99年5月に読んだ本。
●「HARD LUCK 5」菅野彰[新書館](99/5/31)
「HARD LUCK」シリーズ5弾「PARADISE ON THE EARTH part.2」。「4」があんな終わり方で、続きを読みたくてウズウズしてたら、ふらりと寄った本屋で無事に手に入れることができました。ラッキー。
エドの元から姿を消したタクヤは、満身創痍になりながらも真実を求めてかけずりまわることに……
前半はかなり辛い展開ですよね。…切ないなあ。その反動(?)もあってか、後半のラブラブ状態がすごいです。でもよかったなあ。色んなシーンやセリフが、胸にぐっときました。
前回のラストに比べたら、今回はまだ落ち着いたところで話が切れたからほっとしてます。シンの件もあるし、まだ二人の身に危険がまとわり付いてますが、ただ二人でいるから、安心できるというか。でもこれだけ話の風呂敷きを広げて、どう収拾をつけるのか…楽しみです。はやく続きでないかな。
●「HARD LUCK 4」菅野彰[新書館](99/5/27)
「HARD LUCK」シリーズ4弾で、サブタイトルは「PARADISE ON THE EARTH part.1」です。
このシリーズは、「近未来のロスを舞台にした、刑事もの」なんですが、今回の話で「近未来」の部分がやっとでてきましたねー。
それにしても、とても切なくて痛かったです。大切だからこそ失うのが怖くて。…タクヤもエドも辛い状況だよねぇ…読んでて胸がキリキリしました。
このシリーズ、この巻で一気に好きになりました。今回で噴出した謎は、どこで答えがでてくるんでしょうか。個人的には…シンが……気になるなあ。
今はこのシリーズは「5」まででてますが、うちの近くでは売ってないんですよ…この状態で待つのは辛すぎる。
●「銀扇座事件 上/下」太田忠司[徳間ノベルズ](99/5/26)
少年探偵・狩野俊介くんのシリーズ第11作目。私はこのシリーズは、たしか5、6作までは読んでて、そのあとなんとなく縁がなくて遠ざかってたんですが、タニグチリウイチさんのページで誉められてたんで、読んでみることに。
20年ぶりに舞台復帰する女優の元に届けられた脅迫状。探偵の野上と、助手の俊介は彼女の警護を引き受けることになる。しかし、予告どおりに事件は起こり……
すごく薄いのに、上下巻に別れてます。講談社ノベルズなら、この4倍の厚さでも一冊の本にしちゃうだろうなあ……でも二冊に別れているにはちゃんと必然があるわけです。
起こった事件は、上巻で一応完結します。上巻の話だけでは「平凡なミステリ」に過ぎないですが、下巻に入ると……みごとな構成ですね。これはたしかに一読の価値はあります。ミステリ好きを自任する方であれば、読んでみてほしいなあ、と。
今までのシリーズを読んでなくても大丈夫ですし。
●「レベッカ・ストリート」菅野彰[白泉社花丸ノベルズ](99/5/25)
かなり昔の本(1995年)で、もう手に入れるのは無理かなあと思ってたけど貸してもらうことができました。りょうさん、ありがとうございました。
舞台はニューヨーク。刑事局を辞め、私立探偵となったカイルと、恋人の幸也。そこにきた依頼人は、死んだ女性の遺骨を持ってきた。「…あんたの墓に入るなんて沢山。死んだら私のことは林にでも捨てて。」と女に言われた男は、せめて彼女が愛していた人の側で眠らせてやりたいと、彼女の過去の調査を頼むが…
愛されることに臆病な青年と、不器用な愛し方しかできない男の物語です。派手なところはないけど、しみじみとしたいい話でした。最後とかかなりうるうるきましたし。
ちなみに、ここには「HARD LUCK」のシンとハルがでてきます。高口里純さんのシンのイラストは美しくて、素敵でした〜。
●「西の善き魔女5 闇の左手」荻原規子[中央公論社C★NOVELS](99/5/24)
「西の善き魔女」シリーズ完結編。4を読んだ段階で、「5で完結できるの?」と心配しましたが、ちゃんと終わってました。…いや、話としては、「これからがはじまり」かもしれませんが、でもこの世界の秘密−女王制の謎、異端とは何か、竜とは何か−などについてきちんと答えがでてます。私にとっては予想できなかった、そしておもしろくて納得できる世界創造でした。
文句があるとすれば、もっと「その先」を読みたかったな、ってことかも。
フィリエルが前巻にもましてパワフルでよかったです。ルーンもかわいかったし。…それにしてもルーンの過去って……かなり壮絶だったんですね……ううう。
このシリーズは、女の子たちがとにかくたくましくて素敵です。後味がよい、素敵な物語です。かなりオススメですので、よければ読んでください。
●「満天星降 斎姫異聞」宮乃崎桜子[講談社X文庫ホワイトハート](99/5/21)
「斎姫異聞」シリーズもはやくも第5作。
この作品は平安時代を舞台にした調伏モノで、「神の子」で両性具有の宮と、ただ人でありながら無意識の破魔の力がある義明のじれったい恋物語であったりもします。
シリーズも5冊目で、もう安定したという感じですね。今回も道長のせいで罠が仕掛けられ、宮が危うい状態に追い込まれ…という感じですすみます。
重家の出番が少ないのがちょっと寂しい。
●「HARD LUCK 3 SANTA BABY」菅野彰[新書館](99/5/20)
「HARD LUCK」シリーズ3作目。
今回は番外編という感じです。もうすぐクリスマスという日、ロス市警のロッカールームに赤ちゃんが置き去りされていた。それを拾ったタクヤが、エドとともに面倒をみるハメに……という、ある意味ベタなシチュエーションでありますが、あったかくて切なくてよかったなあ、と。
シリーズは既刊があと2冊ですが、「HARD LUCK 5」が行き付けの本屋にはおいてなくてねぇ…それが手に入ってから、「4」も読もうかなあと思っています。
●「ペルシャ猫の謎」有栖川有栖[講談社ノベルズ](99/5/19)
大人気の火村教授と作家・アリスのシリーズ最新短編集です。
7つの短編が入っていて、そのうち2つは雑誌発表で読んだ記憶が。
…それにしても。ミステリとしては、デキはイマイチではないかと。でもまあ、個人的にはこのシリーズにはミステリ要素よりも、キャラクター小説の要素の方を多く求めているから、それは別にいいんですけどね。猫はかわいかったし。
でもさ、表題作である「ペルシャ猫の謎」はいくらなんでも……だと思うんですが。まあ、そういう終わりもアリだとしても、最後の処理の仕方がまずい。
有栖川有栖の作品であれば、今は新装の文庫本「月光ゲーム」「孤島パズル」「双頭の悪魔」が本屋に並んでますが、この「学生アリス」シリーズ(もしくは江神シリーズ)の方はミステリとしてのデキもなかなかいいんで、こっちの方が個人的にはオススメです。
●「北へ100マイル南へ101マイル」菅野彰[ASUKAノベルズ](99/5/18)
借りもの。1996年に出版された本です。
大学卒業間近の有希と、彼をとりまく人たちの話です。大学って社会に出る前の執行猶予期間のような感じもありますが、そのモラトリアムな話というか。
ちなみにボーイズラブではありません。途中に起こる事件が唐突な感じがしたり、全体的なバランスの悪さというか、消化しきれてないような感じがうけますが、ただこの話の雰囲気って好きだなあ。私、菅野さんの本って好きだなあ、としみじみと思いました。
ヒナちゃんがすごくよかったです。あと天沼さんも。
●「法月綸太郎の新冒険」法月綸太郎[講談社ノベルズ](99/5/17)
久しぶりの新刊ですね。探偵・法月綸太郎シリーズの短編集です。
どれも話の構成も謎の解決もおもしろかったです。満足。
ミステリ好きな人は読んで損はないと思います。
それにしても笑ったのは、巻末の著者近影。…噂には聞いていたけど、たしかにこれはルパン三世だ…
ちなみにこの作者では、個人的には「頼子のために」がオススメです。
●「黒猫の三角」森博嗣[講談社ノベルズ](99/5/15)
森博嗣の新シリーズの第一作。短編の「地球儀のスライス」に出てきたキャラが登場してるんですが、短編ですっかり「この子がヒロインだろう」って思っていたのがアレだったのでびっくりしました。はい。………そういうのでもいいんですかねぇ。世間的にどう評価されるかは気になります。
今回のお話は、一年に一度、ゾロ目の日にゾロ目の年齢の女性が殺される事件の話。そして、それは衆人監視下で行われた、「密室」殺人事件だった…というような話です。
トリックなどに関しては、個人的にはうむむという感じ。話も終盤は結構おもしろかったけど、あとはもうひとつ吸引力にかけていたような気がしました。あの動機は、私はおもしろいとは思いましたが。
新キャラは……紅子さんはなかなかカッコいいなあ、と思います。シリーズ一作目だけに、もうひとつキャラが動いてない感じがしましたが。
とりあえず、次の作品も読んでみるつもり。
●「追儺幻抄 封殺鬼19」霜島ケイ[小学館キャンバス文庫](99/5/12)
「封殺鬼」シリーズ最新刊。千年と時を超えて生きる二人の鬼や陰陽師の一族とかがでてくる調伏モノのシリーズです。
やっと!!長野編の完結です。長かったよなあ……
今回一番よかったのは、弓生と達彦のあのシーンでしょうか。いやあ、びっくりしました。でもイラストもカッコいいし。ああいう達彦さん好きかも。
けっこうひいきしてる千冬も頑張っててよかったし。
新キャラのお天気おにいさんもいい感じです。
まだまだ続きそうですが、とにかくコンスタントに新刊を出してほしいなあ、と。
●「HARD LUCK 2」菅野彰[新書館](99/5/11)
「HARD LUCK」の続編です。近未来のロスを舞台にした刑事モノで、ボーイブラブではないけど主人公ふたりがラブラブな話。
タクヤとエドがお互い歩み寄っていく過程がとても切なかったです。
お互い必要で大切なのにデキてないというのは「モダン・タイムス」の千尋と健吾でも同じですが、アメリカ人の方がはるかに感情や言葉がストレートですなあ。読んでてちょっと恥ずかしかったです。
●「HARD LUCK 1」菅野彰[新書館](99/5/10)
最近ごひいきの作家の菅野彰さんの、シリーズもの。しばらく積読だったんですが、やっと取りかかることができました。
舞台は近未来のロス。刑事のエドの新しい相棒は、外見はリスのようなかわい子ちゃんで若いのに、実は猪突猛進の問題刑事・タクヤだった…という刑事モノで、ちなみにボーイズラブでもホモでもありませんが、なんだかふたりがいちゃいちゃしている話です。
シリーズ一作目は95年にでたもので、殻が軽いというか、ちょっと頼りないものを感じますが、楽しませてもらいました。タクヤも重い過去を背負っているし、そのあたりが話にどう絡んでいくのかとか、楽しみなシリーズです。
●「西の魔女が死んだ」梨木香歩[小学館](99/5/9)
第44回小学館文学賞受賞作。「裏庭」がおもしろかったし、この作品も評判が高かったのでずっと気になってたのでした。
中学生の少女「まい」は学校に行けなくなってしまった。彼女の気分転換のために、田舎に住む祖母の元でしばらく暮らす事になった。祖母は自分のことを「魔女」であるといい、まいも「魔女修行」をすることに。大切なのは、自分で決めること、強い意志を持つ事で…
ちょっと硬質の、癒しの物語。なかなかいい作品でした。私も小さかった頃、「死」がとても怖くて、色々と考え込んでるうちに泣いてしまったことを思い出しました。
あの頃から何を得て何を失ったのか、それが正しいことだったのか考えるとちょっと寂しくなってしまいましたが。ただ、あの頃よりも今の方が楽に息ができるようになった感じがします。単に鈍くなっただけかもしれないけど。
●「夜明けのブギーポップ」上遠野浩平[電撃文庫](99/5/8)
東京出張ついでに本をゲットしてきました!!
人気のブギーポップシリーズ最新作。今回はブギーポップの誕生に関する物語。7つの短編からなる話ですが、すでに3つは「電撃hp」という雑誌に掲載されてまして、私はそっちをすでに読んでたんで………てっきり、「夜明けのブキーポップ」は番外編の短編集になると思ってたんですよ。
4つ目の話まで読んでやっと気が付きました。……連作短編だったんだ、これ。ひとつひつの短編はそれぞれ完結しながら、全体が複雑絡み合った、第一作の「ブギーポップは笑わない」に近いスタイルとなっています。だから、これは第5作長編なんでしょうね。
すでに1/3は読んでたので最初は新鮮味がもうひとつでしたが、読み終わってみると今回の作品にはかなり満足しました。今まで謎に包まれていた「統和機構」がどういう組織であるのかがやっと説明されて。そして、今回はなんといっても、“炎の魔女”霧間凪が大活躍!!…というか、今回は「凪の物語」ですよね。チビ凪はかわいいし、14歳凪はカッコいいし、イラストの凪はいろっぽいし、凪ファンには大満足でした。
その上、凪パパも物語に登場したし。もっとエキセントリックな人かと思ってたんですが、なかなか素敵な方でしたね。
チビブギーポップもかわいかったです。ブギーポップも前作に続いて活躍(?)してましたし。織機綺ちゃんのその後が幸せそうでよかった…
新キャラでは「スケアクロウ」が切なくて……
今回の作品は、シリーズファンには大サービスって感じかも。
しおりによると、6月発売の「電撃hp」で上遠野さんが新作短編を書くそうですが、「ブギーポップ」って銘打ってないのは新シリーズ(?)ってことかな?それでも楽しみだし、ブギーポップだったらそれはそれで嬉しいし。
この「ブギーポップ」シリーズは、結構評判いいです。読むときにはシリーズ最初「ブギーポップは笑わない」から読む事をオススメします。
●「東亰異聞」小野不由美[新潮社文庫](99/5/6)
東亰が帝都となってから29年。文明開化が行われ、町には瓦斯灯がともり、新しい時代が始まっていた。しかし、まだ闇は残り、妖しい怪人が跋扈していた…
「火炎魔人」「闇御前」の巻きおこす惨劇に、鷹司侯爵家の家督騒動が絡んでいると睨んだ新聞記者の平河はにらみ、関わりあいになるが…
あの「十二国記」の小野不由美さんのお話です。平成6年にハードカバーで出てた作品の文庫本化。ちなみに第5回日本ファンタジーノベルズ大賞の最終候補作でした。この頃って、もう小野さんってジュニア小説分野ではそれなりの実績を積んでいたはずですよね?……ジュニア小説作家として一度デビューしてしまうと、一般小説を出版するのは大変だというのを聞いた事はあったんですが、賞に応募したのはそういうのもあったんでしょうか?
私はこの作品はハードカバーのときに図書館で借りて、一度読んでます。ただそのときは「十二国記」を読む前で、「小野不由美」という作家を知らなかったのでした。たしかFSUIRIでこの本の話題が出てて、それで気になったから読んだ…と思うけど。そのせいか、「ミステリ」として読んでしまったので、事件の構造にもうひとつしっくりこないものがあって、初読の印象はそれほどでもありませんでした。
今回、文庫本化を機会に手元に置くために買いました。今回は「小野不由美」作品として読んだので、また違った味わいが。今回は「侵食する闇のファンタジー」として雰囲気を楽しむことができました。
ただ正直いうと、序盤から中盤の流れがもうひとつかなあ、という気がします。
その分、終盤の展開は美しいですよね。ラストのイメージ、好きです。
●「屋上の暇人ども」菅野彰[新書館 ウィングス文庫](99/5/2)
最近とてもお気に入りの菅野彰さんの新刊。小説Wingsに連載分+書き下ろし短編です。
湘南にあるのに、海が見えない「湘南南高校」。その中で唯一海がみえる屋上の小屋に、できたばかりの天文部の部室があった。そこの部員は元陸上部の譲と、幼なじみの未来のふたりきりであったが、なぜか校内で有名な不良の鴫と夏女が入部してきて…
文庫がなんとなくボーイズラブ系統かと思ってたんですが(WINGSは違うの?よくわかってない…)、この本はあんまりボーイズラブじゃないですね。傷を抱えた少年たちが、少しずつ自分たちの居場所を模索している青春モノという感じです。
シギと夏女(こんな名前だけど男です)のお互いだけで支えあってる危なげな関係がとても痛い。この連載はまだ続いてるそうですが、この二人の関係も譲や未来という「他人」と関係することによって、すこしは穏やかなものに変わっていけるんだろうか…
私は菅野彰さんの作品って好きだなあ、としみじみとしました。今年はたくさん新刊が読めるのが嬉しいです。
●「ゼノギアス 神屠る物語〜序章」日下部匡俊[JUMP j BOOKS](99/5/1)
ゲーム「ゼノギアス」をクリアしてからもなんだかハマって関連商品を探してたりするんですが、もう諦めかけてた小説版もゲットできました。
この話は、ゲーム開始時から3年前のアヴェ・キスレブの間にある砂漠の町、プリスが舞台。ほとんどオリジナルキャラで話が進みます。ゲーム中のキャラで登場するのはグラーフのみ。たしかに「3年後の大惨事」の発端となる話ではありますが…
これ、ゲームをクリアした人にとってはオリジナルキャラばかりで物足りない部分がありますし、ゲームをやってない人には結構意味不明なんじゃないかと。あと、ちょっと気になったのが、この頃のキスレブの軍人の下っ端あたりにソラリスの存在が知られていたのか?…ということなんですが。うむむ?
正直いうと期待外れでした。個人的には、ちゃんと「ゼノギアス」本編の世界を小説にしたものを読んでみたかったなあ、と思います。もう小説化とかはないのかなあ……
…3年前というと、フェイがラハン村にたどり着いた頃ですが、ビリーは13歳でエトーンの修行をしてた頃ですねぇ。あの「3000G」ってこのあたりかしら(爆)。まだバルトは目を怪我してなかった頃なんだなあ、とか色々と想像できたからまあそれでいいか(意味不明)。
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