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Q:修理期間はどれくらいかかりますか?
A:3つの大きな要素が関係します。
(1)修理内容の量と困難さ
(2)部品の製作や外注品が必要かどうか
(3)そのときの当方が抱えている仕事量
仮に典型的な15インチクラスのディスクオルゴールのオーバーホールを依頼されたとしますと、平均的に1ヵ月〜2ヵ月を必要とします。もし鋳物部品や特殊ギアーの製作が必要になると、3〜4ヵ月は必要になります。 小さなシリンダーオルゴールの修理の場合も、2週間から1ヵ月くらいはかかっています。
中型以上のシリンダーオルゴール(シリンダー長さ4”以上)の場合は、半年以上を覚悟しなくてはなりません。
Q:シリンダー型はどうして半年もかかるのですか?
A:ピンの立て替えが必要になると、今のところ英国に外注していますので、それだけで5ヵ月以上かかってしまいます。ピンがしっかりしていて、ガバナーとか、櫛歯の修理とか部分的な修理だけなら1ヵ月くらいで出来ると思います。
Q:修理代金はどのように見積もるのですか?
A:考え方は一般的な工事と同じで、工数が何日(時間)かかるか、この部分がメインで、あと材料費がいくらかかるか、そして特殊工作能力を必要とする部分は多少技術料を割り増しする程度です。
Q:見積りの過程で苦労することはありますか?
A:苦労だらけです。外観だけで判断するわけですが、実際に分解してみると、思いがけない欠陥が見つかったりします。そのとき、依頼主が追加分を納得して負担してくれると問題はないのですが、それを見ぬけなかったという理由でこちらの責任にされると、苦しくなります。その意味で、見積りは契約ではなく、あくまでも予測であるとの了解を依頼主からいただくように努力しています。
次に、本体の価格と、修理コストとの割合が大きな要素です。例えば2万円で買った小さなオルゴールを修理したいとして、平均的に1万円から2万円位の修理代がかかります。場合、依頼主は一般的には高いと感じるでしょう。よほど思い出のある品物で是非修理したいものなら別でしょうが。こちらも依頼主の希望にそって、満足いただいて、感謝の言葉の一つも欲しいと思って頑張っていますので、価格の面で高かったと思われたとしたら、心残りです。
たとえどんな小さな修理でも、最低1日はかかります。出張修理の場合の日当・技術料は3.5〜4万円と計算していますので、この辺もご理解いただきたいと思います。現実的に小さいオルゴールの修理はずいぶん割安で行なっているわけです。
このあたりが納得いただけないなら、修理を諦めるか、ご自分で修理されるかしかありません。
Q:修理中に破損したことはありませんか?
A:幸い、大きな失敗はありませんが、いつも覚悟はしています。
当方も一応損害保険に入っていまして、外的要因による破損はカバーできるようにしていますが、(例えば火事、盗難、等)工具の取り扱い方をちょっと誤って、ボルトやパーツを破損してしまった場合は、こちらの負担で新たに作り直すしかありません。しかし、しっかり錆び付いていて、通常のはずし方をしても折れてしまうような場合は、取り替え料をいただくことになります。
オルゴールのコンディションが悪いことを、こちらの責任にされると苦しいです。依頼主には最悪の事態を想定して、全損に値するような事態が発生した時、どのような対処をするか、覚悟を決めるよう、あらかじめ合意をお願いしています。
Q:修理依頼品の持ち込みはどう考えれば良いでしょうか?
A:当方宅への持ち込み、持ち帰りを原則としています。
小さなものは一度宅急便等で送っていただき、見積りをして、納得いただいた上で修理にとりかかります。もし見積りが予算に合わない場合は、返送料依頼者負担で送り返します。
小さくても高価なものは、運送屋さんに、はっきり保険加入を申し込んで下さい。(当然別途料金必要です。)紛失しても、アンティークの場合は現物補填は不可能なので、等価金銭補填になります。
Q:送れないような大きなものや、特に高価なものはどうしますか?
A:こちらから出向いて行くことも可能ですが、2つのケースがあります。
(1)無料見積りを希望される場合、たまたま近くを通りかかったときに寄らせていただきますが、そのようなチャンスを待つ必要がありますので、いつとはお約束できません。(可能性として、東京、埼玉南部、神奈川東部あたりなら、一月以内にチャンスがあるかどうか。半年も待てば、チャンスはまずあると思います。)ただ、こちらの気持ちの中では優先順位は一番下になりますし、かなりタイトなスケジュールで動いていますので、正直なところ、近くを通っても寄りたくない場合もあります。
(2)見積りの結果はどうあれ、とにかく1日分の日当を保証していただければ、優先的に予定を組めます。博物館など多数所有している場合や、この際、どっちにしても定期点検整備を行ないたい場合、あるいは技術指導などを希望される場合には有効で、実際に多くの場合、実行しています。当方自慢の工作車で行ける範囲でしたら、かなりの修理項目は現場でこなせますが、どうしても持ち帰る必要がある場合は、機械部分のみはずして持ち帰り、後日取り付けに再度伺うか、ご自分で取り付けられるようであれば発送のみ行なう形になります。日当、修理代の他に交通費、(必要なら宿泊費も)実費加算されます。遠方の場合は、工具箱を持参して伺います。あるいは追加工具、パーツ類をあらかじめ宅急便で送っておくこともいたします。