02年03月に読んだ本。   ←02年02月分へ 02年04月分へ→ ↑Indexへ ↓麻弥へのメール
●「メディア・リテラシー ―世界の現場から―」菅谷明子[岩波新書]660円(02/03/29) →【bk1】

「メディア・リテラシー」。「リテラシー」とは読み書き能力のことを指しますが、この場合は単に読み解くスキルのことだけではなく、メディアの仕組みも知り、批判的(クリティカル)に、多角的にみることができる能力のこと。メディア漬けの現代社会ではメディアとの付き合い方も覚えていかないと一方的にメディアに支配を受けるだけ。そうならないためにも教育というのが重要なわけですが、メディア教育が進んでいるアメリカ・イギリス・カナダなどの事例を通じて、メディア・リテラシー教育の方向性について考えたルポです。
ネット周辺でのできごとをあれこれ考えることがあるんですが、そのときによく感じるのは情報との付き合い方がちゃんと分かってない人がどれだけ多いか…ということ。事実は見る人によって解釈がかわるものですから、それをどうとるかは「自分」をしっかり持って、その上で多角的な方向からしっかりと考えること。自分に都合の悪いことに耳をふさぐのも、人の意見を聞くたびに自分の意見をコロコロ変えるのもみっともないことではあるけれども、確固とした「自分」を保つのは難しいんですよね。私自身は色々な問題にぶつかるたびに試行錯誤して「考えること」を少しずつ覚えてゆきましたが、こういうことはもう少し学校で教えるべきなんじゃ…と思うことがありまして。今はどうか知りませんが、私の頃は国語も先生の解釈を黙々とノートにとるだけ、という感じでしたから。
「国語(母国語)」を学習するのはなんのためか、言葉によって思考をクリアにする方法論を身につけることではないのか、と思いつつも日本語の漢字の多さを考えると今の時間配分では先生もそこまで手はまわらないんだろうなあ。
日本でも一部で「メディア・リテラシー」教育が始まっていってるそうですが、メディア教育先進国でさえも苦労しているだけに先行きは大変でしょうが、頑張って日本にメディア・リテラシー教育を根付かせてもらいたいものです。


●「BIOHARZARD to the Liberty」木村睡蓮[電撃文庫]570円(02/03/26) →【bk1】

大ヒットゲーム「バイオハザード」の世界観を使った小説を公募した「バイオハザード小説大賞」の大賞受賞作。作者はマンガ原作なども手がけている方。
イギリスで女性を切り裂く連続殺人事件が起こり、アメリカ人のジャック・トランプが容疑者として捕らえられた。連邦保安官のロペスはジャックをアメリカまで就航前の大型客船・リバティ号で連行する任務が与えられた。その頃、アンブレラ製薬で役員の謀反という不穏な事態が起こっていた。彼が開発していた新しいウィルスのいくつかの行方が不明となり、そのひとつがリバティ号に詰まれていて…
ジャンルとしては船上パニックもの。実は私はバイオのゲームはやったことがないんですが、作者が達者なこともあってサクサクと読めましたが… ただ少し物足りない。特にコトが起こってからのドキドキハラハラの部分が短くて。勇気と知恵の勝利であってほしかったんですが。


●「D/dレスキュー フロイライン・ヴァルキリー」一条理希[集英社スーパーダッシュ文庫]533円(02/03/22) →【bk1】

「D/d レスキュー」シリーズ最新刊。
ハイパー・レスキューもの。水城財閥の特殊救助隊が危険に陥った人を勇気と知恵とハイテクで助けてゆくというお話。アジアの小国・サナルダの妄信的なテロリストが藤木市に潜入して活動を開始した。彼らは感染性の高く二日ほどで人間を死亡させてしまうウィルスをばら撒く。それを知った日本政府は感染の拡大を防ぐため藤木市への電気・ガスなどの供給をストップし、完全に封鎖した。特殊救助隊にいる恭介が命じられたのは、解毒剤を持っているか、抗体があるテロリストたちを捕らえること。ウィルスから助かるために残された時間は約17時間だった。
一方その頃、姿をくらましていた暮崎は復讐を果たすために…

このエピソードは今回では完結してません。そして次巻でこのシリーズ自体も完結するそうです。
今回は起承部分で終わってしまうので物足りないかも。あと、因縁の過去や血を巡るドロドロ話などのシリーズの「秘密」を明かした部分の描写がイマイチ。物語にハリボテ感を与えてしまいます。いつにもましてエグい展開はよかったんですが。
それでも次回はスペクタルな展開も多くなるだろうし、どうやってうまく風呂敷を畳んでくれるか期待しています。


●「ヒカルの碁 [Boy Meets Ghost]」横手美智子[JUMP j BOOKS]743円(02/03/20) →【bk1】

ジャンプの人気マンガ「ヒカルの碁」が小説化。アニメ版の脚本を手がけている横手さんによるノベライズ。原作そのままで小学生編の終わりまで収録されています。
表紙が小畑さんによる書き下ろしカラー(佐為・ヒカル・あかり)が目当てで購入したんですが、中にも小畑さんの書き下ろしモノクロイラスト2枚(佐為/佐為・ヒカル・アキラ)があって嬉しかったです。しかもこの挿絵がため息がでるほどすばらしいデキ映えで。他にコミックスの1,2巻の絵が挿絵かわりに使われていますが、この頃の絵と今の絵の違いが強烈だなあ。
物語は基本的には原作通りですが、原作の行間(コマ間?)の埋め方が「原作ちゃんと読みこんで丁寧に仕事してるなあ」という感じで好印象。視点の揺れ方がひっかかるものの、原作ファンががっかりするようなものにはなってないと思います。ジャンプjブックスだから1ページあたりの文字数が少なく、分量に対して値段は高く感じますが、小畑さんの書き下ろしはそれを十分に補えるだけのものだと思います。
巻末にはほったさんのあとがきも載っていました。


●「屋上の暇人ども4 先生も春休み」菅野彰[新書舘ウィングス文庫]590円(02/03/20) →【bk1】

「屋上の暇人ども」シリーズ最新刊。サザンの音楽をバックに、湘南の田舎にある高校での、どこか不器用な4人のナイーブな青春物語。ボーイズラブではありません。
今回は春休みの話がみっつ。何もかもが生まれ変わったかのように生を謳歌している新しい季節に、前も後ろにも進めずぼんやりと立ち止まっている少年たち。今回はなんてことはない話ですが、その微妙な苛立ちだとかの描き方は個人的には結構好きかも。
そして天文部のしたたかな顧問・天沼先生と同僚の佐川先生、そして天沼先生の妹・明のお話。あの天沼先生にこういう影があったとは…半分血の繋がった妹からの執着、微妙に壊れてしまった家族関係、そして一番問題なのはそんな中でも… どろりとしていますが、切なくていい話でした。人でなしの天沼も、エキセントリックだけどもどこか脆い明もいい感じでした。
それにしても未来ちゃんってすごく頭よかったんですね。知らなかった… 「呪われた国技」の話は、菅野さんのエッセイ集「海馬が耳から駆けてゆく」まんまで大笑いでした。


●「大唐風雲記 洛陽の少女」田村登正[電撃文庫]510円(02/03/15) →【bk1】

第8回電撃ゲーム大賞《大賞》受賞作。
舞台は唐の時代。都・長安に謎の光球が出現する。方士・欧陽老師の弟子の履児がその正体を見極めようとしたところ、それはなんと戦乱で殺された少女の死体にとりついた則天武后の霊。彼女は北方で起こった安禄山の乱を現在の皇帝に伝えようとして、それを履児たちにも手伝わせようとしたが…
唐を舞台に超常要素を加えて、歴史上有名な人物たち+αがおりなす活劇。作者はそれなりのお年の方でしかも知識がしっかりしているので安定して読めました。楽しくは読めましたが、もうひとつパワーが足りないような。主人公たちがあれだけ奔走したのに、結果としてはあんまり動く前と変わってないような気がするのがなんとも…
実は一番感心したのは、→この時代になると宦官は玉をとるだけで竿はそのままだったんですねぇ。知らなかった。たしかこれより後の清末期を舞台にした「蒼穹の昴」では竿もとってたような記憶があったんですが、思い違いかなあ。それともまた復活したとか?←という情報だったりします…


●「「クロック城」殺人事件」北山猛邦[講談社ノベルス]880円(02/03/14) →【bk1】

第何回になるかわかりませんが、メフィスト賞受賞作。帯の「本文208頁の真相を他人に喋らないでください。」というアオリと、中の袋とじに惹かれて購入。
1999年9月。世界の終末を静かに待っていた。5年前、巨大な太陽黒点の発生のため、地球上の電気機器がすべて狂い、そしてテロに戦争、政府も崩壊した。南深騎はそんな世界で探偵をしていた。彼には〔ゲシュタルトの欠片〕という幻がみえ、それを破壊することができる。雨の日に、彼の元にひとりの少女が助けを求めて訪れた。彼女は「クロック城」の住人で、そこに〔スキップマン〕という化け物が現れるという。南と助手(?)の菜美はクロック城を訪れたが、閉ざされた館で惨劇が起こり…
ティストとしてはスニーカーとか富士見とかあのあたりに近い空気があります。帯でかかれてた「トリック」も「ほう、なるほど」と思いましたが、それよりも「なぜ犯人は死体の首を切断したのか」の理由が独創的でおもしろかったです。個人的にはその一点だけで十分満足でした。
世界観の構築の甘さとか気になる部分はありますが、「静かな終末」が好きなライトノベル読みの人だったら読んでも損はないかと。


●「ラグナロクEX. SANCTUARY」安井健太郎[角川スニーカー文庫]533円(02/03/12) →【bk1】

FF7ティストのファンタジー系バトル小説の人気シリーズ「ラグナロク」の番外編で、今回は雑誌掲載の3つの話と書き下ろし1編。
表題作のリロイがチビだった頃の話はよかったです。オヤジの人でなしぶりがいいなあ。
前作の長編番外編でのヴァルハラの人たちの描き方も生き生きとしていたし、ひょっとして作者は鬼畜な話の方が…


●「ビートのディシプリン SIDE1[Exile]」上遠野浩平[電撃文庫]610円(02/03/12) →【bk1】

「電撃hp」連載中のお話が単行本化。帯に「この厳しい試練〔ディシプリン〕に、死神〔ブギーポップ〕は現れない――」と書いてありますが、「ブギーポップ」シリーズの登場キャラクターが多数出演する話ですが、「ブギーポップ」の名前が冠されてないのはやはり彼は出てこないからなんですね。
統和機構の探索型合成人間のピート・ピートこと世良稔はフォルテッシモに「カーメン」の探索を押しつけられた。カーメンを探している途中で自分の能力が通じない少女・浅倉朝子に出会い、彼女の秘密を探るために同じ高校に通い出すが…
雑誌連載時に全部読んでるんですが、まとめて読むと別のおもしろさがあります。書き下ろしのエピソードもあって、そこでは隠居していたはずのあの人が今回の事件に影で関わっていたことがわかるという形に。
統和機構の合成人間やMPLSたちが総出演、シリーズのファンには嬉しいサービスですが、この本で初めて読む人にはわけがわからないだろうなあ。
今までのブギーポップシリーズでは「日常」を「非日常」が侵食して世界の危うさを感じさせる展開になることが多いんですが、今回は危うい「非日常」を過ごしている合成人間が「日常」に潜伏する必要ができて戸惑うあたりの描き方とかがおもしろかったです。
主人公は人間じゃないけど戦闘タイプじゃないので「弱い」わけで、そんな彼を襲う過酷な試練をどう工夫して乗り切るか… 今回は物語に幕を引いてくれる死神はやってこないんですから、自分で全部カタをつけなきゃダメだろうし。どういう展開になるか、続きが楽しみです。


●「そして、世界が終わる物語」後藤文月[角川ビーンズ文庫]514円(02/03/08) →【bk1】

たしかビーンズ関係の新人賞をとった方なんですが。掲示板でオススメされて読みました。
罪人の子供ゆえに迫害されて育ったクーラは、美しい青年の気まぐれで助けられた。彼の名はモトレオ、魔法を受け継ぐ道師の見習いながら、飛びぬけた実力ゆえに一目置かれる存在だった。モトレオは世界を滅ぼすという伝説の「人鬼」を思い出させる容姿…白い髪と肌に瞳は碧で美しい姿…をしていたがために忌み嫌われていたが、そんな彼にクーラは懐く。
クーラも成長して15歳となったとき、モトレオはクーラや女友達のスピアと共に龍退治にでかけたが…

帯には「究極の、主従関係。 世界を救うために―――最愛のあなたを殺す」と書かれています。なんとなくホモくさそうですが、どっちかというと昔のJUNEな空気。
お互いを思った上での行動のはずだったのに泥沼に陥ってしまったり、「たとえ世界中が貴方を敵に回しても、私はあなたを守ります」みたいなシチュエーションとか、私のツボを刺激する要素がたくさん。登場人物たちの世界の狭さ…自分にとって大切な人だけが世界のすべてみたいな感じ…もJUNE的でいいですねぇ。瑕はあるものの魅力的なお話でした。


●「放課後戦役」鷲田旌刀[集英社コバルト文庫]476円(02/03/07) →【bk1】

2001年度ロマン大賞入選作家の文庫デビュー作。
かつての栄光も地に落ち、技術力も失い沈滞し、閉塞感が漂う日本。その時エミイルという武装勢力が反乱を起こし、制圧のため投入された自衛隊が壊滅的な打撃を受けた。その穴を埋めるべく高校生による「高等生徒隊」が設置されたが…
あらすじを読んだときには「ガンパレード・マーチ」みたいな話かと思ってましたが、方向性は全然違いました。「ままごとの戦争」しか知らない玩具の兵隊たちが「本当の戦争」に放りこまれたやるせなさ、みたいな。
光るものはあるんですが、お話が穴だらけなのがちょっと… 世界設定をもう少し作りこんでほしかった。あと、登場人物たちの行動原理が「作者の都合」で動いているような印象を与えるのはマイナスポイント。
それでも最後の方はなかなかよくて、胸に迫るものがありました。
この作者は今後もチェックの予定。


●「クイーンズ・ガード」駒崎優[講談社X文庫ホワイトハート]550円(02/03/06) →【bk1】

「足のない獅子」の作者の新作。今度は現代モノで、ホテルを舞台にしたトラブル解決グループの活躍の話。
東京グランド・クイーンズ・ホテルでセイフティボックスに預けていたモノがなくなるという事件が立て続けに起こった。結成されたばかりの処理班は事件の解決を任されたが…
…。駒崎さんにはミステリというのはあまりむいていないかも。今回の話もつっこみたい部分が色々とあって。まず今回の謎の核となるはずのセイフティボックスからの消失事件を引き起こさなきゃいけない理由が弱過ぎ。担当さんもプロットの段階でもっと色々とツッコミいれてほしかったなあ…


●「僕達の明日へ 泉君シリーズ13」あさぎり夕[小学館パレット文庫]467円(02/03/06) →【bk1】

人気ボーイズラブ「泉君シリーズ」の最終刊。長いシリーズの終わりらしい、それぞれのキャラの旅立ちと未来への希望を書いた1冊になりましたが…
ちょっと話がキャラにとって都合よすぎるかなあと思わなくもないけれども、このシリーズらしい終わりでよかったんじゃないでしょうか。
全部で36冊…ごくろうさまでした。


●「KLAN III 迷走編」田中芳樹/霜越かほる[集英社スーパーダッシュ文庫]476円(02/03/05) →【bk1】

田中芳樹が昔書きかけで放り出したアニメ化前提企画小説を「双色の瞳 ヘルズガルド戦史」の霜越かほるが続けて小説化。●「クラン[II]逃亡編」に続くニ作目となりました。
「獣化する血統同士の争いの物語」というよくある設定の話を前作では霜越かほるが頑張って話を引っ張っていってたんですが… 今回のサブタイトル「迷走編」どおりに作者の迷走ぶりも伝わってきてちょっと気の毒な感じがしました。発売日が(たしか)何度か延期になったのはなかなか書けなかったんでしょうね。
それにしてもヒロインであるはずのルネの存在感のなさは一体。動かしにくいキャラだから仕方ないとは言え…


●「明日はマのつく風が吹く!」喬林知[角川ビーンズ文庫]438円(02/03/02) →【bk1】

「今夜はマのつく大脱走」に続く、シリーズ4作目。
元気が取り柄の平凡な高校生・有利が、水洗便所に流されて辿りついた世界は異世界ファンタジーじみたところ。そこでなんと有利は自分が魔王だと告げられるが…
というシチューエーションの「ありがちファンタジー世界」を茶化した(?)バカコメディ。キャラが立ってて、話のテンポがよくて楽しいシリーズなんですが、今回はいつもに比べて勢いが足りなかったかも。あとがきを読むとスランプ気味だったようですし。
個人的には三男贔屓なんで、彼がもっと活躍してほしいものですが。ついてまわって嫉妬するだけじゃなくて。


●「アクアリウムの夜」稲生平太郎[角川スニーカー文庫]600円(02/03/01) →【bk1】

高校生の義夫は親友の高橋に連れられて、土曜日の放課後、野外劇場で行なわれていた奇妙な見世物「カメラ・オブスキュラ」を見に行った。鏡とレンズを用いて映し出された外の景色に魅了された二人の少年は、あるはずのない水族館からのびる地下への入り口をみてしまうが…
青春ホラー小説。10年前に単行本で出版された本を「発掘」しての文庫本化なんでしょうか。でも古臭さはないです。
日常を異世界が侵食してくるような気配の表現が見事。緒方剛志さんのイラストもジャストフィットだし、本のデザインもいいです。


●「花屋の店先で 毎日晴天!8」菅野彰[キャラ文庫]533円(02/03/01) →【bk1】

「毎日晴天!」シリーズ最新刊。
東京の下町を舞台にした、帯刀四兄弟+2名の奇妙な同居生活での、ひとつ屋根の下の恋。ボーイズラブもの。
今回は元・不良で遊び人だった龍と、人がいい次男(メガネくん)明信のカップルのお話と、進路に迷う真弓の話との二本たてです。
話の基本トーンはコメディなんですが、描かれる人と人の関係の話は結構、重い。始まったときから終わり方を考えているような龍と明信の恋は、お互い「好き」という気持ちだけでは身動きが取れなくなってしまうから。作者の迷いも見えた気がしたお話でしたが、二人の行く末を見守ってゆきたいです。
それにしても丈くんにも幸せになってもらいたいものですが… あ、その前にウオタツの救済がないと。


●「ローゼンクロイツ エーベルハイトの公女」志麻友紀[角川ビーンズ文庫]457円(02/03/01) →【bk1】

「ローゼンクロイツ」シリーズ最新刊。
山岳の貧しい小国・エーベルハイトは、大陸中の王族の地が流れている「血統的正しさ」を武器に婚姻外交で国の独立を保っていた。エーベルハイトの大公が急逝して即位したのは年端もいかない少女・マルガリーテ。大国・ファーレンからの干渉をさけるためにアキテーヌの少年王・ルネとの婚約を進めていたが、アキテーヌへの旅路の途中でマルガリーテは何者かに攫われて…
17世紀〜18世紀のヨーロッパを彷彿とさせる架空世界での冒険ロマンス物語。少女小説の雰囲気と「ワクワク」があって楽しみにしているシリーズ。前作の派手な展開と比べるとは1冊でエピソードが完結と短いこともあって多少物足りない部分はありましたが、おもしろかったです。
母上様が暗躍すると物語に弾みがつきますね。顔に傷を持つ人だけでは悪役として物足りないところがありますので。あと、ルネ少年の成長に期待が持てます。


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