99年4月に読んだ本。

●「明朝快走 金陵城内記」真樹操[角川スニーカー文庫](99/4/30)

「金陵城内記」シリーズの3作目。
舞台は、宋朝の金陵(現在の南京)。城下町で繰り広げられる、ドタバタコメディ。今回は、学問バカな学者の公孫に、妖狐を使った呪詛の疑いがかけられて…というような話。
このシリーズって、「わくわく」するような楽しさがあるんですが、今回もなかなかよかったです。蔡さんが素敵でした〜。
もうちょっと頻繁に本を出してくれたらもっといいんですが。


●「雷&冥シリーズ 早咲きのMay Rose」尾鮭あさみ[角川ルビー文庫](99/4/28)

「雷&冥シリーズ」の完結編。
朱雀学園の新学院長・竜文の学園改革に振り回される生徒達。冥はなんとか問題解決の糸口を目指していくが…
テンションが異様に高い、ボーイズラブコメディなんですが、今回はハイパーモードでしたねー。いつにもまして強烈でした……いやあ、おもしろかったです。
今回でシリーズ最終回ですか。寂しいですね。でも新シリーズを楽しみにしたいと思います。こういうハイパーバカ話もいいけど、また「舞え水仙花」のようなチャイナファンタジーを書いてくれないかなあ。今は中華ファンタジーってかなり一般的になってるんだし。これだけのパワー持ってる人だけに、ボーイズラブだけに留めておくのはもったいないように思うんだけどなあ…


●「グラスハート5 いくつかの太陽」若木未生[集英社コバルト文庫](99/4/28)

「グラスハート」シリーズ待望の最新作。
……すごかった。最初はちょっと朱音ちゃんとシンクロしづらくて、うまく入り込めなかったけど、最後はどっぷり。なんだか気持ちが痛い。向こうにいっちゃって帰ってこれない感じ。
このシリーズは、バンドもの…というか、音楽モノの青春小説。傑作です。すごくいいから、未読の方はシリーズ最初から読むべし。
今回の話、なんであそこで終わるかなあ。もっと音を聴いていたかった。せめてあと少し、聴かせてくれよぉ〜〜〜。
音楽に対する先生の姿勢が切なくて。あと、個人的には坂本くんと朱音ちゃんのこれからが気になる…
桐哉がカッコよかった。有栖川さんもヘンで素敵。オーヴァークロームの番外編、読みたいな。はやく出してくれるといいんだけど。もちろん、本編もはやく続きだしてほしいです。…でもこの作品の雑誌掲載の間隔のあき方をみてると、いつになるのやら…このテンションで書き続けることが大変なのはもちろんわかるんですが。


●「キル・ゾーン 虜囚」須賀しのぶ[集英社コバルト文庫](99/4/27)

「キルゾーン」シリーズ最新作です。
いやー、掲示板で既に読んだ方から「ユージィンが鬼畜」という話を聞いてたんですが、このユージィンはすさまじかったですね。ある意味「虚無編」以上かも。ゾクゾクしました。特にラストのあたりとか。
やはりユージィン様は、キルゾーンで一番底知れない方ですよね。この方の前では、ヴィクトールさえ素直な人に思えてしまう…
今回は色々なキャラがそれぞれの思惑で動いている心理戦という感じで、個人的にはすっごい好きです。戦いが連続するよりも、こういう方が好みなんで。
シドーの久々の登場が本当に嬉しかったです。もうひとり、懐かしい人も再登場してますしね。
キャッスルの前では小犬のようなラファが本当にかわいい〜。でも今回ラファはかなり辛いこともあって、気持ち考えると切なくてねぇ……
嫉妬に狂ったヴィクトールの終盤での行動にはびっくり。まさかそうくるとわっ!!
とにかく、今回は大満足でした。あまりに気になる終わり方してるし、早く続きを出してほしいけど、あとがきによるとあと数冊で終わるそうですから……終わりに近づくのも寂しいしなあ。
次は夏に短編ですか?本編はどうも息苦しい話が多くなってしまったから、楽しい話が読みたいですよねー。
ちなみにこのシリーズは、23世紀の地球を舞台にしたミリタリーアクションです(ちょっと違うか)。キャラクターがとても魅力的だし、結構読みやすいですし、興味を持ったら読んでほしいです。…今の段階で19冊でてますけど(^ ^;)。ちなみにシリーズは3冊目あたりからおもしろくなります。
…それにしても。ユージィン様の「望み」というのは一体なんなんでしょうか…


●「この貧しき地上にIII」篠田真由美[講談社X文庫ホワイトハート](99/4/27)

「この貧しき地上にII」の続編でシリーズ完結編。大地を守るために組織に連れ去られた雪生は、過酷な責苦を受け続けることに……と今回はSMめいた話になってますが、あんまりやらしくないというか。きれいな感じがしますね。
ただ、正直いうと、ここで描かれた「愛」はもうひとつピンとこなかったです。
このシリーズは、1はよかったけど、あとはちょっと…


●「土蜘蛛奇談 上」椹野道流[講談社X文庫ホワイトハート](99/4/26)

本業は小説家、裏稼業が霊障を扱う「組織」に属する追儺師(ついなし)の美形・天本森と、人間と植物の精霊のハーフの美少年・琴平敏生による、ゴーストバスターもののシリーズ7弾。…もう7冊もでてるんだ、このシリーズ。
今回は、毎夜「姫様」の元に連れて行かれる夢をみる少女を助けるために、天本の師匠・河合の手伝いをすることに。夢から現れた土蜘蛛と戦ううちに、敏生は平安時代へと飛ばされてしまうことに…

平安時代の陰陽師といえば、安倍晴明に蘆屋道満。今回は両方ともでてきまーす。(晴明は正確には違うか)それにしても、作者の本業が監察医だけあって、死体描写は生き生きとしているなあ…
とにかく、早く下巻を出してほしいな、と。


●「僕達の将来図 泉君シリーズ7」あさぎり夕[小学館パレット文庫](99/4/23)

泉くんシリーズ最新作。今回は、由鷹のところに赤ちゃんが置き去りにされて、泉が刃は親代わりになるけど…って感じの話でしたが、うーむ、おもしろくないなあ。
ラストにはびっくりしましたが。どういう展開になるんだか。


●「ボクサーは犬になる」剛しいら[クリスタル文庫](99/4/23)

「JUNE」に連載されていたボーイズラブものです。「ドクター×ボクサー」シリーズ。
きっかけがかなり変(拉致監禁)で、ドクターの方が結構ヘンタイぽいことさえ除けば、ラブラブなフツーのボーイズラブって感じです。
このカップルも悪くはないかなあ、と。


●「バトル・ロワイアル」高見広春[太田出版](99/4/22)

ずいぶん悪趣味な話でした。…でも面白い。
アジアの東に存在する大東亜共和国は、総統によって支配される、ファシズム国家であった。その国で毎年行われる「プログラム63」。それは、任意に中学三年の50クラスを選び、「ゲーム」を行わせる。その「ゲーム」は、隔離された場所で互いに殺し合せ、最後に残った一人のみが勝者となり帰宅することができる。そして、香川県城岩中学3年B組がこのプログラムに選ばれ、デスゲームが開始された……
今まで一緒に過ごしてきたクラスメイトたちとの殺し合い。普通だったらできないだろうけど、でも状況的に追いこまれたら……脅えるあまり近寄る人を殺してしまうもの、積極的にゲームに参加するもの、極限状況から智恵をつくして脱出を図ろうとするもの……同じクラスに好きな子がいたり、イジメっ子やイジメられっ子や不良がいたり。それらの思いの交錯とちょっとした行き違いから起こる悲劇。極限状況の中、誰を信じることができるか……信頼、愛、友情。そういうものが試されてるわけで。
サバイバルドラマが容赦なく描かれています。特に中盤から終盤への展開は秀逸。
えげつない話なのに、切なくて、最後は泣いてしまいました。
ただひとつ残念なのは、このかなりイカれた「大東亜共和国」にリアリティを与えるだけの筆力が不足していたことかな。このかなりおかしい「プログラム」のことを全国民が知っている…というのはやはりいくらなんでも、という感じはする。国際社会が許さんでしょう、それは。
私自身は自分の命の危険を感じるような状況に追いこれまたことがないから、そうなった瞬間に自分の生命に執着するあまり他の人を殺してしまうのか、誰かを信じきる事ができるかわからないです。……色々と考えてしまいましたが。
私はこの本は、リウイチさんのページの「積ん読パラダイス」の書評(すっごいおもしろいです!!)をみて買ったんですが、それを読んで興味を持った方はぜひ読んでみてください。…って人に勧めるような本ではないかもしれないけど。悪趣味だし。


●「玩具修理者」小林泰三[角川ホラー文庫](99/4/20)

「なんでもなおしてくれる」不思議な玩具修理者。人形からゲームカセット、そして死んだ猫も…弟を誤って死なせてしまった少女が、弟の遺体を玩具修理者の元に持ち込むが…
第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。1996年にハードカバーで刊行された作品の文庫本化です。
ハードカバーのときに評判がよかったので、文庫本化を機会に買ったのですが…読みはじめて途中で、私はホラーが苦手だっていうのを思い出しました。妖しいイメージは美しいのですが、でも解体のシーン、痛くてまともに読めなかったよー。なんだか生皮をはがれているような感じがするような怖さというか。ううう…
もうひとつおさめられている「酔歩する男」は、ホラーというよりもSFぽい話。でもこっちはいまいちピンときませんでした。でもまあ、「玩具修理者」だけでも読む価値はあると思います。


●「鴉」麻耶雄嵩[幻冬舎ノベルズ](99/4/19)

1997年にハードカバーで出されて、結構評判だった作品のノベルズ化です。銘探偵・メルカトル鮎シリーズの一冊。
弟が死んだ。死の直前まで弟は行方をくらましていた。弟の足どりを追い、閉ざされた村に辿りついた兄。その村では「大鏡」という神が祭られ、「大鏡」の教えに従い、完全に外部とは接触を断たれた生活を送っていた。
村にたどり着いた兄は、鴉の群れに襲われる。そして起こる連続殺人事件……

驚いた。ちゃんとしたミステリじゃないですか〜。しかもデキがいい。この人って、なんか妙なミステリが多いから、これもそうかという先入観があったんですが……今回はちゃんと筋が通っているし、しかもちゃんと最後まで説明しているし、どうしたんだ一体。
ミステリとしては、閉ざされた村の雰囲気がよかったし、心理的トリックがなかなか見事でしたし、オススメ。
ただ、メルが今回はあんまり毒がキツくなかったのが残念だな〜。メルならもっと強烈なことをやってほしかったです。


●「魔術士オーフェンはぐれ旅 我が運命導け魔剣」秋田禎信[富士見ファンタジア文庫](99/4/18)

「魔術士オーフェン」シリーズの本編の最新作です。
今回はクリーオウがメインという感じです。最初は番外編ぽい話になるのかなあと思ったら、ちゃんと本編だったのね。レキは鳴くし、新たなドラゴン種族がでてくるし。
それにしても、オーフェンのキリランシェロ時代の知り合いが出てきてるようですが、彼は一体誰なんでしょうか?……個人的な希望としては、まだ出てきてないチャイルドマン教室のメンバーの一人だったらいいんだけどなー。名前は忘れたけど、やたら旅行好きなあの方とか。


●「不安な童話」恩田陸[祥伝社文庫](99/4/17)

平成6年祥伝社ノン・ノベルからでた作品の文庫本化。新書の時に読んでたんですが、一度処分してしまったし、話の細かいところも忘れたので買いました。
25年前に変死した女流画家の個展に出かけた万由子は、初めてみるはずの絵に既観感を感じる。そして、ハサミで刺されるビジョンが頭に浮かび、倒れてしまう。その彼女に、画家の息子が「あなたが母の生まれ変わりです。」と告げられるが…
前に読んだのは、NIFTYのFSUIRIで誉められてたので、探して「ミステリ」として読んだんです。そのときにはあんまりピンとこなかったんですが、今回は「恩田陸」作品として読みました。いやあ、いいですねー。私はこの人の文章とか言葉の感覚が好きでたまらないんですが、章題の付け方や細かい文章とか……よかったです。
この作品でも、主人公の女の子は特殊な「能力」を持っているんですが、その描かれ方が「光の帝国」に通じるものがあるなあ、と思いました。
この話は、ミステリとしての構造もなかなかいいんですが、それよりも話の雰囲気を味わってほしいなあ、と思います。とても素敵な話を書かれる作家さんなんですよー。


●「ハルマゲドンバスターズ 赤き叡智の泉」嬉野秋彦[集英社スーパーファンタジー文庫](99/4/16)

「ハルマゲドンバスターズ」のシリーズ三冊目で第一部完結編。
現代の陰陽師vs魔術師の戦いを軽いノリで書くシリーズモノですが、今回はドルンハイムとの最終決戦の話。あれだけ力の差があってどうなるかと思いましたが、そのあたりの展開の仕方は悪くないかなあ、と。
キャラのノリは悪くない作品だから、3冊でシリーズが終わらずに続くことになってよかったです。


●「哀しみのアクアブレード 海魔の紋章3」夏見正隆[ソノラマ文庫](99/4/14)

「海魔の紋章」シリーズの新作。
「海魔」にとりつかれた少年が、<人形つかい>たちと戦っていく話。
読みはじめてから読み終えるまでに結構かかってしまった。今回もアクションの連続だったり、濡れ場もあったりとあるんだけど、もうひとつ引き込まれないんですよね…読むのがちょっとしんどかった。
個人的には、敵たちの行動がもうひとつ理にかなってないような感じがするのがひっかかるというか。私が敵のボスなら、こういうやり方はしないなあ、と。
魅くんの出番が少なかったのが残念。


●「クリムゾンの迷宮」貴志祐介[角川ホラー文庫](99/4/13)

「黒い家」の作者の、書き下ろし新作です。
男は気が付くと見なれない景色の中に倒れていた。そこで始まった、ゼロ・サムのサバイバルゲームに命をかけて参加するハメに……という内容の、ホラーというよりはサスペンスかな?
ページ数は400近くありますが、文字が大きいんで実際はもっと短いです。しかも話にぐいぐい引きずり込むので、イッキ読み。おもしろかったです。
発端は特に目新しいものではないですが、展開や構成のうまさで読ませます。程度にハラハラドキドキさせてくれるあたりのバランスのよさが、まさしく「エンターティメント」の名にふさわしいものではないかと。
ホラーといっても、夜に眠れなくなるとか外出が怖くなるほどの怖さではなく、ハリウッド大作アクション映画をみたときのハラハラ感を味わえるような感じです。
適度な刺激を求めている人は、読んで損はないと思います。


●「グイン・サーガ65 鷹とイリス」栗本薫[ハヤカワ文庫](99/4/12)

「グイン・サーガ」の新刊です。タイトルどおりスカールさんとナリス様が再会する話ですが、今回はなんといってもリンダが昔のままのリンダだったってことかなあ。
なんかそれが妙に嬉しかったです。とにかく、ナリス様もリンダにはちゃんと話してくれてよかったです。
表紙、あれはリンダですよね?……なんかちょっとイメージが違うかも……
で、いつになったらグインは本編に復帰するんですかねぇ。


●「愛がなければやってられない」菅野彰[新書館ディアスプラス文庫](99/4/11)

超人気マンガ家とその担当編集者の、ボーイズラブものです。
結構甘々で、ノリがコメディかな?
軽く楽しめます。個人的には甘いだけな話は苦手なんですが、この作家さんは骨組みやキャラがしっかりしているので、楽しく読めるんですね。


●「魔術貴族」荻野目悠樹[集英社スーパーファンタジー文庫](99/4/9)

荻野目悠樹の久しぶりの新刊。読み切りです。今回は世紀末のウィーンを舞台にした、魔術師とヴァンパイアの戦い…ですが。
この人の作品では、主人公が徹底的にいたぶられて、ヒロインがひどい扱いを受けるのが楽しいんですが、今回は主人公は危ない目にあってないし……普通のライトノベルズになっちゃったなあ。なんか物足りないです。
おそらく、読みやすくするためにわざと軽く作ってあるとは思うんですが、私がこの作者の好きな部分が変わってしまった感じなのが残念というか。まあ、次作に期待。
グレサンデルとセイシのやりとりはなかなか楽しかったです。


●「桜闇 建築探偵桜井京介の事件簿」篠田真由美[講談社ノベルズ](99/4/8)

「建築探偵 桜井京介」シリーズの短編集です。メフィストなどに連載されていた7つの話と、書き下ろしの3つのお話。
二重螺旋をモチーフにした一連の話は、建物のもつ息吹が伝わってくる感じがいいというか。特に「永遠を巡る螺旋」はよかったです。
書き下ろし作品は、ミステリというよりはシリーズの番外編という感じですが、これがすごくよくて。神代教授の短編や、あとは「原罪の庭」に幕をひくための話(これには泣きそうになった)、あとは京介の「はじめて」の話。
…それにしても、蒼もついに成人ですかー!!!!大きく、強くなったよね。よかった、よかった。そういう意味でも、「君の名は空のいろ」にはぐっときました。
最後の話はイメージの美しさが気に入りました。今丁度桜の季節だしね。それにしてもラストはかなり思わせぶりに書いてあったけど、一体どうなんだろう…この先。
このシリーズは、現在まで長編が6冊でていますが、4冊目からおもしろくなります。特に5冊目の「原罪の庭」は傑作。シリーズ最初から読むのが一番いいんだけど、とりあえず4冊目の「灰色の砦」から読んでも話わかるし、個人的にはここから読むのをオススメします。
この短編は長編を読んでからの方がいいと思います。


●「モダン・タイムス3 大江戸、貧乏暇無頭巾」菅野彰[新書館](99/4/6)

「モダン・タイムス」シリーズ三作目。
舞台は江戸時代、黒船が時々はやってくるけどまだ平穏だった頃の話。長崎帰りの蘭学医者でありながら、ひょんなことから義賊“朱頭巾”を演じている千尋は借金のためにその日の暮らしもままならなくなっていた。その頃、江戸には「辻斬り」ならぬ「辻彫り」が出没していて…
今回はいつもよりもさらに軽いノリで楽しく…だけかと思ったら、綿入れのあたりで泣かされました。やられた。やっぱりいいですねー、このシリーズは。すごく好き。
今回は健吾と千尋がやけに仲良しさんでよかったし。
書き下ろしの短編は、「慈雨様を酔わせてみよう」という話でした。これまた楽しかった〜。
シリーズがしばらくお休みなのは寂しいです。でもこのシリーズってそんなに人気ないんでしょうか?「時代小説」というよりは(あとがきにも書いてあったけど)「時代劇」小説ですが、キャラが生き生きとしてて、ノリがよくて、エピソードのひとつひとつもよくて、笑えるかと思えばしんみりともなってしまう、いい話なのにねぇ。
この出版社の本って古いのあんまり置いてないですけど、このシリーズは本当にオススメですよー。あんまりボーイズラブしてないから、普通の人でも読めるだろうし。


●「キスの予感」和泉桂[講談社X文庫ホワイトハート](99/4/3)

「キス」シリーズの6作目。経済アナリストと、無愛想なシェフの甘々のボーイズラブものです。
今回もまたまた事件が。千冬の骨折や、留学の話……お互いのことを考えると、いつまでも一緒にいることはできなくて……その中で千冬が選び取った結論は?
今回の事件で、千冬もかなり成長したなあ、と思います。今までも少しずつ変わっていったけど、一気に変化がきたんじゃないかと。これから先もどう変わっていくか楽しみですね。
ちょっと大人の、甘々のボーイズラブものが好きな人には、このシリーズはオススメですよ。話がわりとしっかりしてるし。


●「瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤」京極夏彦[メフィスト5月増刊号/講談社](99/4/2)

いつもは雑誌関係のはここにはかかないんですけど、このシリーズだけは。
小説現代5月増刊号の「メフィスト」(講談社)にのってる、京極堂シリーズの番外編の中編シリーズの第2作です。正式タイトルは「百器徒然袋 第二番 瓶長(かめおさ) 〜薔薇十字探偵の鬱憤〜」。「鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱」に続く第二弾。
いやあ、今回もパワフルでおもしろかったです〜!!
前作のときも思ったけど、このシリーズってキャラクター中心に描いているから、なんだか京極夏彦モノの同人誌を読んでるような感じがしてしまいます。
今回のツボは、榎兄!!榎パパも相変らずパワフルで素敵なんですが、榎木津一家ではまとも人間だと思っていたお兄様も愉快な方なんですね…。まあ、あの一家だからなあ。
京極堂の「作戦」発言には爆笑しました。口がうまい人だ、ほんとに。
あと気になったのが、榎さんと関くんが、旅行先で何か事件に巻き込まれてしまったそうですが………これが次の長編の事件になるんでしょうか?榎さんも大変な目にあったみたいだし。気になるよー。
とにかく、はやく一冊の本にまとまってほしいシリーズです。「メフィスト」は分厚くて高い(1500円)だけど、国産ミステリが好きな人にはたまらないラインナップだし、京極夏彦の作品にキャラ萌えしている人にはむちゃ楽しい作品なので、買ってみてもいいかも。それにしても、「メフィスト」も手に入れやすくなったよねぇ。色んな本屋で山積みしてたもんなあ…


●「天使たちのラプソディー」松本祐子[集英社スーパーファンタジー文庫](99/4/2)

「天使たちのラプソディー」シリーズ最新作。
お金持ちで天才で超美少年の明輝と、その家庭教師の涼のコンビの話です。
今回は、明輝の兄の和馬が登場。和馬は容姿端麗、頭脳明晰、その上性格もいいという「完璧な人間」だったが、涼は和馬が抱える秘密に気づくが…
今回も軽く読めました。明輝も少しずつ強くなってきてますねー。それにしても雰囲気がちょっと妖しく(?)なってきたような気がするけど、これから先このシリーズはどっちの方向に行くんでしょう。


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