ザッパの音楽はあくまでもロックだと私は思うのだが、ジャズやフュージョン的なアプローチをしている作品も多数存在する。普段はジャズやフュージョン(この2つを一緒のカテゴリーにすることについて、異論のある人は多いだろうけど、私自身これらの音楽についてあまり明るくはないので、ご勘弁願いたい。)を嗜む人の中にも、ザッパって面白そうだから聴いてみたい、とか、Jan Luc PontyやらGeorge Duke、Brecker Brothers、Chester Thompsonなんかも参加しているのか、とか、そういう方面から入門する人もいるに違いない。そして、「だけど、ロック的な音はどうも好きになれないのだよ」などと思っているかもしれない。
そういう人達には、次の3作品をお勧めする。(でも、この分野に関してはあまり当てにはならないかも…)
"Hot Rats"では、モード奏法によるザッパのギターが延々と展開されるし、ファンキーなセッション風の曲も収録されている。また、他のところでもさんざん書いたが、"Grand Wazoo"は、大傑作である。これはもう、ジャズのビッグバンド風アレンジで、ザッパを除き21人のオーケストラで奏でられる音の世界は、もう本当に素晴らしい。以上の2作はスタジオ版で、各1曲ずつのヴォーカル曲の他は全てインストである。
"Zappa In New York"は、どちらかというとフュージョンよりの「部分がある」。もしかすると、Brecker Brathersが参加しているというだけで、とりたててそれっぽくはないのかも知れない。Patrick O'Hearnのなにやらフワフワしたベースがなかなかいい。
これらの他にも、"Grand Wazoo"と同時期に制作された"Waka/Jawaka"もお勧め。因みに、アルバムタイトルに"Jazz"の文字が入っている"Jazz From Hell"と"Make a Jazz Noise Here"は、いわゆる一般的にイメージするところのジャズとはかけ離れているので、注意が必要。但し、"Jazz From Hell"は、もしかしたら、それなりに楽しめるかも知れない。
まぁ、何だかんだ言ってもザッパの音楽なので、いわゆるそれ風なものを求めてこれらの作品を聴くと、完全に当てが外れる。ジャズのアプローチと言ったって、スウィングしまくりという訳でもないしね。