00年1月に読んだ本。   ←99年12月分へ 00年2月分へ→ ↑Indexへ ↓麻弥へのメール
●「月と貴女に花束を2 妖龍の少女」志村一矢[電撃文庫]550円(00/1/31)

第5回電撃ゲーム大賞で選考委員特別賞を授賞した「月と貴女に花束を」の続編です。
基本はラブコメで、そこに人狼族対悪魔族の戦いが絡んできます。
展開はかなりお約束というか、予想範囲内におさまってしまうのと、あと世界の作り方がすこし薄っぺらく感じられるのが残念。メッセージがストレートなのはライトノベルズしとしては悪くないとは思う。
最後に出てきた敵キャラの中では、縁がわりと好みのタイプかも。


●「魔魚戦記」吉村夜[富士見ファンタジア文庫]520円(00/1/28)

第11回富士見ファンタジア大賞の準入選。うちの掲示板でほめられてたんで、読んでみることにしました。
アルゴ帝国に占拠された惑星フォルテッシモ。そこに住む、天然ボケが入った少女・レスティの前に現れた宇宙人は、彼女に会うために8000年をかけて10億光年をかけて旅をしてきた「王子様」だった……という感じの話なんですが、一言でいうと「バカネタ」系のおもしろさ、という感じでしょうか。怪獣映画的なおもしろさがいいですなあ。あと、レスティとハーウィンのラブラブぶりが微笑ましくて。
読んでて楽しかったです。細部の作りには疑問はなくはないけど、この話はそういうことを気にするよりは設定のぶっ飛び方とかを素直に楽しんだ方がいいかも。
お気楽に楽しみたい方にオススメです。


●「太陽の紋章」久和まり[集英社コバルト文庫]495円(00/1/27)

「冬の日の幻想」「英国少年園」の久和まりの新シリーズ。
古代ギリシャ、神や妖精たちが人々の身近に存在する世界の話。アポロニア軍最高司令官の息子・テレウスが美少年のメノンと運命の出会いをした。頬に傷のある男に命を狙われていたメノンは、太陽の紋章が刻まれた指輪と母の形見のキタラしか持っていなかった…
表紙のイラストから「ホモくさそうな話だなあ」と思ったらそのまんまでした。でもまあ、古代ギリシャだったらそれって普通のことだったからねぇ。
ただ攻も受も性格が素直すぎてもうひとつ面白味にかけます。終盤の展開も唐突だったし。あと、エピローグ部分のあまりにも説明的なセリフの数々はちょっと…
続きを読む気にはなれないかなあ。


●「私と月につきあって」野尻抱介[富士見ファンタジア文庫]580円(00/1/26)

「ロケットガール」「天使は結果オーライ」に続く第三弾。
ロケットをコンパクトにするために、体重の軽い女の子が宇宙飛行士となっているソロモン宇宙協会。今度はフランスの少女宇宙飛行士たちと共同で月への探索プロジェクトに参加することになった。しかし日本チームのリーダーゆかりとフランスチームのリーダーのソランジュはソリがあわず、メンバーにもトラブルが続出し…
一見ナンパなライトノベルズですが、考証がしっかりした本格SFに仕上がっています。トラブルの発生の仕方はちょっと思わないものがなくはないんですが、それを知恵をふりしぼってクリアしていくところがワクワクしました。「夢」を語るところにはじーんとしたし。
キャラ的には茜ちゃんが一番お気に入りかなあ。
このシリーズはどの作品から読んでも大丈夫です。一番おもしろいし、一番手に入り安いからこの「私と月につきあって」から読むことをオススメします。ぜひ一読を。


●「天使は結果オーライ」野尻抱介[富士見ファンタジア文庫]580円(00/1/25)

「ロケットガール」の続編ですが、これだけで話が完結してるので、単独で読むこともできます。
ロケットをコンパクトにするために、体重の軽い宇宙飛行士が必要となったソロモン宇宙協会が白羽の矢を立てたのが女子高校生。ゆかり、マツリに続いて、3人目の宇宙飛行士として茜が仲間に加わることになったが…
コミック的な展開を豊富な知識に裏付けられた緻密な設定が支えています。さらりと読めるけど歯ごたえもあり。終盤のトラブルの連続を乗り切っていくところはワクワクしました。おもしろかったです。


●「ロケットガール」野尻抱介[富士見ファンタジア文庫]620円(00/1/24)

前から掲示板で勧められてたんですが、本屋に置いてなくて。クロネコで注文してやっとゲットすることができました。
相次ぐ失敗で開発中止にまで追い込まれたソロモン宇宙協会。瀬戸際でなんとか有人飛行を成功させるために、ロケットを小型化してコストを下げることに。なるべく軽くするため、たまたま島を訪れた女子高生・ゆかりを強引に宇宙飛行士としてスカウトするが…
「女子高生・パイロット」が登場するための展開やキャラ設定はかなりコミック的であるものの、骨組みはしっかりしたSFです。今と地続きの世界で、無茶な飛躍はなく、宇宙への道を描いているのがいいですよね。終盤のトラブルの連続は少々作為的なものを感じさせましたが、基本的には楽しく読ませていただきました。たしかにこれはおもしろいわ。オススメです。


●「アカシック ファイル〜日本の謎を解く!」明石散人[講談社文庫]619円(00/1/23)

京極夏彦作品にも「築地の先生」として登場する博識な明石散人のエッセイ(?)集。
今回のは「IN☆POCKET」に連載していたものを中心にした本ですが、この方のは今まで過去の「謎」について語る話が多かったのが今回のは「現在」に言及した話がメインとなってます。
過去の話については、私がほとんど知識がないせいもあって、「なるほど〜」とつい納得してしまいがちですが、現在進行形のことなら私も少しはわかるし…納得いく話もあれば、「あれれ?」と思うようなのもありまして。「ドクター中松」はやっぱり信用できないと思ってるのって私だけじゃないと思うんだけどな。
今回のは正直いうと、読んでて「わくわく」が少なかったです。


●「西の善き魔女 外伝1 金の糸紡げば」荻原規子[中央公論新社]850円(00/1/22)

好評のうちに完結した、「西の善き魔女」シリーズの外伝。フィリエルとルーンの出会いの物語。荒野セラフィールドでの生活を淡々と描いていて事件らしい事件は起らないのですが、なんかいいなあ。厳しい生活の中でのささやかな喜びをみごとに描いていて。あと、ルーンが少しずつ心を開いていく過程に涙でした。
最後には本編より後のエピソードが少しあります。ふたりのラブラブぶりが微笑ましくて。
外伝は2もでるそうですが、次はアデイルの話。アデイルは好きなキャラなんで、楽しみです。
この「西の善き魔女」シリーズはSFよりのファンタジーですが、登場する女の子たちがみんな生き生きしてて楽しいシリーズです。結構オススメ。


●「魔術士オーフェン・無謀編9 同情なんていらねえぜ!」秋田禎信[富士見ファンタジア文庫]480円(00/1/21)

「オーフェン」シリーズの番外編的な「無謀編」の最新刊です。いつもと同じくサクサクと読めました。破壊力は今回は低いかなあ。
今回のプレオーフェン編は、以前雑誌掲載した話の再録。私はそっちでは読んでなかったのでありがたいです。今度はハーティアの話。あの“エビ男”ってちゃんとそれなりの謂れがあったのね……私にとっての話のツボは、「コルゴンの部屋に入り浸るキリランシェロ」でした。おお、こういう設定があると今の本編もなんか萌えるぞ〜。


●「王の眠る丘」牧野修[ハヤカワ文庫]600円(00/1/20)

この作家さんはSF畑の人で、前から気になっていたんだけど、文庫だしあらすじに惹かれたので読んでみることにしました。一見、古代和風ファンタジーという感じ?
霊ノ国帝国の首都・神ノ宮の西にある町「灰かぶりの町」はゴミ溜めの町。しかし人々はそこで力強く生きていた。ところが理不尽な神皇の命令で町は焼かれてしまう。生き残った人々は復讐を誓う。少年・戌児もそのひとりだった。彼は神皇のいる天府に招かれるために、馬奴で大陸を渡るレース「大耐久馬奴走」に参加することになるが…
少年の成長物語であります。キャラメイキングとか世界の作り方とかはなかなかうまいですね。ラストにどんでんがえしがあるんですが、ちょっと唐突な感じがします。なぜあの彼があそこまで変節してしまったがもうひとつ納得いかないし。
全体的には悪くはないんだけどもすこし足りない感じがするのは、これが初期の作品だったからなんですね。1992年に「ハィ!ノヴェル大賞」を授賞した作品がこれなんだそうです。そういえばそういう雑誌もあったなあ。懐かしい。
とりあえず、この作者の他の作品も読んでみたいなあとは思います。


●「quarter mo@n」中井拓志[角川ホラー文庫]762円(00/1/19)

「レフトハンド」の作者の文庫書き下ろしホラー。
あちこちのサイトでわりと誉められてたし、なによりネット関係の話だということで読むことにしました。
地方都市の新興住宅地で中学生の自殺・事故・他殺が相次いだ。彼らの傍らには必ず「わたしのHuckleberry friend」というメッセージが残されていた。子供たちの動きを辿ると、情報ネットワークプロジェクトの中に作られた「帝国」にたどり着いたが…
330ページの初歩的なミスから考えると、作者はネットにそれほどずっぽりハマってる人ではないようですが、ネットワーク特有の空気というのはうまくつかんでる作品に仕上がっています。閉じられた世界特有のルール、言葉によって存在が現される世界、つまらない現実よりも楽しい非現実。
道具仕立てにわくわくします。展開も悪くないし。ただホラーとしてはあんまり怖くないんですよね。私が半分「壁の向こう側」の人間のせいかもしれないけど。ここにでてくる中学生の感覚というのもわからなくもなくて。
ネットコミュニケーションの暴走というテーマに興味がある人はぜひ読んでみてください。


●「コールド・ゲヘナ3」三雲岳斗[電撃文庫]590円(00/1/17)

「コールド・ゲヘナ」シリーズ三作目。クライマックス、です。今までの謎が解き明かされ、話もダイナミックに動きます。
このシリーズは巻を重ねるごとによくなってますね。戦闘のスピード感覚といい、キャラの動かし方といい、今回は結構おもしろかったです。最初からこのレベルだったら電撃小説大賞も銀賞ではなく大賞をとれてたんだろうなあ。
バーンやメルの正体あたりは今までの伏線から当然予測がついてたし、世界の秘密についてはそれほど驚くものではなかったですが、この手の話好きなせいもあって、読んでてワクワクしました。キャラ的にはルーファスがいい感じ。
そうそう、日本SF新人賞、おめでとうございました。受賞作が文庫で出るなら読んでみたいけどなあ…やっぱりハードカバーかな。


●「悪意」東野圭吾[講談社ノベルズ]800円(00/1/16)

96年にハードカバーででた作品のノベルズ化。
人気作家が殺され、その親友が犯人として逮捕される。動機について何も犯人は語らなかったが、探っているとかなり深い「悪意」が見えてきた…
うまい作家だけあって、手慣れてますねぇ。最後に見えてきた「悪意」はなかなかに気持ち悪かったです。ただ、「読むべし!!」というほどの作品ではないかなあ。もちろん、読んだ時間と代金分は楽しませていただきました。


●「閉鎖都市 巴里 下」川上稔[電撃文庫]770円(00/1/14)

さて、続き。レジスタンスが蜂起したパリ。次々と人が死んで行く中、ベレッタは巴里の本当の解放のために戦うが…
上巻の話の流れがゆっくりだった分、下巻では加速がついてました。ダイナミックな話に仕上がってて、なかなか。終盤の方にはかなりぐっときました。これは、いい。読み終わったあともしばらくは気持ちがあっちにいっちゃった感じ。
この都市シリーズは話が独立しているので、この「巴里」だけ読んでも大丈夫だけど…ただ設定関係が今までのを知らないとわかりにくいかも。


●「閉鎖都市 巴里 上」川上稔[電撃文庫]770円(00/1/12)

都市シリーズ第5弾。第三回電撃ゲーム大賞金賞受賞作の「パンツァーポリス1935」…都市シリーズの第一弾にあたりますが、この作品にもうひとつ感銘を受けなかったので続きは読んでなかったんですよ。ところが掲示板で何人もの人から「都市シリーズはいい!!特に巴里は!!」とオススメを受けたので読んでみることにしました。
文字で表現されることで存在できる都市、巴里。この町は第二次世界大戦中に独逸軍によって投下された言詞爆弾により、1944年の1年間を繰り返すようになる。この閉鎖された町に、1999年の米国からひとりの少女ベレッタが留学生として巴里にやってくる。機密であったアティゾール計画について調べるために…彼女がやって きたせいで巴里は変化するか?
元気な少女が主役で、重騎と呼ばれるロボットとか、自動人形やらがでてくる、独逸占領下のレジスタンスが活躍する巴里が舞台の話。設定がかなり特殊でして、「書かなければ存在しない世界」とか最初はちょっと馴染みにくかったけど、この世界でのルール体系がきちんとしているせいで齟齬はあんまり感じませんでした。
自動人形のロゼッタが少しずつ人間としての心をつかんでいく過程がいいですねぇ。「アルジャーノンに花束を」を思わせるものがあります。
ただ、これらの独特の設定に対する説明が少なすぎるのが。特に前シリーズに出てきたと思われる風水やらコッペリア効果やら。紋章については一番最初の作品の記憶がおぼろげにあったからまだしも。ちゃんとシリーズ順に読んだ方がよかったなあ。話自体は独立してるけど。
とりあえず、次は下巻です。


●「屋上の暇人ども2 一九九八年十一月十八日未明、晴れ」菅野彰[新書館ウィングス文庫]640円(00/1/9)

「屋上の暇人ども」の続編。
ウィングスノベルズですが、ボーイズラブにあらず。不器用な生き方しかできなくて、お互いだけが世界の全てだった鴫と夏女。この二人の不良がひょんなことから天文部に入り、陸上部を怪我のせいでやめてしまった譲と、その幼なじみの未来と4人で過ごすようになる。お互いの距離が少しずつ近づいてきて…というようなナイーブな青春ものです。
今回の話は、同じ学校で援助交際をやっている少女たちを懲らしめようとする話なんですが、いろんな意味で少々後味が悪かったかも。でも未来ちゃん強くてまっすぐでいいなあ。あと、飄々としてつかみどころのない天沼先生が素敵です。


●「猫の地球儀 焔の章」秋山瑞人[電撃文庫]510円(00/1/8)

とにかく楽しみに待ってた、「鉄コミュニケイション」「E.G.コンバット」の秋山瑞人のオリジナル新作。
地球の周りをぐるぐる回ってる宇宙ステーション、トルク。そこにいるのが、知能が発達し、「電波ヒゲ」によって電波を操り、会話をしたりロボットを操ることができる猫たち。人間たちは−猫は「天使」と呼んでいるが−絶滅した世界。色々な知識は失われ、地球は「地球儀」として死んだ魂の赴く場所で信仰の対象となっていた。
異端の考えを持つものが粛正されてしまう世界で、幽(かすか)は地球へいく夢を抱き、ひとりで準備を進めていた。
焔(ほむら)はロボットを操り無重力で行われるバトル「スパイラルダイブ」のチャンピオン・斑に無謀にも挑戦をおこなった。
焔と幽、この2匹の猫の出会いで物語ははじまる…

いやあ、おもしろかった!!元設定がないオリジナルな話だったらどうなるんだろう?と少しは心配していましたが、全くの杞憂でした。あいかわらずロボットの描き方がいいなあ。
スパイラルダイブのスピード感覚と駆け引きが秀逸。
キャラクターも、今まで「男」キャラがでてこなったから、魅力あるキャラが作れるのかなあ…とこれまたいらない心配をしてましたが、焔も幽もとても魅力的で。ちょっと腐りモードになってしまいますが、個人的には焔×幽萌え!!です。やっぱり男同士の出会いは戦いからで、ベタついてない関係がいいんだよねーっ!!!!それでいて運命的な絆があって。ああ、素敵。…猫だけど。これで人型だったら、もっと萌えられたのに。
秋山さんの文章には弱いなあ。「鉄コミ」と「EGコンバット」で泣かされてきたせいで、プロローグから読んでて条件反射のように泣きそうになってしまいました。もう、「好き」としか言えないんです。一度読み終わったあとに、何度も何度も読み返してしまいました。
さて、話はまだプロローグという感じ。今後の展開に期待です。秋山さんが納得のいく作品に仕上げるために、お願いだからこの本を「今」買ってください。今までも好きなシリーズが予定より前に話を終えてしまったことが何度もあったけど、このシリーズだけは絶対にそんなことになってほしくないんです。本当に、お願いします。


●「ダークネス・ウォーエンジェル 闇色の戦天使」神野オキナ[ファミ通文庫]640円(00/1/7)

第一回ファミ通エンターテインメント大賞佳作受賞作を元に書き直した作品です。
精神寄生体「μ」に取り付かれた人間は人間離れした能力を身につけ、また欲望が増大するために殺人などの犯罪に走るようになってしまう。この時代、「μ」に取り付かれた人間は「破壊者(ブラスター)」と呼ばれ、社会の敵であり、見つけられ次第処刑されるようになっていた。鏡歌は破壊者を殺すために訓練された「ダガー」であったが、軍隊を抜け出して逃亡をはじめる。彼女がひとりの孤独な少年に命を助けられて…
Webサイトで誉められてたんで、買ってみました。感想としては…惜しいなあ。プッシュするには欠けたところがあって。
よかったのは戦闘シーンの描き方。残念だったのは、この社会は「魔女狩り」みたいな状態になっているんだけれども、それが「日常」生活である部分のリアリティの構築が少々弱い。全体に漂うダークな雰囲気は悪くないかな。
あと、タイトルがなあ。いかにも「ライトノベルズ」って感じでそれだけで損してるんじゃないかな。


●「バースディ」鈴木光司[角川ホラー文庫]476円(00/1/6)

92年夏にハードカバーででた作品の、あまりに早い文庫本化。映画合せというのはあるにしても、さすが角川だ…(これがあるから角川でハードカバーを買う気になれないんだよねぇ)
さて。今更紹介するまでもない、有名ホラー「リング」 シリーズの短編が三つ入っています。「空に浮かぶ棺」は「らせん」のクライマックス部分の話で、レモンハートは「リング」よりさらに前の、そして「ハッピー・バースディ」は「ループ」の後日談となっています。
うーん、これはあんまり怖くなかったなあ。「リング」と「らせん」はまだ話を覚えてるんですが、「ループ」は話の骨格しか記憶に残ってなかったせいでよくわからない部分が……ざっと読み返して読むべきだったのかもなあ。
短編なせいか、全体的に小粒な感じがします。「リング」「らせん」「ループ」の3部作自体は私は結構好きかな。文庫で買ったときに3冊を一日でイッキ読みしてしまったくらいですもん。まだ読んだことのない方は、読んでも損はないかと。このシリーズは必ず順番どおりに読んでください。


●「魔女の1ダース」米原万里[集英社文庫]476円(00/1/5)

以前読んだエッセイ「不実な美女か 貞淑な醜女か」が大変におもしろかったので、これももちろんゲットしました。
日露同時通訳者である作者が、異文化との橋渡しをすることで得た経験などを元に書き綴ったエッセイ。国や民族の数だけ文化があり、その文化圏にいる人にとってはそれが絶対的な価値となっていても視点を変えてみると全く逆のことを貴ぶ文化もあって。価値というのは相対的なものでしかない、と。そういうことをユーモアあふれる文体とエピソードで語っています。ただ面白いだけではなく、第12章の「人間が残酷になるとき」、第13章の「強みは弱みになる」などはかなり考えさせられる話でした。
自らを相対化して考えてみること、知る事と考えること、異なるものの存在に寛容になること、経験を怖がらないこと。…とか。ぐるぐる。
とにかく、オススメ。そんなに分厚くないし、1つのエッセイが長くないから細切れでも読めます。


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