エッセイと言うか、作文と言うのか、思いついた時に。


2004/08/26(Thu)  グルメ嫌い
この夏“打ち水”をして都会の温度を下げようと、呼びかけるイベント
『大江戸打ち水大作戦』に参加した。
初日には東京都庁前広場で打ち水をして
最終日には曳船にある小学校の庭で打ち水をした。

小学校では、子どもが好きな遊び“どじょうつかみ”があった。
地元の消防団の協力で、浅いプールが出来て何キロかのどじょうが放され
子ども達は狂喜して、つかみ取りをする。
どじょうに触ったことのないわたしにも、その楽しさがビンビンと伝わって来る。

マイクを向けた司会の娘さんに、その多くの子供が、下町の子どもらしく
捕まえたどじょうを「食べます」と言う返事をしていた。
驚きを隠しながら「そうなんダ〜」と、あいずちを打つのを
笑いながら見ていたけれど
わたしも、どじょうは食べたことがない。

うなぎは好物のひとつだが、どじょうは多分、これからも食べないだろうと思う。

いわゆる“食わず嫌い”と言う訳ではない。
12〜3才の頃に、読んだエッセイのせいである。

安藤鶴夫か、井伏鱒二のエッセイだったかと思う。
(わたしが母に代わって、代理主婦をしていたのだが、ようやくガスが引けた頃)
『水を張りどぜうを泳がせた鍋を、七輪に載せる。団扇で扇ぎ火力を強くする。
そこに豆腐を入れるとどぜうは我先にと、その冷たい豆腐に頭からもぐる。
これ真に美味。どぜうはこのようにして食すべき物なり』
と云う内容のエッセイだった。

この文に出てくる“どぜう”がどうにも気の毒に思えて、この時から
“グルメって、嫌い”と思うようになってしまった。

美味しい物が嫌いな訳でも
グルメ自体をイヤだ、と言うのでもない。
美味しい物は好きだし、生き造りのお刺身なんかには目がないのだし
イイコぶって言うノデモナイけれど
どうにも、どぜうだけは
ダメなのである。

    くいしんぼうなのに、グルメ嫌いの LEIKO



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