エッセイと言うか、作文と言うのか、思いついた時に。


2006/03/31(Fri)  単細胞
札幌で無事に初日を迎えた現在だからこそお話できるのですが
単細胞のわたし、今年のひな祭りの時期、何とも辛い日々を送っていました。アハハ。
(向田邦子作品に参加出来る!と大喜びで跳びついて『びっくり箱』の稽古に参加していたのですが、役創りで、目指すべき方向が間違っていたからなの!!)

原作では母と娘の物語ですが、上演台本(脚色・中島淳彦)では
余貴美子さんと、沢口靖子さんが演じる、ふたり姉妹の話になっていて、
それぞれの恋人役を永島敏行さんと、佐藤重幸さんが演じるのですが
この二人の男性はどちらも世間で言う爛劵皚疆な人物として登場するのです!
(わたしは、酸いも甘いも噛み分け、ヒモみたいな生き方をする男さえも、肯定している春子おばさんとして、この二組のカップルの前に登場する役なの。稽古初日に受けた雑誌の取材でも『今回の役は原作に無い人物ですが昔、わたしの周囲に居た善意に満ちた人物【母子家庭のわたしたち三人兄弟を何気に見守ってくれた人たち・近所にいたおせっかい焼きのおじちゃん・おばちゃん】をモデルにして演じてみたいのです』と語っていたのに、迷路に迷い込んでいました。)

他のメンバーは順調そのもので、稽古が進んでいる中で
わたしの頑張りは、横道にそれていた。
役創りのメドが立たないので、こころは【落ちこぼれ状態】
レインボーブリッジを渡る度に『この橋の向こうは、ホントに夢の舞台につながってくれるの?』
と、悶々としていた。

(共演の佐藤重幸さんと「マンモスを見よう!」と、早朝デート?!をして、楽しさで気を紛らわせた日もありましたが、橋の名前を恨めしくさえ思いながら、稽古場に通う、辛〜い日々を過ごしていたの。あはは。バカですね〜。)

わたしの演じるべき人物・春子さんは『亡くなったあんたのお父さんは、世間一般からみたら、ひもって呼ばれるようなひとだった』な〜んてコトを、隣の娘さんにうっかりポロッとしゃべってしまう人物。
春子は生まれた時からの善人とは言えなくても、周囲の皆には『きっと、善人なんだろうな〜』と思われている人物。
わたしは善人ぶっているが善人ではないから【そんなコトをポロッとしゃべってしまう大人の存在が信じられない】
アタマでは理解しても、自分のこころと身体を通して表現するのは、難しい作業でした。
(本音を変えずにそれらしく言っても「サブさんは、っだって思っているだろうな」と、自分の声のウソが、恥ずかしいンです。ふふ。【俳優って、変な生きもの】でしょう?)

    *   *    *

稽古は、開始前には俳優だけでなくスタッフも一緒になって、ラジオ体操をしたり
ZIPZAPというゲーム(?)のようなコトも取り入れる新しいシステム。

新しい作品に取り組む時わたしが最初に考えるのは、自分の受け持つべき任務。
今回は【チーム最年長のわたしの受け持つべき役割】でした。
(多くの場合、非現実の物語と現実の観客の心を結ぶ大切なポジションの役を与えて頂くので、まずそれを考えるクセがついたの)
その次が役創りで、言い難いセリフこそ役と自分を繋ぐ鍵だ、と考えていますが
今回は、そのキーワードの『可愛いわねえ、男って生きものは。』が、ちゃんと言えない。

演出の福島三郎さんは、不器用で単細胞のわたしを、気長に見守り
サポートしてくださって、役と自分のこころを素直にすり合わせるべきだと、言われる。
だがわたしは、素直になれない。
(まだ精神が幼いのでしょうかわたしは【 ヒモ 的な生き方の 男性の存在そのもの】が容認出来ないの。本音では【男ってズルイ生きもの】と思い【オトコを、丸ごと可愛い】とは信じていないので、どうも、声が濁ってしまう。)

【子供達と生活できずに、つい、笑顔さえ忘れたオバチャン】の形象に拘って
自分流の役創りをして、ジタバタして居た訳で、モチロン OK は出ない。
結局、ある時 『こんなに苦しいなら、人生観変えちゃおう!』 と思った。アハハ。
(『可愛いわねえ、男って生きものは。』を、ストンと言うためには、人生観を変えなければ、ならなかったの・・・。)

【ズルイのも、可愛さの内】と心から思えるように成れたらわたしも、大人に成れる。大成長ダ!
・・・と気がついて、チョッピリ変身。
(ひたすら懸命に生きて来た65年間だったので、染み付いた人生観を変えるのは大ごとデシタ!『ひとつのセリフを言うために、一々人生観を変えるノオ〜?!』って、笑わないでくださいね。)

春子おばさん
人生観をそっくり変えられたとは思わないが
変えようと思った事で【これからの人生が楽しみ】になったし
何より、気が楽になったのは確か。
はたして、札幌のお客さまのアンケートに『春子おばちゃんが、可愛いかった』
の一行もあったという。

(⌒ー⌒) 『 サブさん、ありがとう。』 (⌒ー⌒)

   これからの人生が楽しみになった単細胞の  LEIKO

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