98年5月に読んだ本。

●「サイコ No.1情緒的な死と再生」大塚英志[角川スニーカー文庫](98/5/31)

「少年エース」に連載されている、「サイコ」というマンガの原作者による、小説です。マンガは、多重人格の雨宮一彦が、猟奇的な殺人事件を解決する……少なくとも最初の方はそういう話だったよね、途中からは全然違ったけど……話です。非常に刺激的な内容ゆえに、雑誌掲載の最初の段階では色々あった…作品です。私はコミックスは1巻だけは読んでますが……私は、ミステリでは食事しながらああいうシーンでも読めたりするんですけど、このコミックスは…怖かったです(T T;)。細かいストーリーは覚えてないけど、あの「植木鉢」は忘れられないです(T T;)。
マンガを読んだとき、「ずいぶん体温の低い作品だなあ…」と思ったけど、小説はそれがさらに輪をかけているような…
さて、小説ですが、マンガの始まる前の、プレストーリーです。恋人が猟奇連続殺人の犠牲者になり、その復讐のために犯人を撃ち殺した準キャリアの刑事・小林洋介。彼は懲役7年の刑で刑務所に送られたが、「小林洋介」は消滅し、かわりに現れたのは「雨宮一彦」だった…
小説ですから、マンガほどのビジュアル的なインパクトはないですが、体温が低いのはあいかわらずで、地の文に毒が増えた分、マンガよりも刺激的なんじゃないかと。角川スニーカー文庫でよく出版されたよなあ、これ…でも作者がいうように、「この小説をスニーカー文庫ではない別の文庫から出版すればある意味で凡庸なミステリーもどきでしかない」のかどうかは、わかんないです(^ ^;)。ミステリとしては刺激が強すぎると思うけど、スプラッタからみると…どうなんだろ、私はそっちは読まないもので(^ ^;)。
とにかく、おもしろい話だったのは確かです。途中から中断することができなくて、プールサイドに持ち込んで最後まで読んじゃった位ですから(^ ^;)。痛がり、怖がりの人は絶対に読まない方がいいよぉ…

●「葡萄の宝石」藤原万璃子[小学館パレット文庫](98/5/30)

フランスのボルドー地方のシャトー・フォアラック。かつては非常にいいワインを作っていたが、ここ数年は品質も悪く、経営状態も悪化していた。父の死によって、シャトーの当主になったアンリはまだ17歳だったが、ワインへの情熱だけはあった。葡萄の収穫期に、ソムリエを目指す一人の日本人・黒崎丈がシャトー・フォアラックを訪れる。丈は子供の頃に飲んだ「葡萄の宝石」が忘れられずにいた…
表紙が波津彬子さんのうるわしい美形と美少年の二人だし、パレット文庫だし(^ ^;)、怪しげな話かと思ったんですが、ストレートなワインの話でした。作者のワインに対する愛がひしひしと伝わってくる話でしたねぇ。私はワインの知識は、マンガの「ソムリエ」を読んだだけですが(^ ^;)、ワインの製造工程とか、しっかり書いててなかなか読んでて楽しかったです。
ただ、話の進み方が遅いというか、まだ「起」の部分で終わっちゃったのが残念ですが、これってシリーズ化するのかなあ?売れ行き次第ってところかなあ。私も丈と同じく、ワインのできるまでを見届けたいです。

●「僕達の季節風 泉君シリーズ2」あさぎり夕[小学館パレット文庫](98/5/29)

人気のシリーズ最新作です。…いやあ、相変わらずですわ、泉くん(爆)。
泉くんが女の子化しすぎちゃって、ちょっとなんだかなあ、って感じです。

●「ハーメルンに哭く笛」藤木稟[徳間ノベルズ](98/5/29)

「陀吉尼の紡ぐ糸」と同じキャラが登場する話です。
舞台は戦前の日本。不況の嵐の中、軍部の力が強くなり、不穏な空気が漂う頃。上野界隈で、児童30名が行方不明になり、死体で発見された。事件の影に見え隠れする、顔が白と黒に塗り分けられた、笛吹きの怪人。その後起こる一連の奇妙な事件は、はたしてハーメルンの笛吹き男の仕業なのか…
ミステリ関係のサイトでの評判もよかったし、期待して読んだんだけど…うーん…
読んだ時に、私の体調がよくなかった、っていうのがあると思うんですよ。気分が悪い時に、食事しながら読む話じゃないですもの。体調が悪いせいもあって、ページが進まなくて。
この戦争直前の空気の描き方は細かくてうまいなあ、って思うけど、でもキャラに萌えないんですよねぇ…今回も盲目の麗人で、吉原の弁護士をしている、朱雀十五や、新聞記者の柏木とか、前回も登場したキャラが出演するんですが………私は性格の悪い美形というのは好きなんだけど、文中でいくら美貌を誉められていても、朱雀はもうひとつ美形に思えないんですよ(^ ^;)。妄想を煽らないというか……うーん。
邪道ではありますが(^ ^;)、本を読む時に、「萌える」要素が非常に私には重要だったりするので、そのあたりが残念でした。
あとね、結末がどうも……この後は、心なしかネタバレになるので、こちらをみてね。

●「風のケアル2 波涛立つ都」三浦真奈美[中央公論社](98/5/26)

「風のケアル1 暁を告げる鐘」の続編です。生まれ育った島・ハイランドからライス領の使者として、親友の島の少年・エリと一緒に、海の向こうの国・デルマリナへ出発する。トラブルを乗り越えて無事にデルマリナへ到着した。しかし、親友だったはずの二人の間に溝ができはじめ、やがて別れが…
…町の描き方、話やエピソードもしっかりしてていいですね。それにしても、影の薄い主人公だったなあ(^ ^;)。今回はピアズの方が主役みたいなものですし(^ ^;)。次はケアルは島に帰るそうですが、一体どうなるでしょうねぇ…

●「夢のまた…夢」剛しいら[クリスタル文庫](98/5/26)

ボーイズラブもの…というよりは耽美ものって感じです。好きな作者さんなので、買ってみました。
親の葬儀社を手伝っている健二は、矢島という男の葬式で春彦に出会う。その後、羽田の葬式で、春彦そっくりの男・夏彦と出会う。それから恩師の的場の家で夏彦にそっくりな秋彦という男に出会うが…彼は多重人格なのか、それとも過去の亡霊にとりつかれたのか…
話自体はなかなか読ませるのですが、今回はちょっと…なんだか萌えないんですねぇ。ちょっと波長があわなかった、って感じです。


●「誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡」木村元彦[東京新聞出版局](98/5/24)

サッカーのページやいくつかの書評ページでとりあげられていて、おもしろそうなのでずっと探してたんですが、やっと本屋のワールドカップ関係のコーナーの片隅に見つけました。
名古屋グランパスエイトの“ピクシー”ことドラガン・ストイコビッチは、新ユーゴの代表でキャプテンですが、その彼の数奇な半生を描いた本です。18でユーゴスラビアに代表入りし、国際舞台で大活躍し、海外の有名クラブへの移籍。順調に見えた彼の人生は、祖国の紛争により、崩壊した。今まで仲のよい隣人だった、セルビア人とクロアチア人が殺し合い、新ユーゴは国連の経済制裁にあい、スポーツも国際舞台から締め出されてしまう。新天地を求めて、日本に渡ってきたピクシーは、文化の違いから、孤独になるが、やがて監督に恵まれ、チームメイトと理解しあえるようになり、グランパスエイトは大躍進を遂げる。そして、国際舞台に復帰した、フランスワールドカップの予選。戦争で疲弊した祖国を勇気づけるために、戦い、フランス行きを勝ち取る…
途中から爆泣きでした。
正直いって、私は「民族の誇り」だとか、「祖国」というものがよくわかりません。日本にずっといるせいで、民族的なアイデンティティーを感じる機会が今までなかったから。自分に染み込んだ、今までの文化や言語が奪われるようなことになったら、こんな私にもそういう気持ちが目覚めるのでしょうか。…そういう状況自体が、なんだか想像ができないけど。
この一冊だけでは、ユーゴ紛争のことはもうひとつよくわかりませんから、バランスのとれた本があれば読んでみたいです。巻末に参考文献がのってるから、それから読んでみようかなあ。
とにかく、これは「読め!!」っていいたくなる本でした。ワールドカップ本戦が始る前に、ぜひ。本屋に平積みしてあるような本ではないけど、頑張って探してでも、読んでほしいです。
新ユーゴ代表には頑張ってほしいです。クロアチアは……日本と同じ組だからなあ(^ ^;)。日本には負けて、アルゼンチンに勝ってほしい(^ ^;)。
実はピクシーのプレーを生でみたことないので、ワールドカップの後、一度グランパスエイトの試合を見に行こうと思っています。

●「矩形の密室」矢口敦子[徳間ノベルズ](98/5/23)

これまた出張先で買った本です。
パソコン通信上で行なわれた「フェア文学賞」の落選者の元に、その小説には「殺人予告が仕込まれている」と告発し、さらに死を予告するような脅迫メールが届いた。小説の作者は18歳の美少年で、難病におかされていたため、車椅子で生活し、双子の姉とふたりで古い洋館に住んでいた。彼らと事件に、元女医もかかわってきて…
…………………うーん(--;)。美形の双子だとか、病弱な美少年とか、古いお屋敷とか、サイバーストーカーとか、ミステリ好きなら聞いただけでわくわくするような道具仕立て(もしくはお約束(^ ^;))が揃ってるんですが、なんでこうなるかなあ(^ ^;)。
なんだか中途半端なんですね。作品紹介のところには「メタ・ミステリ」と書いてますが、この程度でメタって言われても(^ ^;)。メタにしては、自分の立っている場所がわからなくなるような、「グラグラ感」が全くありませんでしたもの(^ ^;)。フツーのミステリとしてみても、この動機とトリックで、ノベルズ一本書かれてもなあ…と思っちゃうし。あと、個人的には通信関係の設定と描写の薄っぺらさが気になりました。 通信に対する、「体温が違う」というか。私自身は、ネットケンカ、いやがらせ、ネット恋愛とネットで起こることは一通りの体験はしてるので、余計気になっちゃうんですよねぇ…
少なくとも通信ネットで架空名義が発覚したら、即座にID停止になるのが当たり前だと思うけど。

●「ハルモニア」篠田節子[マガジンハウス](98/5/21)

篠田節子の作品は、今まで読んだ作品がどうも波長が合わなくて(でも「死神」は好きです)、積極的に読もうとはしなかったんだけど、今度、堂本光一くん主演でドラマ化する…という理由で(^ ^;)、ハードカバーを買っちゃいました。広島出張に持っていきました。重かった(^ ^;)。
レッスン教師をすることで生活をしているチェロ奏者の東野は、精神障害者のための社会復帰施設「泉の里」の由希にチェロのレッスンをすることになる。由希は感情や言葉をすべてなくしたかわりに、異常なまでに音楽的才能だけが突出していた。東野のレッスンによって由希はチェロがうまくなるが、ある有名チェリストのマネのような演奏しかできなくなる。東野は由希本来の音を取り戻すために、大きな賭けを行うが…
ドラマの方の話で、「ラブストーリーになる」と聞いていたので、原作もそういう話かと思ってたら、ちょっと違いました。私には音楽との格闘の方が印象に残ってます。
東野が由希と、音楽を通じて少しずつ対話をしていくあたり、コミュニケーションでありながらまるで戦いような、あのやりとりのはりつめた感じがよかったです。由希の「負の能力」に関しては、個人的には最初はちょっとしっくりこなかったんですが…でも、だからこそ終盤の展開になって、あのラストになるんですものね。
いやあ、なんていうか、圧倒されました。すごい話でした。
でもこれ、どうドラマ化するのかなあ…東野の年齢が違うということは、基本設定やストーリー展開の重要な部分にかかわってくるだろうし、まあラブストーリーってことは全面的に作り直されるだろうけど。個人的には、「正装でチェロを弾く光一」の映像が一度でも流れたらそれでいいです(爆)。
原作のよいところをうまく生かした、別のおもしろい話になるといいんだけど。

●「サッカーTV観戦入門」湯浅健二[小学館](98/5/20)

出張先で、買ってしまいました(^ ^;)。重いんだけどねぇ…
「サッカー劇場へようこそ」で、サッカーの見方の楽しさを語った作者が、さらに初心者向けに優しく説明してくれた本です。
「サッカーは、ボールを持ってないプレーこそ重要」ということのわかりやすい例を出しての明快な説明、「ここが勝負のポイント」などの見所を詳しく教えてくれ、サッカーでよく出てくる用語の解説から守備システムの説明まで、「にわかサッカーファンの、ワールドカップ予習のための必読書」となっています。
装丁がラフだし、文字組がスカスカのせいで、見た目の雰囲気が「雨後のタケノコ・タナボタ本」なんですが、中身は濃いですよ。
…本を読んだ直後は、すごくわかったような気になるけど、でもきっと試合をみると、ボール持ってる人ばかり見ちゃうんだろうなあ(^ ^;)。

●「サッカーを考える本」井上ひさし選[光文社文庫](98/5/18)

ワールドカップアジア最終予選のイラン戦以来、サッカーファンになった(私と同じだね)井上ひさし氏が、サッカーに関するエッセイや評論などをセレクションした本です。今回の最終予選に関する話、ブラジルのサッカーシステムと文化の問題、審判の試合の進め方、色々な話が載っています。
金子達仁さんが「Number」で中田英寿くんにインタビューしたときの記事がそのまま載ってました。Numberを読んでないヒデファンはこれだけのためにも読んでもいいんじゃないかなあ。後藤健生さんの話はおもしろいんだけど、今回選ばれた二本の話が、ちょっとかぶる部分があって、「あれ?これ読んだ?」って感じになったのが残念でした。
あとは、話の初出の年くらい書いてほしかったです。文章を読んで、「あ、これはかなり昔の話なんだなあ」ってわかる位ですから。どの状況でかかれた文章がわからないと…
色々な視点での話を集めていて、なかなかおもしろかったです。

●「佐伯祐三のパリ」朝日晃[新潮社](98/5/16)

大阪市立美術館の佐伯祐三展に行ってきました。そこで買いました。これは持ってなかったので。
画家・佐伯祐三の研究者である朝日晃氏が、佐伯祐三が描いたパリの同じ風景を写真におさめ、彼の人生を辿った本です。今から70年ほど前の風景と、ほぼ同じような町並みが残っているパリはすごいですが、それをああいう形で描いた佐伯祐三の表現のすごさを写真と並べるとわかりやすいですね。
佐伯祐三は芥川系の美形で、パリで30歳で結核で死亡しています。そういう生涯もロマンティックですが、なにより絵が好きで。線と色使いが本当に美しいです。
東京では、ブリジストン美術館にいくつかいい絵があるので、興味があったら見に行ってほしいです。

●「理由」宮部みゆき[朝日新聞社](98/5/16)

待望の新刊です。朝日新聞の夕刊に連載していた話だそうです。
あの有名な、「荒川の一家四人殺し」を、膨大な関係者・目撃者の証言を丹念に集め、あの事件が起こった「理由」を解明した、渾身のノンフィクション……のような、小説です。フィクションとは思えないようなディーテルの書込み方、それぞれのキャラクターの描き方、さすが宮部みゆきですよね。力作です。
今回は「民事執行妨害」というのがバックグラウンドのひとつですが、結局は「家族」の問題なんですよね。色々と考えさせられました。…正直いうと、裕司の考え方って、わからなくもないんですよ(^ ^;)。…ああいうことはやらないけどさ。
最後に、彼女がどうなったか気になります。状況から考えて、ひどい事態にはならないと思うけど…

●「龍王の淡海」藤原京[集英社スーパーファンタジー文庫](98/5/13)

第二回ファンタジーロマン大賞受賞作。この作者の「邪眼」シリーズってすごく好きなんですが、でなくなっゃって(T T;)。しばらくみかけなくて寂しかったけど、来月に新シリーズ(?)が出るみたいので、楽しみです。
さて、これはその作者のデビュー作です。古本屋でゲットしました。王国の北部には山に囲まれた巨大な湖“淡海”があり、そこに住むという竜王を奉る「女王」を中心として自治を行っていた。王国は隣国との戦争が長引く中、「龍王」が36年ぶりにあらわれるという噂が…
前半がのんびりとした雰囲気なのに、終盤の運命の厳しさといったら…そういうの、すごく好きですけど(^ ^;)。キャラの書込みや、それぞれの国の風習の違い、そういうものをしっかりと書いてあって、エピソードも使い方がうまいし、なかなかおもしろかったです。

●「愛してローマ夜想曲」藤本ひとみ[コバルト文庫](98/5/12)

まんが家・マリナシリーズ第五弾。「まんが家マリナ アストラル・トリップ事件」です。
マリナは気がつくと、古代ローマの世界にいた。そこで、暴君・ネロの義兄のブリタニクスが陰謀で抹殺されそうになるのを助ける。マリナはカミルスと名前の変えたブリタニクスの復讐を手助けすることになるが…

作者のローマへの愛をひしひしと感じる本でした。このシリーズとは直接関係ない、番外編的な体裁なわけですが、これも古代ローマを描きたいために、無理無理「なんでもアリ」なマリナシリーズでやったんじゃないか…という感じがします。
時代は暴君・ネロの頃の古代ローマを舞台に、愛も陰謀も冒険もあるスペクタルな話に仕上がってます。今回はマリナも本当に頑張ったよね。最後の方は、結構じーんときました。
それにしても、ブリスクスは本当に悪趣味だ…と思うのは私だけでしょうか(^ ^;)?
ずっと連続で読んできたマリナシリーズは、この次の本が手に入らないので、ちょっとお休み。

●「ポケモンの秘密」ポケモンビジネス研究会[小学館文庫](98/5/11)

タイトルからすると、雑な「謎本」のようですが、これはポケモンビジネスがどうやって成功したかの説明の本です(分析というほどではないです)。「日経エンターティメント」での特集みたいな内容です。ポケモンをよく知らないビジネスマン向けの解説書なんでしょうね。
それを、ポケモンの版権ビジネスを一手に引き受けている小学館から出しているだけあって、大成功の礼賛って感じですね。それによる問題点とか、この前のアニメでの事件の話とかはあんまり書いてません。
ポケモンをよく知ってる人には特に目新しい話とかないんですけど、カードゲームは私は詳しくないので興味深かったかなあ。でも、書いた人はそれほどポケモンの知識がないですね。実際にゲームをやったことはないんじゃないかなあ。ゲームボーイ版での設定と、カードゲームとの設定を混合しているところがあるし。だって、誰がコクーンとピカチュウを交換するというんだ(^ ^;)。トキワの森では、出現率が全然違うんだぞ(^ ^;)。そんな交換持ち掛けられても…「ピカラー」なんて言葉、初めて聞きましたよ(^ ^;)。まあ、マスコミの造語なんでしょうけど。私が一番よく聞いた言葉は「ピカ萌え」かなあ。ちなみに私もピカ萌えの人です(*^ ^*)。でもキャラでは一番好きなのはダグトリオなんだけどね(^ ^;)。彼(?)の穴掘りにはお世話になりましたから。
結構最近の話題ものせてまして、東京のポケモンセンターとか(いっそのこと地図も書いておけばいいのに…)、これから先に発売予定のグッズとか。スタンプセットは絶対に買うぞ!!
オマケにピカチュウのシールもついています。これはたぶんゲーム版のプロポーションだと思うけど。
ああ、本の感想になってない……ポケモンに興味はあるけど知らない人には一通りの知識が学べていいんじゃないかと思います。

●「愛いっぱいのミステリー」藤本ひとみ[コバルト文庫](98/5/11)

マリナシリーズ第四作。「まんが家マリナ怪奇事件」です。マリナはひょんなことから、取材で血桜掘伝説のある城下町にシャルルと共に取材に行くことに。その伝説の中心となる弾上家の若主人はマリナの小さい頃の友達だった。弾上家にまつわる呪いと月影ケ崎城の埋蔵金探しの謎を解くために奔走することに…
相変わらずハチャメチャなストーリーですが、今回は宝捜しとオカルトとミステリーがいいバランスで、なかなかおもしろかったです。和矢(無事復活!!)の登場はちょっと強引すぎたとは思いますが(^ ^;)。
それにしても、あとがき。薫のお兄さんについては、たしかにああなるのは仕方ないにしても、「どうぞご了承くださいませ」って言われてもなあ(^ ^;)。熱心なファンから、すごい抗議が殺到したんだろうなあ……

●「愛はきらめく星になっても」藤本ひとみ[コバルト文庫](98/5/10)

マリナシリーズ第三作。「まんが家マリナお嬢様事件」です。マリナは取材のために、友達の美都の通う、お嬢様学校の北白金学園の寮に潜り込むことに。
一作目の「愛からはじまるサスペンス」に出てきた薫が再登場です。その後どうなってるかと思ったら、うーん、やっぱりお兄さんは……
今回の話は、いかにも「お嬢様学校の寮」を舞台にした、男装の麗人をめぐる恋のさやあて、陰湿なイジメとかでてきます。レディ・エメラルドは結構印象的でした。

●「美貌の帳」篠田真由美[講談社ノベルズ](98/5/9)

「建築家探偵 桜井京介の事件簿」シリーズ、待望の最新刊です。今回から第二部スタート。
京介と深春は大学を卒業したあとフリーターをやっていて、蒼は高校に行きはじめたけど今一つ学校に馴染めてなかった。鹿鳴館をデザインした、建築家・コンドルの収集家の天沼龍麿にパーティに誘われた京介は、蒼を連れてゆく。そこでは、往年の大女優・神名備芙蓉の復活の舞台「卒塔婆小町」が行われるのだった…
今回は、鹿鳴館・小野小町をモチーフに、愛と憎しみの物語となっています。正直言って今の私では、彼女が何を求めていたのか、わかったようなわからなかったようなもどかしい想いが残っているんですが、しばらくは忘れられない話となりそうです。
今回の蒼に関しては、ハラハラしながら読んでました。…でも大人になったよねぇ…
ちなみにこのシリーズは、計6冊でてます。4冊目からがおもしろくなります。この6冊目だけ読んでもよくわからないところがあると思うので、興味があれば4冊目あたりから読んだらどうかと。

●「中田語録」[文芸春秋](98/5/9)

「中田英寿 初の公認バイブル」ということで、今までの中田くんの物議を醸し出した数々の発言に、説明をしたものです。あとは島田雅彦さんの、中田くんに捧げる詩も載ってます。
試合や私服での写真もたくさん載ってて、ビジュアルがかなりのウエイトをしめてるんですが、そういうこところがなんだか「アイドル本」を彷彿させる…というのは失礼かな、やっぱり(^ ^;)。でもなかなかいい写真ばかりです。
話の内容は、今まで中田くんが積極的にかかわってきたインタビューなどの集大成なような感じで、最終予選以来のインタビューの大部分を私は読んでいたので特に目新しいものはなかったのですが、026とかはさすがにしんみりとしてしまいました。バカなマスコミだけではなく、ファンの人もマスコミに踊らされて、誤解したり軽蔑したりしてましたもの……私はそういう騒ぎをちょっとひいたところで眺めてただけですが。今までのことでも傷ついてきてるだろうけど、マスコミや一部のファンの心ない言動で、彼が壊されることのないように祈っています。
この本は基本的にファンブックだと思いますが、中田くんのことをあまり知らない人で興味のない方には、彼の考え方とか結構おもしろいのではないかと思います。…高いけど。1000円+税ですから。
ちなみに写真集は、買おうかどうしようか迷っているうちに予約満杯になっちゃいました(^ ^;)。

●「愛の迷宮でだきしめて!」藤本ひとみ[コバルト文庫](98/5/8)

まんが家マリナシリーズの二作目。売れないマンガ家のマリナは、売れっ子の先生のところにアシスタントに。そこで言いつけられたのは、パリへのおつかいだった!!パリでは、レオナルドの遺産を巡る宝捜しに奔走するハメに…
この話に、やっとシャルルくん登場です。この時は17歳です。天才で美形で、口が悪くて人に冷たいんだけど、この頃のシャルルくんは結構かわいげがありますね。でも、「鑑定医シャルル」シリーズでかいてあった、「10代の頃の失恋」の相手って、ひょっとしてマリナなんでしょうか??

●「愛からはじまるサスペンス」藤本ひとみ[コバルト文庫](98/5/7)

まんが家マリナシリーズの最初の作品です。「鑑定医シャルル」シリーズの、シャルルの10代の頃の活躍が読めるって聞いたので。シャルルがでてくるのはこのシリーズ第二作からですが。
三流まんが家・マリナは取材のため、音大付属高校に通う、旧友の薫に会いにゆく。そこで、バイオリンを巡る事件に巻きこまれることに…
この本が出たのは1985年…今から13年前ですか。読んだときの感想って、「久しぶりに“コバルト”を読んだなあ」でした。私がコバルトを読んでたのが中学の頃で、それからずっと遠ざかっていて、ここ数年再び戻ってきたので、このジャンルの内容の変化にはびっくりしたものです。↓の本にしても、昔だったら考えられない話だったもの(^ ^;)。
由緒正しい(?)女の子の一人称で話が進みます。でも文章がきちんとしてるので読みやすかったです。ミステリーとしては、ネタがわかりやすいとか、動機に問題がある(だって、それでそこまでやるか?って思うけど。他の手段だってあるんだし…)のですが、まあまあ楽しめました。次の話はシャルルくんがでてくるので楽しみ。

●「雪之丞事件簿4 ヴィーナスの迷宮」あさぎり夕[コバルト文庫](98/5/6)

シリーズ最新刊。今回は真崎の父親が出てきます。水商売の女性の私生児の父親が、財閥の会長だったという、「お約束」のパターンですが(^ ^;)。今回の事件はそれに関することですが…まあ、ミステリーではないし(^ ^;)。
3組のカップル(いつの間にか政近と室井がすっかりデキあがってました(^ ^;))も相変わらずのラブラブぶりで……まあ、なんだかんだいいつつ、つい買ってしまうんですけど(^ ^;)。
あとがきによると、コバルト文庫だから、このシリーズはまだ押さえ気味だそうですけど…ど、どこか(^ ^;)???

●「密告」真保裕一[講談社](98/5/5)

西村さんからのいただきものです。すっごく読みたかったんですよ、この本は。
“小役人”シリーズの第…何作目でしたっけ?「IN POCKET」に連載していた話です。
今回の「お役所」は「警察」。とはいっても主人公は刑事ではなくて、「生活安全課総務係」という事務職をこなしている、元オリンピック射撃候補だった警官・萱野。萱野の上官であり、射撃選手時代のライバルであった、八木沢が「過剰接待疑惑」を密告された。八木沢は過去の確執から、萱野を密告犯だと思い込み、罵倒する。萱野は、密告の汚名をはらすために、ただ一人の女性に信じてほしいために、自分で事件を調べなおして行くが…

おもしろかった!!!!組織で孤立していく様、組織内の対立、調べまわる萱野を陥れるためのいくつもの罠……派手さはありませんが、人間関係や、警察という「お役所」を丹念に描いています。ストーリーも堪能させていただきました。
真保裕一は、かなり文庫本化されてきていますし、興味があればまず文庫本から読んだ方がいいでしょうね。あまりハズレのない作家です。

●「夜想」谷瑞恵[スーパーファンタジー文庫](98/5/4)

「パラダイスルネッサンス 楽園再生」で、97年度のロマン大賞を受賞した作者の、受賞後第二作。
舞台は中世末のヨーロッパ。悪魔払いの少女・アンジェルは、フランツ侯爵の依頼をうけて、魔城・ルビンスタイン城を訪れる。その城の主人のフランツにアンジェルは求婚を受けるが…
「魔女狩り」「異端審問」が生々しく存在している一方で、地方に伝わる「狼卿」の伝説が信じられているような、暗い森の中の、お城を舞台にした話。狼卿に嫁いだ姫君、目のみえない侍従、「ふたりだけどひとり」の召し使い、「影」、自分を魔物だと信じている少年……というような怪奇的な登場人物や舞台、小道具が揃っている一方で、アンジェルの「悪魔払い」の方法は、オカルティズムなものではなく、奇妙な現象を解明し、人の手による現象であることを示すことによって、「悪魔はいない」ということを証明する方法だそうです。そういう、暗い森に沈み込むような怪奇的な部分と、現実的な解明過程と、両方のバランスが絶妙で、なかなかいい雰囲気でした。着地点は“どちら”になるか、最後まで興味を持って読めました。
そういう話ではありますが、これは主人公の癒しの物語であり、かつラブストーリーとなっています。
これは、なかなかよかった!!です。話の雰囲気が気に入りました。ストーリーもよかったし。今後、期待できる作家ですね。次回作が楽しみです。

●「カナリア・ファイル3 死返玉」毛利志生子[スーパーファンタジー文庫](98/5/3)

シリーズ3作目。
「綾瀬」の呪術師・耶子媛は大切な存在のために、不本意ながらも呪禁師(じゅごんし)・有王と狼人・花映をおびき出し、花映を捕まえる手助けをする。「綾瀬」は花映をエサに、その言葉がすべて現実化する、「カナリア」である耀をおびき出そうとして…
今回になってやっと、敵対組織である、「綾瀬」の詳しい話がでてきましたが、それでも私にはよくわかんないです(^ ^;)。次の巻には、巻末に解説とか、組織図とかをつけてほしいぞ。まあ、今回は匠様が活躍したし、耀くんの出番がたくさんあったからよかったです。

●「裏庭」梨木香歩[理論社](98/5/2)

第一回児童文学ファンタジー大賞受賞作だそうです。この方の作品って、いろんな書評サイトで評判よかったのでずっと気になってたけど、やっとみつけることができました。
照美は両親が共働きで寂しい思いをしている13歳の少女で、隣の家に住むおじいちゃんになついていた。おじいちゃんに「幽霊屋敷」と評判のバーンズ屋敷に、「裏庭」という秘密の世界があって、大鏡からその世界へゆけるらしい…という秘密を聞く。おじいちゃんが病気で倒れた日、照美はなにかに誘われるように、無人のバーンズ屋敷に忍び込み、大鏡の「フー・アー・ユー」の声に「ティル・ミィ」と答えると、“裏庭”の世界に入りこんでしまった。そこから照美の冒険が始まった。
児童文学は私は守備範囲外だったのでロクに読んでなかったんですが……これだけ過酷な話がでてるんですね。話の途中の過程も過酷だけど、照美がたどり着いた結論も、ある意味、非常に過酷だと思うんです。私が小学生の時に、この本を読んだら、どう思うかってことを考えると…まあ、ちゃんと理解できるとは思えないような気がしますが(^ ^;)。
今ちょっと、色々あって、傷についての話はけっこうクるものがありました。
ハードカバーで高いのがなんだけど、図書館で探してでも読む価値はある本だと思います。

●「機械の耳」小松由加子[コバルト文庫](98/5/1)

97年度の、コバルトノベル大賞と、読者大賞をダブル受賞…だそうです。
幼い時にデンキサンショウウオに耳を食べられてしまった、かの子が、ひょんなことからサイボーグの少年の「機械の耳」をつけることになってしまった。機械の耳をつけてから、不思議な声が聞こえるようになって…
童話のような雰囲気の話です。悪くないですね。トータルバランスがいいんじゃないかと。イラストがキュートです。

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