98年2月に読んだ本。

●「日本語がもっと面白くなるパズルの本」清水義範[光文社文庫](98/2/28)

待ち時間の暇つぶしのために買った本です。タイトルから「雑学の〜」という系統の本を連想しますが、どっちかというと、日本語に関するエッセイみたいな本です。日本語のおもしろさを生かした小説を数多く発表している作者だけに、その切り口がおもしろいです(*^ ^*)。最初がいきなり「吾輩は猫である」のパスティーシュから始まるし(笑)。「建前-本音」クイズはおもしろかったなあ(笑)。旅行のお供に気楽に読む本にはオススメです。


●「黄昏の夢物語」秋津京子[小学館キャンパス文庫](98/2/28)

薄幸の皇子・有間皇子の物語です。なんとこの話では、中大兄皇子と愛憎を中心に描いていて、やおいシーンもあります(爆)。有間皇子の話は、私はアウトラインしか知らないのですが、そのやおい的な解釈以外は特に史実からの極端な離脱はなかったと思いますが……それで十分か(^ ^;)。
まあまあおもしろかったですが、分量的に少なくて、話のアウトラインをなぞっただけのような印象を受けたのが残念でした。中大兄皇子の鬼畜ぶりは素敵でした(笑)。


●「エタニティ・ブルー −楽園追放−」金蓮花[集英社スーパーファンタジー文庫](98/2/27)

舞台は31世紀の月。地球は環境は破壊のため、人の住めない星になっていた。ユンは、月でのスラム街のセレネ3で、恋人のスイと暮らしていた。ドームの外の砂漠に、仕事に出かけたユンは、地球のような青い瞳の少年・メシエに出会い、事件が始まった…
最初は、スイを女の人だと思ってました(^ ^;)。……まあ、この話の場合、男同士の恋人が出てきても不思議ではないし(底辺の生活のため、女性は極端にすくなく、いたとしてもすぐに売り飛ばされてしまうのだ)。…それにしても、スイがかわいそうだなあ。だって、あのスイの行動は、ユンに惚れていたから、でしょ。憎んでいるだけだったら、もっと別の方法があったはずだもん。それがユンには全くわかってもらえなかったんだよねぇ……


●「決戦前夜 Road to FRANCE」金子達仁[新潮社](98/2/26)

「28年目のハーフタイム」の作者による、サッカー・ワールドカップアジア最終予選ドキュメント。中田くんと川口くんを中心に、人間ドラマとして描かれています。
個人的には…うーん、ちょっと物足りないかなあ。もっと前面に金子節がでているような、ドラマティックなのを期待してたんですが、思ったよりもそういう部分は押さえ気味でしたねぇ。あと、この本の元になる雑誌掲載の記事をほとんど目にしているから、っていうのもあるかも。個人的には、イラン戦直後の「NUMBER」に載ってた、「祈り。」のようなものを期待してたので(^ ^;)。これには泣けたから……
そういう個人的に期待していたのが叶えられなかった部分はあったけど、やっぱりおもしろいのはおもしろいです。ヒデと川口くんのファンは必見でしょうね。ヒデのわがままな子供のような一面を示すエピソードとか、「くぅぅぅっっ」ってなるようなところはたくさんありますし。
最終予選直後に比べると、岡田監督批判はかなりやわらかになっています。直接インタビューして話を聞いたのかよかったんだろうね。ただ、カズ批判はかわらず強烈です(^ ^;)。
あとがきにも書いてありましたが、最終予選大活躍だった、秋田選手についても描いてほしかったですよねぇ。ワールドカップ本戦の後は、じっくり取材する時間を使って、もっとたくさんの選手に話を聞いて、本を書いてほしいなあ、と思います。
これを読む人は、できれば後藤健生氏の「アジア・サッカー戦記」も読んでほしいです。こちらはもっとアジア全体からみた最終予選を描いていて、全体の構図がわかりやすくなります。


●「タイム・リープ あしたはきのう 上/下」高畑京一郎[電撃文庫](98/2/25)

評判いい作品なので、読んでみました。
高校生の女の子が主人公で、タイムトラベルもののラブストーリーといえば、「時をかける少女」を思い出しますが、これとは違った味わいに仕上がっています。構成が巧みで、少しずつ真相が見えてくるあたりがなかえおもしろいし、ドジな女の子と、ちょっとクールな男の子のキャラもなかなかいいです。読後がさわやかな佳品でした。
唯一の不満は、なんでこの分量で分冊するかなあ、電撃文庫ってところかしら(^ ^;)。


●「真・運命のタロット4 《審判》はレクイエムを歌う」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/24)

第二部の四冊目です。今回もカザフ編です。《魔法使い》の出番、少なすぎですよね(T T;)。この巻は、ほとんど《恋人たち》と文華が主役のようだ(^ ^;)。…それにしても、《恋人たち》なんだかすごくいい奴なんですけど(^ ^;)。カーシャちゃんへの「サービス」にはびっくりしましたよ(笑)。あんなことをする人なんて(^ ^;)。文華は、見たまんまのタイプではないようで、そのあたりが少しずつ見えてきたけど、これからどうなるか興味があります。《審判》は霊格からすると強いそうですが、全然そう思えないんですけど(爆)。…そうそう、彼って、ミステリファンなんですかね(笑)。
それにしても、このシリーズ、大アルカナと同じ22冊で終わるので、あと5冊ですが……5冊で本当に終わるんでしょうか(^ ^;)???とりあえず、「運命のタロット」シリーズ一気読みもこれで終わり。かなりややこしい構成ですが、一度に読んだからなんとかわかったものの、間が開いたら全部忘れそうで怖いなあ(^ ^;)。新刊は4月予定だそうで、とりあえず楽しみに待ちます。…といいつつ、この次の巻もかなりきっつい話になりそうなんだよね(^ ^;)。カーシャ、いい子なのにね………今回の話の最後の事件が引き金で…かなあ、やっぱり。


●「真・運命のタロット3 《力》よ、と叫ぶ者」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/23)

第二部の三冊目です。《死神》とのフェーデは、カザフを舞台に、大きな陰謀として進行していきます。
今回、《恋人たち》が再登場でしたが………途中で、「双子の兄弟でもいるんだろうか…」って思った位、別人です〜(^ ^;)。いい奴だし、ロマンチストでなんだかかわいいし。……それが、あれだけグレてしまったのは、なぜ?一体どれだけのことがあったんでしょうか…文華(かわいいよね〜)と関係があるのかなあ……
85ページの《死神》の態度と、141ページあたりの《魔法使い》の言うことがすごく気になるです(^ ^;)。《死神》のいう、「あの男」って、まさかあのお方を示してるんじゃ………


●「真・運命のタロット2 《正義》は我にあり」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/23)

第二部の二冊目です。《教皇》とのフェーデが終わったかと思えば、次は《死神》とのフェーデ。これから話は国際陰謀へと発展しそうですねぇ。それにしても、田村さん、怖いよなあ(^ ^;)。《魔法使い》のやきもちがかわいかったです(*^ ^*)。それにしても、ライコちゃん、転写されてから口が悪くなったと思うのは私だけ(^ ^;)??


●「真・運命のタロット1 《教皇》がiを説く」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/22)

第二部の一冊目です。読みはじめて…あれれ。前シリーズの最後がアレで、え?…あ、間飛んでるのね。ちょっと戸惑いましたが、あとで読んだところから考えると、その間に起こったできごとも鍵になるみたいですね。それにしても、飛ばしてます(^ ^;)。いきなり、ヒロインがとんでもない目に(^ ^;)……中盤の虚数意識論は、虚数がよくわからない人はこんがらがるだろうし、知ってる人にとっては……なんでエネルギーを二乗するんだ、とか思っちゃうしね(^ ^;)。まあ、あんまり深く考えないことにします(^ ^;)。
島津くんが再登場ですが、相変わらずでした(^ ^;)。なるほど、あの寮での合コンをあれだけ詳しく書いたのは、これの前振りだったんですね〜。
「運命のタロット」に関する謎もこれから解明されていきそうだし、あとは未来に起こるできごとね。怪しげなカインくんの今後も期待です。でもライコと何があったんだ(^ ^;)???


●「運命のタロット13 《女教皇》は未来を示す」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/20)

シリーズ13冊目。これで、一部終了です。前の巻よりもはるかに、きっつい内容。…田村さんも、なかなかな人だけど……でも、実は彼女の気持ち、よくわかる。自分にもそういうところ、あるし……
最後の方の、坂崎につきつけられた言葉も痛かった。
そして、最後の方……いや、もう泣きながら読んでました。本当に、「幸せになってください」です。
−−−それにしても。このシリーズ、本来なら11巻で終わらされる予定だったそうです。いやあ、続くことになってよかったです。一部終了の段階でも、まだまだ謎が山積みだし、このまま放っておかれたら、読者としては辛いぞ。
売り上げがあんまりよくなかったそうですが、それってティーンズハートででてるってこともあったのかなあ。なかなかおもしろいシリーズなんだけど。設定の細かさや、謎の構成もおもしろいし、美形もたくさんでてくるのに。ホワイトハートの方で出てたら、もっと多くの人の手にとってもらえたのかなあ。
甘いことだけじゃない、とても辛いことも突きつけられるけど、だからこそ読み応えあります。もし興味がある方は、手にとってください。ただ、最初の方はまだ甘い展開で、本格的におもしろくなるのは5巻以降なので、なにかを判断するためにはそこまでは読んでほしいです。女の子の一人称だけど、大丈夫、読みやすいです。
ネタバレのシリーズ第一部についての感想はこちら


●「運命のタロット12 《女帝》1995」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/20)

シリーズ12冊目。…坂崎を封じ込めにきた《世界》に巻き込まれ、ライコは13年後の1995年にたったひとりで飛ばされてしまった…
最初の、《魔法使い》の嘘には心を動かされたました。
大人になった唯との再会。………なんで、こういう描き方、するかなあ。ライコよりは唯の年齢に近い人間にとって、なんともいえない気持ちになりました。正直言って、最初の方での唯とライコとのやりとりが、ちょっと饒舌かなあって思ってたんだけど、あれがあるからこそ、この巻が生きてくるんだろうなあ…


●「運命のタロット11 《神の家》は涙する」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/19)

シリーズ11冊目。《月》とのフェーデの勝利の報酬として、《魔法使い》の過去をライコはみることになります。…この巻は、すごかった、です。ラスプーチンとライコのやりとりとか、《女帝》の行動とか………何を書いてもネタバレなりそうだなあ。ただ、圧倒されました。
ああ、それにしても、時系列が単純じゃないから、誰がいつ頃の誰かっていうのを把握しないとよくわかんなくなってくるから、ややこしいなあ。
《戦車》による、登場人物紹介が最高!!


●「運命のタロット10 《皇帝》はうなずかない」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/19)

シリーズ十冊目。いよいよ、《月》とのフェーデが終わります。それにしても、なんともやりきれない終わり方でした。…さて、《皇帝》と《女帝》のやりとりはよかったです。これが、「たった一度の」だったんですよね…


●「運命のタロット9 《太陽》は人々を照らす」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/19)

シリーズ九冊目。今回はイベントでの話。(いや、それ以外にも色々あるけど(^ ^;))昔は、こういう感じだったのね…コミケのサークル数が800…そんなのん気な頃だったのね。J9ネタはよくわかんないですけど。唯の「美形は人類の共有財産」には大賛成です(笑)。


●「運命のタロット8 《戦車》が兄とやってくる」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/18)

シリーズ八冊目。《月》の改変をふせぐため、頼子は河内さんに「改変」のことを話そうとするが…
今回はハデな話じゃないけど……って、最後の方はハデか(笑)……ぐいぐい引きこまれるものがありました。今回は謎探しにあたるわけだけど、謎が増えていくばかりです(^ ^;)。これ、一気読みするならいいけど、時間あけて読んだら細かいことを忘れて困るような気がするぞ(^ ^;)
とりあえず、次の本に。


●「運命のタロット7 《死神》の十字路」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/18)

シリーズ七冊目。《恋人たち》と《月》とのフェーデが開始される。今回の「改変」は、頼子の昔好きだった人の恋人を殺すことだった…
《女帝》、いいキャラですよねぇ。この人の正体は、先のあらすじを読んだために(^ ^;)知ってますが、なんで今そういう立場でいるのか…何を知ってるのか、謎ですねぇ。
「OUT」、懐かしいですね〜〜〜。実は私も読んでました(^ ^;)。でも私は「ブライガー」も「ゴッドマーズ」も知らないんですよ…噂に聞いただけで(^ ^;)。この世界とは、数年ずれてるんですよねぇ。ズバリその世代の人には、懐かしい話ばっかりなんだろうなあ。ネタがわからないのが多すぎるのが残念(^ ^;)。…全く知らなければ、却って平気なんですけど、名前だけ知ってたりするからなあ。
そういえば、佐倉くんと島津くんって、これから先どうなるんでしょうねぇ…(初山さんも)。


●「運命のタロット6 《節制》こそが身を守る」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/18)

シリーズ六冊目。《恋人たち》とのフェーデに勝利し、日常生活に戻れた頼子。しかし、すぐに《月》にフェーデを挑まれてしまう……
冒頭で、《女帝》登場です。精霊たちが集まって、思わせぶりな話をするんですが、よくわかんないですね〜(^ ^;)。…私、実は先の方の本のあらすじを読んじゃったせいで、この先の展開をある程度知ってるんですけど…それでもややこしいです(^ ^;)。このシリーズの場合は、「時間」がね、ややこしいから…シリーズ全部読めば、「なるほど、これはそうだったんだっ!!」って全部わかるのかな?
久しぶりに日常に戻って、楽しい話を読めたのがよかっです。


●「運命のタロット5 《月》が私を惑わせる」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/17)

シリーズ五冊目。《魔法使い》と《恋人たち》の「フェーデ」の完結編。これの中盤、《恋人たち》との本格的な対戦がはじまってからの展開はすごかった。…よくこの本、ティーンズハートで出たなあ(^ ^;)。
戦闘シーンのハデな話はいくらでもあるけど、それで引き起こされる結果がこれだけ容赦なく描かれているのは、ライトノベルズではあんまりないんですよね。
この5巻は、話にドライブ感があって、本当におもしろかったです。


●「運命のタロット4 《愚者》は風とともに」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/17)

シリーズ四冊目。《魔法使い》と《恋人たち》の「フェーデ」は、頼子が《恋人たち》の協力者をみつければ勝ちとなり、片桐先輩を蘇らせることができる。はたして、《恋人たち》の協力者は、学校の関係者にいるのか?
今回の展開はミステリータッチです。「特殊状況、特殊ルールでのミステリ」に近い味わいを持ってます。結果的にはちょっと違うけど(^ ^;)


●「運命のタロット3 《運命の輪》よ、まわれ!」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/17)

シリーズ三冊目。《魔法使い》と《恋人たち》の「フェーデ」に、《魔法使い》の協力者として巻き込まれてしまった頼子。《恋人たち》は、頼子の憧れの片桐先輩をフェーデのターゲットとし、片桐先輩は危害を加えられ……
後半、フェーデを始めるあたりからぐっとおもしろくなってきました。私も頼子と同じく、なにがなんだかわからない状態だけど(^ ^;)。


●「運命のタロット2 《恋人たち》は眠らない」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/16)

シリーズ二冊目。前半部分は前回の話の後始末(?)が続きます。そのあたりは、かなり明るい話なんですが、終盤に、《恋人たち》が《魔法使い》に「改変」を挑むあたりから、なにやら話の雰囲気が「ティーンズハート」とは変わってきます。世界設定をちらちらみせてくれます。ほー、これはなかなかおもしろくなりそうな……ってところで終わりでした。じゃ、次に行こうか。


●「運命のタロット1 《魔法使い》にお願い?」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/2/16)

前から気になっていたシリーズだけど、ぱふの「活字倶楽部」で紹介されてて、おもしろそうなので読んでみることにしました。
頼子はフツーの高校生。学校の資料室で、古いタロットカードを見つけて封印をといてしまい、《魔法使い》の「協力者」となってしまう…
ティーンズハートらしい、女の子の一人称、ハートマークはでてきたりしますが、小野不由美の「悪霊」シリーズが平気な人だったら全然大丈夫だと思いますよ〜。
一冊目は、まだプロローグにあたる話で、まだまだこれから、って感じです。


●「聖誕風雲−血のクリスマス−」星野ケイ[講談社X文庫ホワイトハート](98/2/14)

「ホンコン・シティ・キャット」シリーズの二冊目。この話は、香港を舞台にした警察モノ。「ファラオ」という不死の男に、猫人間にされてしまった(こう書くとなんだかなあ(笑))ジェリィ刑事のお話。「王様と猫」、ですね。
ジュリィはイギリスから帰ってきた、幼なじみのマイケルに、「香港を出て一緒に暮らそう」と言われる。その頃、香港の町には全身の血を抜き取られた死体が見つかった。これはファラオの仕業なのか?……
前の話は、シリーズの最初だっただけに、設定の説明にかなり費やしているところがあってもうひとつのめりこめなかったんですが、今回は話が突っ走っていて、よかったです。おもしろかったけど、切なかったですね。最後の方の、タイガーのセリフにはじーんとしました。
王様と猫の関係も、今位の距離が一番楽しくていいな(*^ ^*)。


●「16BEATで抱きしめて」青海圭[講談社X文庫ホワイトハート](98/2/14)

「Gケルプ」ってバンドの話のシリーズ3冊目。この話は、バンドやってる高校生の話で、ベタ甘なボーイズラブ、はいってます。個人的には、ベタ甘な話って苦手なんですが、このシリーズはそのバンド部分の描き方がしっかりしてるので、読んでて楽しいです。今回は、「Gケルプ」に新しいボーカルの草刈真夏が入ってきます。こいつがイヤなやつで、そのせいでバンドでも波風がたったりするけど、そういう色々な問題をなんとか乗り越えていこうっていうところがね、青春してていいなあ、と。
それにしても、130ページは読んでる時に一度本を閉じてしまったほど、こっぱずかしかったぞ(^ ^;)。 いやもう、若いってこれだから(笑)。


●「僕の血を吸わないで」阿智太郎[電撃文庫](98/2/13)

第4回電撃ゲーム小説大賞銀賞受賞作。
冴えない高校生・花丸森写歩朗の部屋に、空から女の子が飛び込んできた。なんとその娘は吸血鬼だった!!…って感じの学園コメディーです。
個人的にはちょっと波長があわなかったような…でも、心の中で何度か「くすっ」って笑いましたが。口に出して爆笑するほどではなかったです。(歩きなから本を読んでて、爆笑してしまうときがあります(^ ^;)……アブナイよなあ(^ ^;))


●「御手洗さんと石岡君が行く」島田荘司[原書房](98/2/12)

島田荘司が総指揮をし、自身の書き下ろし短編ものせた、「御手洗モノコミック・アンソロジー」集です。
………買っちゃいました(^ ^;)。
コミックの方は、いかにも「同人誌アンソロジー集」ですが、それほどヤバい方向にはいってないので安心。(そりゃ、作者も参加だもんなあ(^ ^;))なかなかおもしろかったです。
書き下ろし短編は、レオナ中心なのが残念ですが、間接的に、御手洗さんが出会った当時石岡くんをどう思っていたか、っていうのが出てまして、これが煩悩をくすぐるったら(爆)。
この二人が好きな人だったら、あの半ページのために買う価値はあるでしょう(^ ^;)。
まあとにかく、はやく御手洗モノの新作を書いてほしいですよね〜〜〜。


●「アジア・サッカー戦記」後藤健生[文芸春秋](98/2/12)

サッカー・ワールドカップフランス大会のアジア最終予選。日本代表と共にアジアを大移動した記録です。
感想は、「ごくろうさまでした〜〜〜〜〜!!」って感じですね。今回はホーム&アウェイになったために、広いアジアを飛び回るハメに。それにしても…アジアって、本当に広いんですね。気候も文化も、言葉も政治体制も、宗教も、何もかも違うアジア。同じ中東でも、国によって貧しいところもあれば、豊かなところもあるし、厳しいところもあれば、比較的緩やかなところもある。今の時代でも、絶対王政や、独裁政治の国がある…という、ごく当たり前のことでさえ、もうひとつ実感してなかったんだなあ……情けない話だけども(^ ^;)。そういう、作者の「アジア体験記」がおもしろかったです。
もちろん、サッカーライターとして非常に有名な方ですし、日本代表の試合の分析も鋭くておもしろかったです。世界のサッカーに詳しい人ですから、日本を中心にした考え方ではなく、日本をアジアのひとつの国として見据えているのが、私には新鮮でした。
2月下旬には、金子達仁さんのアジア最終予選を扱った本を出すそうですが、そちらでは人間ドラマを中心にドラマティックに描写したものになりそうですよね。色々な視点であのできごとを振り返るのが楽しみなんです。(もちろん、代表選手のインタビューや、様々なサッカーライターの記事も読んだりしています。色々な方向からみることで、立体的にみえてくるものがあるのが、おもしろいです。)


●「猫目狩り 上・下」橋本紡[電撃文庫](98/2/10)

第4回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞作。21世紀末に、遺伝子改造で生まれた「猫目」という種族を引き金に、「遺伝子戦争」が起こり、世界中を荒廃に導いた。それから社会は科学を忌み嫌い、文明は停滞していた。…東京の片隅でチンピラ・キッズとして生きていたリョウは、マリアという女性に拉致され、「猫目」にかかわるトラブルに巻きこまれてゆく……
うーむ。設定とか展開とかなかなかおもしろいとは思ったけど……うーむ。個人的には、あんまり楽しくなかったんです。最後の方の展開がもうひとつ納得がいかなかったのと(あれが最善の方法とは思えなくてなあ…)、話のにおいが薄かったからかなあ…
帯の裏の推薦文と、口絵で期待をかなり膨らませてしまったからかなあ……
それにしても疑問なのは、なぜこの薄さで2冊に分けるんだ(^ ^;)。電撃だから、しょうがないですかねぇ…


●「ブギーポップは笑わない」上遠野浩平[電撃文庫](98/2/9)

第4回電撃ゲーム小説大賞受賞作。ある校則が厳しい高校。そこでは、女生徒の失踪が相次いでいた。学園に潜む怪物、そして世界を守るためにブギーポップは現れる……
材料自体はこの手の小説にありふれたものですが、その料理の仕方が見事で、とびきりおいしく仕上がっているのです。
ありふれた日常。そこからはじまって、少しずつベールがはがれていって、「向こう」の世界への通路が開かれるような、その境界的な感じがいいなあ、と。
話の構成の仕方と、キャラが抜群です。それに、この時期のさまざまな少年少女の微妙な心理をリアルに描かれています。あと、削ぎ落とした文章もいいです。
帯の裏の推薦文が簡潔にしてこの本の魅力を最大限に伝えていると思いますので、興味があったら本屋で手にとって、帯の裏をみてください。それで興味があれば読んでみて。

●「歪んだ創世記」積木鏡介[講談社ノベルズ](98/2/8)

メフィスト賞の第5回受賞作品。帯の推薦文は竹本健治さんで、「とびきりの奇想ととびきりの曲芸」。
気が付くと斧を手にしていた、記憶のない男と、ベッドの下に隠れていた記憶のない女。そして、みっつの惨殺死体。舞台はまわりを海に囲まれた孤島。そして、他には「殺人鬼」がうろつついていた……
いかにも、講談社ノベルズの、新本格らしい、メタな話でした。ただ、私が読んだメタな話の中では、洗練度は抜群です。枠組みとかもすんなり分かるし、そのゲーム的な話の組み立て方もおもしろかったです。この手の話って、なんだかよくわからないうちに煙にまいて話を終わらせるようなのが多いですが、この話は筋道がきちんとしています。いやあ、すごいわ、これは。
メタな話が好きな人は必読でしょう。
お見事、でした。

●「記憶の果て」浦賀和宏[講談社ノベルズ](98/2/7)

メフィスト賞の第4回受賞作品。帯の推薦文は京極夏彦さんです。
18歳の安藤直樹の父親が自殺をした。その父親の書斎で、彼は一台のパソコンをみつける。そのパソコンの電源を入れると、【あなたは誰】と聞いてきた。そして、「彼女」は「安藤裕子」と名乗った…
アオリ文句には、「これぞ来世紀の超絶エンターティメント!恐るべき十九歳の才気!」と書いてますが、「メフィスト」の選考座談会を読むと、この小説を書いたのは作者が18歳の時だそうです。
最初の方は、18歳そのものという生々しい、自尊心からでてくる「青くささ」がちょっと恥ずかしかったんですが(だって、過去の自分のこんな時期を思い出しちゃって(^ ^;)。…誰もがいつかは通る道だよねぇ…)、中盤の「脳と意識と認識」の話は結構読み応えあったし、後半の展開も色々と感じさせるものがありました。
個人的には、終盤の15章以降はなくてもよかったかなあ、と思いますが。
ミステリとして読むよりも、普通の小説だと思って読んだ方がいいかもしれません。
なかなか、よかったです。

●「Jの神話」乾くるみ[講談社ノベルズ](98/2/6)

あの、メフィスト賞の第3回受賞作品。帯には、大森望さんの「98年度ミステリ裏ベストワン、はやくも決定」と推薦文が書いてあります。このポイントは、「裏」でしょうね。たしかに、これは表には出てこれない作品じゃないかと(^ ^;)。
話は、隔離された全寮制女子校で、女生徒が連続して謎の死を遂げる。その時間の解決に乗り出すのは、「黒猫」という渾名の女探偵(美女)。「ジャック」という殺人者、死体から消えた胎児…というように、本格ティストがたくさんでてきますが、終盤で突然話の方向性がかわります。…いやあ、こうなるとは………しかも、ラストがああなるとは、途中でそれを見抜く人がいたら…すごいっていうより、変だよね(^ ^;)。私がもし途中でわかっても、この本についてだけは「途中で全部わかりました」とは絶対に感想にかけないです(^ ^;)。だって、ねぇ……
でも、この本って、講談社ノベルズからミステリとして出版されると異質ですが、●●●●書院とか●●●●●文庫とかだと別に違和感なかったもしれないですね〜(…うーん、これでネタバレになっちゃう(^ ^;)??)
途中までは「メフィスト賞にしては、結構まっとうだよなあ…」って思ったけど、読み終わった感想は、「やっぱりメフィスト賞」でした。
オススメかどうかというと難しいけど、個人的に楽しくなかったわけではないし、終盤はどちらかというと「開いた口がふさがらない」って感じでしたが………まあ、「トンカツ」よりはおもしろいんではないかと(^ ^;)。あと、「コズミック」に比べると、「ふざけんなっ!!」率は低いと思いますが。

●「アーサー王子乱行記 薄・幸・少・年」弓原望[集英社スーパーファンタジー文庫](98/2/6)

帯に書いてある、「究極のオレ様王子に翻弄される少年騎士ランスの運命は!?」につられて買ってしまいました。こういう設定は好きなので(笑)。
…で。宇宙だとか宇宙船だとか舞台にしてるけど、ノリとしては中世ファンタジーというか。そういう複合的な設定はいいんだけど、ちょっと世界構築が雑じゃないかなあ、と…ゲームやアニメでよく使われる設定の最大公約数のような世界にしか思えないんですね。
あと、「オレ様王子」アーサーが、それほど強烈なキャラではなかったのが残念でした。「ちょっとワガママ」な王子様にしか思えてなくて…行動はそこそこムチャしてるんだけど、それほどの印象をうけないはなぜかなあ。まあ、ランスロットくんはかわいかったですが。
続編がでたら買うかどうかはわかんないです。その時読む本がなければ買うかも。

●「『鑑識の神様』9人の事件ファイル」須藤武雄監修[二見文庫](98/2/5)

鑑識関係の話ってすごく好きなので、買ってみました。「体毛」「歯」「指紋」「足跡」「筆跡」「ポリグラフ」「血液」「死体」「声紋」について、それぞれその分野でのエキスパートが書いたものです。それそれテレビなどで何度もとりあげられている有名な人で、この本は入門用として書かれているせいもあるので、知ってる話ばかりでした(^ ^;)。それでもやっぱりこういう話を読むのはおもしろいですけどね。「アキノ大統領暗殺事件」の声紋鑑定の話とか、テレビ番組でみた記憶はあるけど、こうやって文章で読むとまたおもしろいですね。

●「夢の宮 〜叶の果実〜」今野緒雪[コバルト文庫](98/2/5)

「夢の宮」シリーズ最新作。ルー国の王女・リカ(今回は漢字探すの面倒なので、すべてカタカナ表記にします(^ ^;))は10歳の時、ロアン国の王のもとに嫁いで数日で姉が亡くなった後、ロアン王のもとに輿入れをした。それから5年、リカはロアン国王、トウタクが、誰かの面影を自分にみているのではないかと苦しむが…
…いやあ、なんつーか、今回は。結局、甘々の話で、「あーあ…」って感じでした。まったく、そんなことでグダグダ悩んでるんじゃないっ!!さっさとやっちゃえば(爆)よかったのにさあ…
平和で、働かなくても生活が保証されていて、ダンナ様にはあれだけ優しくしてもらって、それで何が不満だというんだ。ヒロインが自分しか見えてないところがちょっとなあ。もっと相手の立場とか思いやれよ(^ ^;)。

●「カナリア・ファイル2 傀儡師」毛利志生子[集英社スーパーファンタジー文庫](98/2/4)

前作「カナリア・ファイル〜金蚕蠱」で97年度ロマン大賞を受賞した作者の、シリーズ第二弾です。
呪禁師(じゅごんし)・有王のもとに、失踪した恋人の捜索を頼みにきた男は、「死体の匂い」がしたという…また、その恋人は、魅伽の占いによると、すでに死んでいるらしいが…
今回登場の新キャラ・魅伽さんはなかなかよかったです。
由多は中途半端に悪い奴だけど、美少年だから許す!!(でいいのか(^ ^;)?>>自分)
…前日に読んだ本の悪役が徹底した鬼畜様だっただけに、この程度ではちょっと物足りないところがあったのでした(^ ^;)。まあ、由多はお子様だから仕方ないか(^ ^;)。
今回の話は、作りはなかなかだなあって思ったけど、「綾瀬」の行動の謎が一切説明されてないし、なんだか途中で放り出されてしまったような、ちょっと割り切れないところがでてしまいました。まあ、おいおい解決していくんでしょうけど。
今回は、耀くんが全然出てこなかったのが寂しかったです。あと、匠様もあんまり活躍しなかったのが残念。

●「ブルー・ブラッド 虚無編 上」須賀しのぶ[コバルト文庫](98/2/3)

「ブルー・ブラッド」シリーズ最新刊です。今回は「ブルー・ブラッド1」のちょっと後の話。ユージィン様も、ヴィクトールくんもまだ学生です。エーリヒとマックスがまだ11歳ですっ!!
感想は、「くぅぅ〜〜〜〜」とか「きぁあああ(*^ ^*)」とか、「うぉーーー」とか、意味不明の言葉しか今のところでてこないです、はい(笑)。
ユージィン様(ああ、つい様付けをしてしまう(笑)。私の前で「アホルター」は禁句(笑))の鬼畜っぷりがステキですっ!!今回ははじめてのユージィン様視点での話ですが、思った通りのお方でした(笑)。自分の「中」と、「外」と、ありとあらゆる敵と戦かわなければいけない、孤独な人。でもかわいそうとか言ったら、殺されそうだからいえないけど(^ ^;)。そして、誰よりも強い人。ああもう、素敵〜〜〜(はーと)
ヴィクトールくんは、まだまだ素直でかわいいです。ユージィン様に完全にもてあそばれています(笑)。上巻では完全に手玉にとられてましたが、下巻では少しでも逆襲できるかな?
……なんだかとっても頭悪い書き込みだなあ(^ ^;)。ああ、でもあまりにユージィン様がステキだから〜。
…いや、でも「ブルー・ブラッド」、「キル・ゾーン」シリーズは、小説としてもちゃんと読めますよ。おもしろいので、ぜひ読んでくださいませ。「ブルー・ブラッド」の方は、まだこれで3冊目だし、読むなら今です。読むときは、順番どおりに読みましょうね。(ちなみに「キル・ゾーン」は最初の2冊は今一つですが、それをすぎたらおもしろくなります。そこで投げ出さないでくださいませ(^ ^;))

●「エル 全日本じゃんけんトーナメント」清涼院流水[幻冬舎ノベルズ](98/2/2)

日本中が熱狂する、「じゃんけんトーナメント」。決勝トーナメントまで勝ち進んだ木村彰一は、負けたくて仕方なかったのだが、意に反して勝ち進んでしまう。また、そのトーナンメントの裏では、主催者が水面下で工作を行っていた…
あの清涼院流水にしては…すごくまともな本でした。「じゃんけんトーナメント」という設定こそ突飛ですが、これは別に許容範囲だし、ストーリー展開自体はまっとうでした。
(それにしても、一企業にこんなギャンブルをやることってできるの(^ ^;)?この世界では、国や自治体じゃなくてもできるってことなのかな(^ ^;)?)
おもしろい、とまではいえないけど、そこそこ楽しめました。
ただ、文章にハートマークや音符記号が出てきたり、傍線がやたらにひいてあったり、そういういつもの表記法が苦手の人はやめておいた方がいいでしょう(^ ^;)。

●「ペリペティアの福音 上〜聖墓編」秋山完[ソノラマ文庫](98/2/1)

勧められて、読んだんですが、これはおもしろい!!
フォークト大帝が銀河を統一した1000年の後、宇宙は52の星間に分離し、互いに争うようになっていた。
銀河最大の葬儀会社、ヨミ・クリーエ社の新任葬祭司補のティックは、銀河辺境の「ゴミ捨て場」のペリペティアに行く途中で、その星で行われるフォークト大帝の葬式を取り仕切るハメになってしまう。
たどりついたフォークト大帝の遺跡は、色々な組織の思惑が絡み合う、陰謀の世界だった…

ライトノベルズの皮をかぶったSFです。葬儀社という、いわば「後始末業」から世界描くというアイデアがみごとだし、世界構築がしっかりしているのがいいんですよ。キャラもいいですし。この葬儀社は、戦闘部門も持っていて、その戦闘尼のキャルがいいんですよ〜。
ノリもいいし、かなり深刻なことを描きながらも、基本的なトーンは明るく、楽しいです。
また、ストーリーの中心をさまざまな謎がしめているんですが、それが来月の下巻でどう落としてくれるか、とても楽しみです。
とにかく、オススメ!!ぜひ読んでください。

HOMEへ