ、情報は扱い方を間違えると凶器になりますから。

まあここまではファンサイトの運営に問題がある場合ですが。全く問題のないファンサイトであっても、存在するだけでオフィシャルからすると困ることもあるわけです。
(4)イメージ戦略の問題
露出が増えて多くの人に知られることは必ずしもいいことばかりではないのです。有名であることは普通はプラスですが、ある限度を超えると「見過ぎて飽きた」になってしまう恐れが。そういう「すりへらし」対策のために、オフィシャル側はあれこれ工夫して、メディアでの露出をコントロールして、ある程度飢餓感を煽ることでタレント寿命を長くしようとすることもあるわけです。
こういう戦略をとっているならば、ルール違反を全く行っていないまっとうなファンサイトであっても、存在するだけで迷惑になることもあるわけです。
(5)ネタバレの問題
ファンとしてはコンサートや御芝居の内容をとにかく早く知りたいものですが、タレントさんからすると観客には先入観なしにみてもらいたかったりするのです。実際これが原因でオフィシャルからあるグループのファンサイト側に「閉鎖してほしい」という要求が過去にありました。こういう場合は法的にはなんの問題もなくても、ファンの仁義としてどうするべきか、ですねぇ…対策としてはネタバレのエリア(コンレポやネタバレOKの掲示板など)を実際に公演をみた人でないとわからないクイズを解いて初めてみることができるようにするか、公演が終了するまでネタバレ自体を自粛するか。
(6)批判の問題
ファンサイトでの批判(誹謗中傷ではありません)を気にするようなオフィシャルではダメダメだとは思いますが、ナイーブなタレントさんもいますからねぇ…批評はタレントさんを傷つける可能性があるだけではなく、その批判を読んだ一般人が批判を鵜呑みにして対象となるタレントさんを侮ったりすることもあるわけで。もっと穿った見方をすれば「この仕事に○○さんを起用しようか」と思ったクライアントがネットで検索してみつけたファンサイトの批判を読んだせいで「この人はダメだ。やめよう」と思うことだって、絶対にないとは言い切れない。
批判をする場合は、それらの可能性を覚悟の上で、表現方法などに気を使った方がいいと思います。何度も書くけど、ファンサイトというのはファンだけが読みにくる場じゃないですから。言いたい放題したいのなら、友達とか気心の知れた人達しかこないクローズドな場所でやるべきかと。

結局言いたいことは、ファンサイトの管理人は「ファンサイトを持つことでタレントさんの応援をしているんだ」とは思わない方がいいかもしれないってこと。自分がよかれと思ってやっていることが、人にとって嬉しいことではないってことはよくある話じゃないですか。それと同じ。
もちろん、ファンサイトがあることを喜んでいるタレントさんや芸能事務所も多いだろうけども、全てがそうであるべきだとは思わないこと。ただしオフィシャル側がファンサイトを歓迎してなくてもファンサイトをやめる必要はないし、人の権利を侵害しない範囲での言論の自由を行使することになんら問題はないでしょう。…でもオフィシャルに「サイト閉鎖してくれ」といわれてもサイトを続ける気力がある人はなかなかいないでしょうが。
最初から「別にタレントさんのためじゃなくて、自分や同じファンのためにやってるだけだ」と思っておけば、オフィシャルとトラブルになったときに少しは気持ちが楽なんじゃないかなあ。

私は昔、「みーはー倶楽部」というジャニーズ系総合情報サイトをやっていて、その筋ではそれなりに有名でした。でもジャニーズ事務所との関係は必ずしもいいものではなかったんですね。まあ向こうから直接メールがきたりしたことはなかったのですが、関係者の方の話が風の便りに聞こえてくることもありまして。それによると、うちのサイトを気に入っていたジャニーズスタッフの方もいたんですが、苦々しく思っていたスタッフもいたようです。それも無理ないだろうねぇ。だって、ジャニーズ事務所のやり方にはかなり問題がありまして(特にチケット関係)そのあたりをうちのサイトで指摘したりもしてましたから。ジャニーズ側の不手際をなんとかごまかそうとしていたのを露にしたこともあるし。
でも言い訳をさせてもらうと、本来は事務所がやるべきガイダンスやファン教育をうちのサイトが担っていたところもあるわけです。そういう意味では貢献していた部分もあると思うけどね。別に感謝してもらいたいとは思いませんが。
こうやってオフィシャル側を非難することもありましたから、その反撃をうけないように、自分の身を守るため、法的にスキを見せないようにかなり気を配っていました。画像アップやMIDI、歌詞掲載、ダビング関係など著作権法上問題になりそうなことは掲示板でも全面禁止、海賊版グッズや同人誌の話題も取り扱ってませんでしたし。あと商用サイトだと思われないように、広告バナーも一切入れませんでした。
唯一問題になる可能性があったのは、イラストの掲載くらいかな。でも現状からすると商用サイトでなければイラストが載ってるというだけでなんらかの処分をすることは難しいだろうと踏んでましたので。(念のため、雑誌の写真をそのまま模写したようなイラストは著作権侵害とみなされる危険性は高いです。あと、グループ名のオフィシャルロゴもかなりヤバいです)
それもあって、オフィシャルとの間には表立ってのトラブルはありませんでしたけどね。別件でマジで身の危険を感じたトラブルはありましたが…これについては公開しちゃうとなにかと差し障りがありますので、知りたければオフ会であった時とかに聞いてみてください。

ネットが一般化して、一部のマニアのものでなくなってきてることで、オフィシャルサイトとファンサイトとの関係というのはなかなかに微妙なものになりつつあると思うのです。昔のような牧歌的な世界にはもう戻れません。
ファンサイトをやるのって楽なことじゃないですよ。オフィシャルやマナー知らずのファンや、嫌がらせをするアンチとかいろんなものと戦っていかなきゃいけなかったりしますから。覚悟と根性がないとやっていけない。
それでもファンサイトをやるメリットはあります。一番は同じファンの友達がたくさんできること。好きなものについて心ゆくまで話せる場があること。あと表・裏を問わず情報が集まりやすいことかな。
ファンサイトを楽しく続けるためには、できないことまでやろうとはしないこと、自分のジャンルだけではなく他のタレントさんのファンサイトではどういう運営をされているとかネット全体の潮流だとかを知っておくこと。また相談にのってくれる経験や知識が豊富でバランス感覚のある友達を持つこと。…そういう友達がいないのであれば、私でよければできる範囲で相談にのりますので、なにかあればメールでどうぞ。

ジャニーズがなんでオフィシャルサイトを持っていないのか?や、某スポーツ選手のファンサイトで起こった問題など、ファンサイトトラブル実例はまた次の機会にでも。


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